October 26, 2018 / 2:26 AM / 16 days ago

焦点:怒れる米国民、中間選挙で民主党を優勢に導く可能性

[ニューヨーク 24日 ロイター] - 米カリフォルニア州に住む共和党支持者のベン・チコさん(67)は、11月6日の中間選挙の後に、民主党がトランプ大統領の弾劾を試みるかもしれないと耳にして、以前から感じていた民主党員へのいら立ちが憤激に変わったと話す。

10月24日、米国民は、怒っている。厳しかった2016年の大統領選後も、公の議論の場は、彼らが抱える怒りに支配されている。写真は6日、ワシントンの連邦最高裁前で抗議活動を行う女性(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)

ノースダコタ州で民主党を支持するエデン・ストレイマーさん(23)は、人工妊娠中絶が再び違法になる可能性に怒り続けている。

そして、アリゾナ州の民主党支持者パティー・ブレアさん(74)は、トランプ大統領の姿をテレビで見かけるたびに、こみ上げてくる怒りで頭が真っ白になるという。「最低最悪な感情だ。バケツの中に落ちて、這い上がろうとするたびに誰かに押し戻されるみたいだ」

米国民は、怒っている。厳しかった2016年の大統領選後も、公の議論の場は、彼らが抱える怒りに支配されている。大人数が集まる乱暴な抗議集会から、ソーシャルメディアで繰り広げられる論争に至るまで、怒りが友人や家族を引き裂いている。

この怒りは、来月行われる中間選挙で有権者を投票所に向かわせる原動力となるだろう。ロイター/イプソスが行った最新世論調査によると、民主党を支持する有権者の方が、より大きな怒りを抱いているため、今回の選挙では同党の追い風となる可能性がある。

2万1000人を対象に2カ月間行われた同調査では、有権者が抱える感情について質問した。同調査によれば、民主党支持者にとって最も大きな怒りのターゲットとなったのは、メキシコ国境から不法入国した移民親子を引き離すトランプ政権の政策(現在は中止)や、米大統領選挙へのロシア介入疑惑、そしてトランプ大統領その人だった。

共和党支持者にとっては、トランプ大統領を追い落とそうとする議会による弾劾手続きの可能性や、不法移民問題、また主要ニュースメディアなどが怒りの的となっていた。

今回の中間選挙では、州知事なども含めた数千のポストについて投票が行われるが、最大の焦点は連邦議会の勢力バランスだ。

調査によれば、民主党は下院で過半数を奪還するために必要な23議席を、今回の選挙で積み増す可能性がある。

一方、上院で同党が過半数を奪うには改選前より2議席を積み増す必要があるが、同党ではトランプ氏が2016年に勝利した州の10議席を含む26議席が今回改選の対象となっており、過半数獲得の可能性はより低いとみられている。

怒れる有権者は、投票に行く可能性が高い。ロイター/イプソス調査によると、民主党支持者の方が一般的に、共和党支持者よりも、自らにとって重要な問題について怒りの度合いが大きい。

これは、怒りの程度が同程度だった2016年の大統領選と大きく違う点だ。調査に協力したミシガン大の行動学専門家ニコラス・バレンチノ氏は、ロイター向けにそう分析する。

今回の調査データは、想定よりも多くの民主党支持者が投票に参加する可能性を示唆しており、激戦区ではこれが「最後の一押し」となって同党に勝利をもたらす可能性がある、とバレンチノ氏は指摘する。

「それがまさしく2016年に起きたことだ。投票に行かないとみられていた人々の多くが、(民主党の)ヒラリー・クリントン候補に非常に立腹したため、実際には投票に参加して、誰もが驚く結果をもたらした」と、同氏は分析する。

<内戦状態>

アリゾナ州などの激戦州でロイターの取材に応じた有権者は、民主、共和両党の間に蔓延する怒りを嘆いた。またそのことで、投票に行く意欲が一層高まっていると語った。

元海兵隊員ティム・リザビーさん(57)は、この国が「内戦」に向かって坂道を転がり始めているとの懸念を口にした。「もう戦闘は十分やってきたので、ここで再び戦いたくない」

上院議員選では、共和党のマーサ・マクサリー候補に投票するとリザビーさんは言う。アリゾナ州は、上院選のすう勢を占う上で重要な激戦州の1つだ。

スピーチトレーナーのブライアン・カーソンさん(46)も、似たような心情を語った。「私たちはお互いを憎みあう方法を、より有効にすばやく身につけつつある。極めて残念だ」

2016年と2018年の選挙戦では、これまでの選挙サイクルと比べ、国民全体がより強い怒りを抱いているようだ。1980年以降に行われた同様の調査を分析したバレンチノ氏はそう語る。

今回の調査は、8月17日から10月7日に実施され、トランプ大統領や、ニュースメディア、移民問題や最高裁の判事指名などの問題に対して抱える怒りや恨み、心配、恐れ、希望、安心や満足といった感情の度合いを質問。これまでの投票歴や政治的関心についても調べた。

怒りの度合いを10段階(10が最大)で表現すると、大卒以上の民主党支持者は、不法移民の親子引き離し政策について平均8.4の怒りを示した。トランプ政権は6月、国内外の批判を受けた同政策を撤回した。民主党支持者は、一般的に、トランプ大統領に対して平均7.6の怒りを抱いており、女性の方が男性より強い怒りを示している。

ミシガン州で民主党を支持するリサ・モルさん(58)は、トランプ大統領について、「女性について話すときには必ず、その外見について話さないと気が済まないようだ。目玉をほじりだして、見えなくしてやりたい」と憤慨する。

55歳以上の共和党支持者は、不法移民問題で平均7.9の怒りを示した。また、男性の共和党支持者が、トランプ大統領が弾劾される可能性に対して怒る度合いは7.6だった。

民主党が下院で過半数を獲得すれば、理論上、大統領の弾劾に向けた手続きを開始できるが、それは最優先の課題ではないと同党の指導部は表明している。

米国で人工妊娠中絶が非合法になる可能性について、女性の民主党支持者が7・3の怒りを示す一方で、女性の共和党持者の怒りの度合いは4.1にとどまった。ブレット・カバノー氏が最高裁判事に就任したことで、民主党支持者は懸念を深めている。中絶は合法と認めた1973年の最高裁判決を見直す場合、判事9人で構成される最高裁では、カバノー氏の1票で判決が覆される可能性があるためだ。

カバノー氏承認を巡る論争は、中間選で共和党よりも民主党の有権者を活気付ける可能性がある、とバレンチノ氏はデータを分析する。

オンラインで2万1027人から回答を得た今回のロイター/イプソス調査によれば、希望や恐怖よりも、怒りの方が投票意欲を高めるのに有効だ。

ノースダコタ州のストレイマーさんは、怒りがより多くの知識を求める原動力となったと話す。中間選挙では、苦戦中の民主党現職ハイディ・ハイトカンプ上院議員に投票するつもりだという。

また、自分の考えや不満を日記に書くようにしていると彼女は言う。「自分を怒らせる事柄について書くことが多い。そうすれば、人と口論しなくて済む。けんかするのもいいが、それでは何も変わらない。ネット上に書き込みをしても何も変わらない」

「でももちろん、投票には行く」と彼女は付け加えた。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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