July 10, 2020 / 11:12 PM / a month ago

コラム:バイデン氏の政策提言、ウォール街はブルーな気分に

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大統領選の民主党候補指名獲得が確定しているバイデン前副大統領のアドバイザーらが描き上げた「お願い事リスト」は、実現はまた別の話ということだらけだ。ともかくも、バイデン政権の方向性の概略はより明らかになった。

7月9日、米大統領選の民主党候補指名獲得が確定しているバイデン前副大統領(写真)のアドバイザーらが描き上げた「お願い事リスト」は、実現はまた別の話ということだらけだ。ペンシルバニア州ダンモアで撮影(2020年 ロイター/Tom Brenner)

バイデン陣営が8日夜に発表した110ページもの提言構想は、おなじみのもの、新規なもの、別の人から借りてきたものからなる。バイデン氏と民主党議員がこれを現実にすることを選択すれば、ウォール街はさぞかし気がめいることになるだろう。

提言をまとめたのは、いわゆる統一作業チーム─4月に指名獲得を断念した左派バーニー・サンダース上院議員とバイデン氏との合同のチームだ。バイデン氏とサンダース氏、さらには両人の支持者らが長く訴えてきた多くの構想が再び浮上している。1時間当たり15ドル(約1600円)への全米最低賃金引き上げや、気候変動問題の重視、労組の役割拡大などだ。連邦準備理事会(FRB)の責務に人種的平等を加えるといった、やや急進的な新しい構想もある。

米金融業界に対しては幾つかのおなじみの論点も見える。1つはリテール銀行と投資銀行を分割する提案で、銀行に証券業務との兼業を禁じたかつての「グラス・スティーガル法」にどことなく似ている。ただ、提案をすること自体はそう革命的でもない。バイデン氏は1999年にグラス・スティーガル法廃止に賛成票を投じたことを最も後悔していると発言してきた。トランプ大統領ですら大統領就任の前後に似たようなリップサービスをしていた。

ただ、効果のほどは明らかではない。かつてのワコビアもベアー・スターンズもリーマン・ブラザースも皆、垣根はほとんど越えていなかったのに破綻した。

幾つかの新しい構想のほうが衝撃は大きいかもしれない。米国民すべてにFRBの口座を1つ与えるといった提案だ。金融への社会的弱者やマイノリティーらの包含は高まるだろうが、バンク・オブ・アメリカやJPモルガンといった大手からゴールドマン・サックスのような新参者に至る利益目的の銀行にとっては憂鬱(ゆううつ)かもしれない。彼らがFRBと角突き合わせて競合すれば、利便性とテクノロジーで顧客を引きつけるとしていた主張が試されることになるだろう。

そして増税だ。トランプ政権での大盤振る舞いを考えれば不可避に見えるが、痛みを伴い、ウォール街を押し上げてきた追い風はやむだろう。2017年の減税は企業の買収ブームを起こし、株価は値上がり、当然ながら銀行の税金も軽くなった。

バイデン氏が8月の民主党大会で正式に指名された場合、バイデン氏が今提言していることが最終的に政策の「絵の具板」的なたたき台になるだろう。その結果はバイデン氏がどれを実際に取り上げるか、議会が何を承認するかによる。見たところ、出来上がりの画像はウォール街の好みのものにはなりそうもない。

●背景となるニュース

*大統領選で民主党の候補指名が確定しているバイデン前副大統領の陣営は、幅広い分野をカバーする米経済再生計画を公表した。バイデン氏と候補指名を争ったサンダース議員のアドバーザーらと合同で立ち上げた作業チームが作成した。大手銀行の分割や最低賃金の時間当たり15ドルへの引き上げなどが盛り込まれている。

*金融面の提言では、連邦準備理事会(FRB)の口座を全国民に直接提供することや、FRBの責務に「人種的平等の追求」を追加することが含まれる。銀行規制ではリスクの高い投資銀行業務からリテール業務を切り離すことも義務づける。

*合同チームは、政府が運営する健康保険に入る選択肢を全国民に与えることも提言。ただ、無料の国民皆保険には踏み込まなかった。太陽光パネル5億基の設置などにより、二酸化炭素の排出量の実質ゼロも推進する。シェール開発のフラッキング(水圧破砕法)禁止には言及していない。

*民主党は8月17日の党大会でバイデン氏の候補指名を正式に決める。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below