October 30, 2018 / 5:49 AM / 20 days ago

アングル:米中間選挙、ハリウッドが練る「反トランプ作戦」

[ロサンゼルス 11日 ロイター] - ハリウッドで先月、100人を超える人々の関心が政治に注がれた。場所は「OMG WTF」という派手なサインを掲げたクールなピアノバーだ。

 10月11日、反トランプ運動の最前線にいる米ハリウッド業界は、11月6日の中間選挙において州知事などの選挙の候補者を支援するために、スターたちの影響力と創造性を生かそうとしている。写真は民主党候補の支援を明らかにした米ポップス歌手テイラー・スウィフトさん。9日、ロサンゼルスで撮影(2018年 ロイター/Mike Blake)

トランプ米大統領と不倫関係を持ち、口止め料を支払われたと主張している米ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんの弁護士を務めるマイケル・アベナッティ氏を中心に集まった人々だ。

「OMG WTF」は、共和党が優位に立つオハイオ、ミシガン、ジョージア、ウィスコンシン、テキサス、フロリダの6州で州議会議員などのポストを狙う民主党候補を支援する政治行動委員会(PAC)だ。州の頭文字を並べたものだが、どちらも「なんてことだ」という意味の3文字の略語で構成されている。

米コメディ「ファニー・オア・ダイ」の元プロデューサー、ベン・シーハン氏(33)は、この会の名称は「私たちが毎日、感じている感情でもある」と語り、人々の笑いを誘った。

ハリウッドのエンタメ業界は、これまでトランプ大統領に対する政治的抵抗の最前線に立っており、移民から銃規制に至るまで、さまざまなテーマに関する進歩的な意見を後押しするために、各種の授賞式やソーシャルメディア、寄付などの場を利用してきた。

ハリウッドは現在、11月6日の中間選挙において「ダウンバロット」と呼ばれる選挙の候補者を支援するために、スターたちの影響力と創造性を生かそうとしている。「ダウンバロット」というのは通常、投票用紙のなかで国政選挙よりも下の方に記載されている州や地方自治体の公職選挙を意味する言葉だ。

このアプローチは、2016年の米大統領選挙が与えた「トランプ・ショック」を受けて、ハリウッドが練り直した政治行動シナリオの一環だ。

4年に1度の米大統領選では、選挙資金を集めるセレブたちが話題を呼び、彼らは有力候補の応援にも登場する。人気歌手のケイティ・ペリーさん、俳優のジョージ・クルーニーさん、プロバスケットボール選手のレブロン・ジェームズさんなど、前回の大統領選でトランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン民主党候補を支持したセレブは数多い。

だが、中間選挙の際にはこうしたトップクラスのエンターテイナーが目立たないのが普通であり、彼らが乗り出すのは、注目の激戦区というのが、これまでの常だった。米ポップス歌手テイラー・スウィフトさんは今月、政治に関する沈黙を破り、テネシー州知事と同州選出の上院議員について民主党候補を支持することを明らかにした。

トランプ氏が大統領に就任し、ムスリムが多数を占める複数国家からの渡航禁止措置などの政策を導入し始めると、ハリウッドのタレントたちは、こうした動きに抵抗することに情熱を傾けるようになった、と政治ストラテジストは指摘する。彼らは、ハリウッドがどうすれば最も効果的に反撃できるかをじっくり検討しているという。

<狙いは35歳以下の有権者>

米議会の両院における優位性を共和党から奪い返し、トランプ大統領の政策推進を阻止するために民主党が対策を模索する中で、ハリウッドのいくつかの団体も両院の議席に狙いを定めている。

目立たない州知事や州司法長官の選挙に対する関心を集めようと、「OMG WTF」を立ち上げたシーハン氏もその中の1人だ。

同グループはジョージア州知事選挙でステイシー・エイブラムス民主党候補を応援するために即興のコメディイベントを主催。ミシガン州で民主党の知事候補に選出された元州上院院内総務のグレッチェン・ウィトマー氏のためには、マジックショーを企画した。

こうしたイベントには、米人気ドラマ「グリー」に出演するスター俳優ダレン・クリスさんや「ザ・ホワイトハウス」に出演するブラッドリー・ウィットフォードさんなどのセレブが参加。特にターゲットとされたのは、歴史的に投票率が低い35歳以下の若い有権者だ。

ウィットフォードさんは、「ダウンバロット」選挙への注力を強めることが民主党にとって特に大切だ、と話す。

「右派は、選挙に負けると教育委員に立候補し、州司法長官に立候補し、シンクタンクを立ち上げる」とウィットフォードさんはロイターに語った。「ところが左派は、お手上げのまま、選挙制度が腐敗していると言い、しまいには政治参加をやめてしまう」

「進歩的な有権者の意識を高める必要があると思う。特に若い人たちだ」と彼は言う。

ピアノバーで開かれた資金集めパーティでは、回るミラーボールの下でゲストたちが「ホワイト・ルシアン」などのカクテルを口にするなかで、シーハン氏が「ダウンバロット」選挙の重要性を説いた。

州議会議員などを押さえれば、トランプ政権に対するブレーキになる、と彼は参加者に語った。州司法長官は連邦法を阻止する訴訟権限を持ち、州務長官は有権者へのアクセスに影響を及ぼすことができる。

さらにシーハン氏は、州知事の多くは、州議会によって10年に1回見直される連邦議会選挙の選挙区割りに政治的意図が働いていた場合には拒否権を行使できる、と指摘した。

「連邦政府が行動しない場合でも、州単位での改革をつなぎ合わせて大きくすることはできる」とシーハン氏。また、州のリーダーたちは将来の国政選挙に向けた候補者を選ぶ基盤になる、と付け加えた。

「OMG WTF」は夏の発足以来、最初の数週間で10万ドル(約1130万円)以上の資金を集めたという。この資金は「ダウンバロット」選挙に出馬する民主党候補向けの寄付や、啓発用の資料、大学キャンパスでのイベントなどの費用に充てられる。

この団体以外にも、米人気歌手ジョン・レジェンドさんは刑事司法改革を支持する地区検事長候補への支援を呼びかけ、女優のアリッサ・ミラノさんは民主党のフロリダ州知事候補アンドリュー・ギラム氏などのために電話での投票依頼を手伝っている。

<セレブの活動は効果的か>

セレブによる活動が選挙に与える影響は不透明だ。ヒラリー・クリントン氏の敗北を受けて、ハリウッドのスターがジェットで駆けつけては、誰に投票すべきか説いたせいで、逆にうんざりした有権者もいたのではないか、という疑問も生まれていた。

今回、選挙戦略担当者は、セレブたちを彼らが住む州選挙に向かわせている。そこであれば、住民や地元の問題を知っており、候補者の知名度アップにも貢献できるからだ。

「地元の選挙であれば、セレブとしての名声があり、候補者や選挙と実際に関係ある人たちが、マイナスに働くとは思えない」。タレント事務所ICMパートナーズの上級政治ストラテジストで、ICMポリティクスの創設者でもあるハンナ・リンケンホーカー氏は語る。

テイラー・スウィフトさんと人気ポップ歌手リアーナさんは今月、有権者登録を行うよう公開の呼びかけを行った。

ハリウッドの活動家は、有権者登録が実際の投票につながるかどうか効果を測定する必要がある、と語るのはメディア企業エンデバーの政府対策担当副社長を務めるエイモス・ブハイ氏だ。

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エンデバーは今月ナッシュビルで、セレブたちが有権者を期日前投票所に誘う超党派イベントを開催した。この主催者は、このイベントによって、どれくらい多くの人々が実際に期日前投票に行くかを見極めたいと考えている。

「これが成功すれば、2020年(の大統領選挙)にはこうした動きが広がるかもしれない」とブハイ氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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