September 21, 2018 / 4:22 AM / a month ago

ブログ:ダウン症ファッションモデル、華麗に世界をウォーク

[ニューヨーク 18日 ロイター] - ロザンヌ・スチュワートさん(46)は、2015年に娘のマデリンさんと見に行った故郷オーストラリアのブリスベンのファッションパレードを思い出す。華やかなショーの興奮の中、言葉が不自由なマデリンさんは母親を振り返り、モデルになりたい、ときっぱり宣言した。

 9月18日、マデリンさんはニューヨーク・ファッション・ウィークでランウェイを歩いた初のダウン症モデルとなった。写真は9月、ニューヨークで、ショーへの出演を終えてタクシーに乗るマデリンさん(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

娘はレギンスをはいて「男の子とボールを投げて」遊ぶようなおてんばだった。そう振り返るスチュアートさんは、マデリンさんがそんなことを言い出すとは想像もしていなかった。それでも、すぐに応援しようと決めた。

それから4年後、21歳になったマデリンさんは、ニューヨーク・ファッション・ウィークでランウェイを歩いた初のダウン症モデルとなった。ロンドンやパリ、ドバイなどですでに60回以上、モデル歩きのキャットウォークを披露しており、障害は活躍の妨げになっていないようだ。

母親のスチュワートさんはマデリンさんのマネジャーを務める。9月にニューヨークで撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

「初めてキャットウォークをしたとき、観客席の人全員が娘を認めてくれた」と、スチュワートさん。「娘が初めて受け入れられた出来事だった」。

ロンドンの服飾学校でショーに出るマデリンさん。9月にロンドンで撮影(2018年 ロイター/Henry Nicholls)

マデリンさんの活躍は今年に入っても続いている。

今年のニューヨーク・ファッション・ウィークでは、7人のデザイナーのショーでランウェイを歩いた。この後、ロンドン・ファッション・ウィークでも7人のデザイナーのショーに登場する予定だ。

ニューヨーク・ファッション・ウィークの舞台裏で出番を待つマデリンさん。9月にニューヨークで撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

ファッション業界は近年、痩せ型で白人ではない「非伝統的」なモデルを積極的に受け入れている。有力誌からデザイナーまで、多様な人種や体格、能力の女性をランウェイや誌面で採用している。

「特にマデリンにとっては、環境がずっと良くなっていると思う」と、スチュワートさんは言う。

マデリンさんのランチの定番はグリルチキンのラップサンド。9月にニューヨークで撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

他の多くのモデルと同じように、マデリンさんの一日は健康的な朝食で始まる。それから衣装合わせに向かい、赤味がかったブロンドの髪のセットとメークをしてもらい、次のランウェイに備える。

ランチには大好きなグリルチキンのラップサンドイッチを楽しむ。マデリンさんは毎日これを食べるのだという。

「ラップサンドがないときは、ただのチキンサンドイッチを食べることもあるけれど、彼女が本当に欲しいのはラップだけ」と、スチュワートさんは語る。

マンハッタンのホテルで母親と。9月にニューヨークで撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

ショーの合間にはiPad(アイパッド)を抱えてネットサーフィンしたり、ボーイフレンドのロビーさんとビデオでチャットをしていることが多い。ロビーさんも知的障害がある。2人は4年ほど前、オーストラリアで開かれた知的障害者のスポーツ競技会「スペシャルオリンピックス」の期間中に出会った。

<障害と生きる>

当時26歳でマデリンさんを産んだスチュワートさんは、医者から娘がダウン症であることを告げられた。7歳まで生きられないという。

不動産鑑定士で、今は娘のマネージャーもフルタイムで務めるスチュワートさんは、マデリンさんに普通の生活をさせようと決めたと振り返る。

ショーの出演に向けて準備をするマデリンさん。9月にニューヨークで撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

「赤ちゃんを産むと、みんなおめでとうと言ってくれる。でもダウン症があると告げると、おめでとうではなく、残念ですねと言われてしまう」と、シングルマザーのスチュワートさんは言う。

モデルになる前、マデリンさんは肥満に悩んでいた。ダウン症を持つ人にはよくあることだと、スチュワートさんは言う。心臓の状態や健康を考えて、痩せたいという希望は以前から口にしていたという。

ロンドン・ファッション・ウィークの舞台に上がる直前のマデリンさん。9月にロンドンで撮影(2018年 ロイター/Hannah McKay)

「心臓に穴が開いているから、モデルになる前から体重を絞っていた」と、スチュワートさんは言う。「たまたま痩せることに成功したときにファッションパレードを見に行き、写真を(ネットに)載せて、そこからすべて動き出した」。

スチュワートさんは15年、障害を持つ人の励みにしてもらおうと、体重を落としたマデリンさんの写真をソーシャルメディアに載せた。すぐに拡散し、1週間で720万人が閲覧、150カ国でメディアに取り上げられた。

1カ月もたたないうちに、南アフリカのデザイナー、ヘンドリック・ベルミューラン氏から依頼が来た。モデルとしてニューヨーク・ファッション・ウィークのショーに出演して欲しい、と。マデリンさんのモデルとしてのキャリアがスタートした。

母親のロザンヌさんとショーの会場へ向かう途中、雨が降り出した。9月にニューヨークで撮影 (2018年 ロイター/Andrew Kelly)

スチュワートさんは障害者に関わる人たちから、子供の習い事に熱を入れる「ステージママ」のように、マデリンさんにモデルを強制していると非難を向けられたこともあったという。

だがスチュワートさんは、マデリンさんが自分の意思でモデルをやっていないと考える人は、ダウン症のことを何も分かっていないと話す。

「ダウン症を持つ人は、とても意思が固い。もしマデリンがランウェイを歩きたくないのなら、端っこに座り込んでテコでも動かないと思う」。

(文責:Gina Cherelus、撮影:Andrew Kelly)

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