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アングル:投資銀行、「バイデン増税」前の事業売却提案で攻勢

[21日 ロイター] - うまみのある案件を勝ち取ることに熱心なのが常の投資銀行が、米企業のオーナーに新しい売り込みを図っている。「今のうちにあなたの会社を売るため、われわれを雇ってください。さもないとバイデン民主党政権が誕生したあかつきには、会社を売るのに少なくとも2倍の税金を払うことになりますよ」といった具合だ。

 10月21日、うまみのある案件を勝ち取ることに熱心なのが常の投資銀行が、米企業のオーナーに新しい売り込みを図っている。ペンシルベニア州フィラデルフィアで15日撮影(2020年 ロイター/Tom Brenner)

大統領候補のバイデン前副大統領は公約として、100万ドルを超える場合のキャピタルゲイン税率で20%から39.6%への引き上げを提案している。法人税率も21%から28%に引き上げるとしている。

こうした増税案が成立するには、バイデン氏が大統領になり、民主党が上院の過半数を奪取して下院の現在の優勢を維持する必要がある。実際にそうなるのかはまだ全く確かではないが、新規ビジネスに飢えた投資銀行家は既に、公約の増税が実現する見通しに飛びついている。

投資銀行フーリハン・ローキーは今月の顧客向け資料で「現在の、そして将来の顧客に対しては、起こり得る変化とそれに伴う結果に細心の注意を払うようお勧めしたい。そうした顧客が近い将来、事業の出口戦略を考えるならばだ」と記した。

バイデン陣営はコメント要請に返答していない。

投資銀行の売り込み先は、事業経営に発言力を持ち、売却時期を決めることができる個人や経営一族。プライベートエクイティ(PE)会社のこともある。企業の創業者、即ち事業売却が一世一代の決断になる人々も含まれる。

そうした戦略は奏功しているようだ。金融データ提供のディールロジックによると、今年第3・四半期に売却された米国の非上場企業は総額2530億ドルで、前期からは約5倍、前年同期比では51%増えて過去最大級になった。コロナ禍で幾つかのセクターの企業価値が低減したにもかかわらず、こうした結果が出た。

投資銀行PJTパートナーズ系の戦略助言グループのパートナー、デービッド・パーデュー氏によると、この夏場以降、家族経営の企業と一部の資産売却の活用について対話する事例が増加。「こうした投資家の多くは、事業への課税にどう対処するかについて目が肥えている」と話す。

たとえバイデン氏が大統領選を制して増税案を進めようとしても、事業オーナーは会社売却を急がないでいいかもしれない。トランプ大統領の法人税減税案は2017年に議会で成立したが、その大半はトランプ氏が就任して1年後の18年に施行された。

それでも非上場企業の売却が増えていることは、事業オーナーの一部がバイデン氏勝利とそれに伴う税制改革をありうべしと考えていることを示す。

ディールロジックによると、今年に入ってからの非上場企業売却の助言業務で業界首位はゴールドマン・サックスで、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカと続いた。

投資銀行家は、企業売却の検討に際しては節税の観点よりも最良の価格を提示することがもちろん優先すると強調する。特にプライベート・エクイティは、最良の価格の判断よりも、その買収ファンドマネジャーにとっての税金のメリットのために自分たちが会社を売ることになったと投資家に受け止められ、批判されることを懸念しているという。

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