[4日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は4日、インフレ抑制に向け連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続を支持するとしつつも、今後の利上げペースはこれまでよりも小幅になる可能性があるという見解を示した。
講演で「インフレがFRBの目標である2%を大幅に上回って推移する中、物価安定の回復が足元のFRBの主要課題となる」と言明。その上で「インフレ抑制に向けた仕事はまだ終わっていない」としつつも、「まだ明確な証拠とは言えないが、インフレが鈍化し始めているという希望が持てる兆候はある」と述べた。
コリンズ総裁は、FRBがこれまでに4会合連続で0.75%ポイント利上げを実施したことに言及し、「金利が制約的な領域に入った今、金利引き上げの速度や幅ではなく、むしろどこまで引き上げるか、何が十分に制約的であるかを判断することに焦点を移す時に至ったと確信している」と述べた。そして「今後そのレベルに達した段階で、金利をその水準でどの程度の期間維持するかに再び焦点をシフトする必要がある」という考えを示した。
また、FRBは「政策を巡り多様な選択肢を検討することが重要」とし、今後は0.75%ポイントの追加利上げの可能性も検討されるものの、より小幅な利上げの可能性もあると述べた。
さらに、FRBが利上げを継続するれば「引き締め過ぎるリスクは高まる」と認めつつも、物価安定を回復するという目標を達成するために利上げの大幅な減速が必要とは考えていないとし、「需要を減速させすぎるリスクと、インフレが過度に長期間持続することを容認し、インフレ期待を不安定化させるリスクの均衡を取ることがますます重要になるだろう」と述べた。
FRBは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が2023年に4.50─4.75%でピークに達するとの見方を示していたが、コリンズ総裁は講演後に政策金利をそれ以上に引き上げなければならないかもしれないと指摘。ただ、ピークがどの程度になるのかを語るのは時期尚早とした。
この日に発表された雇用統計に関しては、好調に見えるものの、経済の現状と完全に一致していない可能性があると言及。米経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から回復する際に労働供給を巡る問題が生じ、足元では多くの企業が確保できなかった雇用を引き続き取り戻そうとしているため、雇用統計は「現時点で遅行指標として機能している可能性がある」とした。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」