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焦点:米大統領選が混沌、ニュース番組に広告スポンサー殺到

[1日 ロイター] - 全米展開するテレビ局のニュース番組は今年、米大統領選の結果が当日夜に決まらない可能性があることで恩恵を受けるだろう。

10月1日、全米展開するテレビ局のニュース番組は今年、米大統領選の結果が当日夜に決まらない可能性があることで恩恵を受けるだろう。写真は9月29日、米大統領選討論会に参加するトランプ大統領とバイデン候補(2020年 ロイター/Brian Snyder)

新型コロナウイルス禍でスポーツイベントが少なく、視聴者はまるで自宅に閉じこめられているような状態にある。注目が高く、視聴者がその結果にやきもきすること間違いなしの大統領選は、広告を打つチャンスとして金融やテクノロジーや小売り、ソーシャルメディア、娯楽といった企業に大いにアピールする可能性がある。そうした企業は既に候補者討論会や選挙当日といった夜の広告枠を購入しているという。

少なくともフォックスFOXA.O傘下フォックス・ニュースと、通信コムキャストCMCSA.O傘下NBCの2局は、11月3日当日夜以降の広告枠需要増を見込みつつあるか、実際に高まりつつある。

フォックス・ニュースは大手スポンサー企業に対し、選挙当日から1週間で勝者の結果が出ない場合に広告を延長する選択肢も提示している。郵便投票の急増が見込まれ、共和党のトランプ大統領陣営と民主党候補バイデン前副大統領陣営がともに法的な異議申し立てを展開する可能性が予想されているため、結果確定には時間がかかりかねない。

フォックス・ニュースの広告営業責任者ジェフ・コリンズ氏は、本選当日夜の同局の広告は案件規模と平均単価のいずれも前回2016年選挙の夜に比べ、大きく増えていると話す。

マーケティング調査のスタンダード・メディア・インデックスによると、16年の大統領候補者討論会の中継では30秒スポット広告料は最大22万ドル(約2315万円)だった。消息筋によると今年の討論会は、ウォルト・ディズニーが共同出資するABC放送の30秒スポット料金が最大37万5000ドルという。

広告代理店360iのキャサリン・ウォーバートン最高投資責任者は「選挙報道のおかげで、従来はテレビでは難しかったコミュニティー層や市民層に見てもらえる」と指摘。これは広告主には魅力で、これまでの大統領選では興味を示さなかったスポンサーも新たに引きつけていると話した。

<米国民はニュースにくぎ付け>

今年のテレビニュースは既に視聴者が急増している。NBC、CBS、ABCではいずれもここ数年で最多。スポーツ番組からニュース番組に視聴者が流れた影響もある。調査会社ニールセンによると、フォックス・ニュースは今年7月と8月、9月にプライムタイムの視聴率としては業界最高を記録した。

消息筋によると、NBC、MSNBC、ABC、CBS、フォックス・ニュースでは第1回討論会の広告枠を完売した。ただ、同討論会の視聴者数は7310万人だったと推計されており、過去最多だった4年前の8400万人を下回ったが、これはオンライン動画配信の増加などを反映したかもしれない。

ABCは本選当日夜と10月7日予定の副大統領候補者討論会の広告枠を完売しただけでなく、10月15日と22日の残りの大統領候補者討論会の広告枠もほぼ売れた。NBCとMSNBC、フォックス・ニュースも選挙当日夜と残りの討論会の広告が完売に近い。

スタンダード・メディア・インデックスによると、政治やニュースへの視聴者の関心のおかげで今年6-8月期の広告収入はCNNで前年同期比68%増、フォックス・ニュースで46%増。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのメディア調査部門ケイガンによると、今年の年間広告収入はフォックス・ニュースが前年比8.2%増、CNNが5.2%増と見込まれる。

コンサルティングのカンターのデジタルメディア調査責任者グレゴリー・アストン氏は、本選の前後でニュース番組の需要は盛り上がり、スポンサーは視聴が集中する消費者をターゲットにすることになるとみる。

<抗議、暴動などの関連番組は敬遠も>

メディア専門家によると、投票日後に起き得る選挙への抗議活動や暴動を見越して広告を見送るスポンサーもいるかもしれない。

既にスポンサーの多くは新型コロナウイルスや「ブラック・ライブズ・マター」運動を話題にする番組は敬遠している。トランプ氏が政権交代の場合は平和的に応じる意思を明確にしておらず、第1回討論会でも極右グループ「プラウド・ボーイズ」に「待機せよ」とのメッセージを送ったことは、抗議活動がこれから増える可能性を示唆している。

広告代理店グループMのビジネスインテリジェンス部門グローバル責任者ブライアン・ウィーザー氏は「投票日前後にニュース関連番組に広告を計画するスポンサーは、異なるシナリオを注意深く想定する必要がある。大半のシナリオは好ましいものではないためだ」と指摘した。

フォックス・ニュースのコリンズ氏は、大統領選後1週間の広告枠を購入した企業で、暴動に懸念を表明したり、これに関連して値引きを求めたりする動きはないと言明。

ただ消息筋によると、NBCでは広告企画担当者から、共和党寄りや民主党寄りといった「偏った」印象の広告になることを懸念する声がある。

一方で、広告に昨今の「社会の分断」が影響するのを回避し、より多くの視聴者の関心を引きつけることから恩恵だけを得るというのは虫が良すぎるとの声も広告専門家から聞かれた。

(Helen Coster記者)

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