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コラム

コラム:米大統領選、中南米系の投票行動に変化 背景に生活向上

[ニューヨーク 10日 ロイター] - 中南米系の有権者が米国の政治的な勢力図を書き換えようとしている。経済的状況の変化が背景だ。トランプ大統領の苛烈な移民政策にもかかわらず、フロリダ州とテキサス州で中南米系有権者の多くが今回の大統領選でトランプ氏支持に転向した。

 中南米系の有権者が米国の政治的な勢力図を書き換えようとしている。経済的状況の変化が背景だ。写真は旗を振るトランプ氏の支持者。マイアミで3日撮影(2020年 ロイター/Marco Bello)

これは、そうした有権者の多くが前回大統領選の2016年以降、いかに経済的に豊かになったかを映し出す。そこそこの経済的向上が、こうした流れが続くかどうかを決める鍵になるかもしれない。

中南米系有権者の行動変化は大統領選に大きく影響した。民主党のバイデン前副大統領はテキサス州スター郡であわや負けるところだった。ここは住民の大半が中南米系で、前回選挙では同じ民主党のヒラリー・クリントン候補が60%ポイント得票して勝利した郡だ。トランプ氏は、中南米系が人口の3分の2を占めるフロリダ州マイアミデイド郡でも大きく票を稼いだ。

ただ、こうした傾向が全米で繰り返されたわけではない。アリゾナ州マリコパ郡は中南米系が人口の3分の1だが、バイデン氏が優勢だ。

大概の米国民と同様、中南米系市民には彼らの多様な文化的背景を映したさまざまな行動の動機がある。ピュー・リサーチによると、圧倒的な部分がフロリダ州に住むキューバ系米国人は、移民問題よりも暴力犯罪を気に掛けている。一方で、テキサス州では中南米系の70%強がメキシコ系だが、医療問題が最大の懸案事項だ。

しかし全体的にみると、経済が一番重要なようだ。新型コロナ禍が起きる前、2016年以降に経済的な改善を経験したのは、人口分布の中で中南米系が最も多かった。米連邦準備理事会(FRB)によると、中南米系は16年から19年にかけて資産が中央値で65%増加した。白人の家計はこの間、3%増加にとどまった。フロリダ州マイアミデイド郡の失業率は今年、過去最低の1.5%になっていた。

もっとも、中南米系と白人の富の格差はトランプ政権時代にそれほど縮小していない。FRBによると、中南米系の資産は白人と比べると、その15%程度だ。マリコパ郡とスター郡で起きたように、住民の人種構成がより入り交じる郡では、人種的経済格差はより明らかだ。ワールド・ポピュレーション・レビューによると、マリコパ郡では中南米系の約4分の1が貧困ラインを下回って生活しているが、同郡の白人ではその比率は10%に満たない。

バイデン氏は政策でこの格差を縮めたいと望んでいる。バイデン氏の税制改革案には相続税引き上げが含まれるが、これで影響を受ける大半は、白人が幾世代にもわたって蓄積してきた富だ。

バイデン氏は公立大学の学費で、年間所得12万5000ドル(約1300万円)を下回る世帯の学生は免除することを望んでいる。バイデン氏によると、そのおかげで中南米系の家計の約9割が借り入れを増やさずに済む計算になる。そうすればバイデン氏の支持には資する可能性がある。しかし長期的に見た2020年大統領選の一つの教訓は、中南米系米国人は経済格差が縮まれば、より民主党への頼もしい投票者ではなくなるということかもしれない。

●背景となるニュース

*ロイターによると、今年の米大統領選でトランプ氏はフロリダ州では、得票率が前回16年から最大約12%ポイント上がった。

テキサス州の中南米系の多い地域でも支持が増え、メキシコ国境沿いの複数の郡では得票率が、16年のヒラリー・クリントン候補の得票を11-27%ポイント上回った。スター郡では前回、クリントン氏がトランプ氏を60ポイント差で破ったが、今回のバイデン氏はトランプ氏を5ポイント上回っただけだった。

*CNNの8日の報道によると、バイデン氏はアリゾナ州の中南米系の多いマリコパ郡選挙区で、票の75%以上を獲得した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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