[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は大手銀行に対して、気候変動リスクがバランスシートに及ぼす悪影響を最小化するため講じている対応策に関する情報提供を始めるよう、非公式なルートで要請している。事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。
バイデン大統領は気候変動リスクを金融規制の枠組みに盛り込む方針を掲げており、当局がそうした意向に沿って動いている様子がうかがえる。大手行にとっては厄介な問題になる可能性もある。
欧州の金融当局は今年、気候変動問題について銀行にストレステスト(健全性審査)を行っている。一方複数のFRB高官は以前、気候変動が銀行資産にどう影響するか理解するために新しいシナリオ分析を検討していると表明していたものの、まだいつ、どのようにストレステストを実施するか具体的な計画は示していない。
ただ4人の関係者によると、FRBの銀行監督部門は既に大手行との非公式協議の場で、特定の気候変動シナリオの下での貸し出し資産の動きを把握する方法について、詳しく説明するよう促しつつある。
関係者は、FRB側は分析に使用する変数などの指示はしていないとはいえ、大手行が内部リスク管理を適切に執行し、関連データを提供してくれることを期待する姿勢を明確にしたと述べた。
FRBは今のところ、収集したデータを追加の資本上積みやその他の規制措置に結び付ける考えは打ち出していない。
JPモルガンやシティグループ、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーといった大手行は気候変動リスクの影響を巡り、内部リスク管理の面と欧州当局からの要請に応じる形で検討を進めている。
それでもさらにFRBからも情報提供を求められることで技術やデータ管理、人員などへの新規投資を迫られ、重圧が強まりそうだ。
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