January 6, 2020 / 5:40 AM / 12 days ago

バーナンキ氏ら、低インフレ・低金利下の米金融政策を議論

[サンディエゴ 5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は、低失業率、低インフレ、低金利が共存する前例のない状況に直面し、次の景気後退にどう対処するか取り組んでいる。サンディエゴで3日間にわたり開かれたアメリカ経済学会の年次会合では、金融規制への新たなアプローチやFRB戦略の抜本的見直しが議論された。

 1月5日、米連邦準備理事会(FRB)は、低失業率、低インフレ、低金利が共存する前例のない状況に直面し、次の景気後退にどう対処するか取り組んでいる。写真は昨年1月アトランタで撮影(2020年 ロイター/CHRISTOPHER ALUKA BERRY)

数あるテーマのなかで、ひときわ目立ったのは、低失業率が引き起こす望ましくないインフレに、金融政策担当者が利上げで対抗できるという、教科書的な中央銀行の考え方が、完全には破られないまでも、少なくともひどく妨げられているということだ。

低失業率と弱いインフレが共存しているだけでなく、世界的に金利は低水準にとどまり、上昇する可能性は極めて低いと考えられている。FRBなど、主要中央銀行が金利をゼロ%に引き上げる前に次のリセッションに入る可能性があり、そうなれば緩和余地は乏しく、他の戦略を迫られる。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「これらの要因は、基本的にわれわれが取り組んでいる問題だ」 と述べた。

FRBは現在、金融政策の広範囲な見直しを進めており、今年中に結論を出す予定だ。米経済は現在、順調に推移しており、当面景気後退の可能性は低いとみられている。

会議では、さまざまな意見が出された。ベン・バーナンキ元FRB議長は、自身が2007─09年の世界金融危機時に繰り出した債券買い入れ(量的緩和)のような、かつて異例とされた金融政策手段をFRBの政策措置に恒久的に組み込むよう主張した。

フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標がが2─3%を大きく超えていく公算は小さく、現在はこれを下回る水準に設定されていることから、FRBは次の景気後退に対処する十分な対応予知がないとバーナンキ氏はいう。

前議長のジャネット・イエレン氏は5日、金融規制のためのより良い手段が必要との見解を示した。他の措置によって、現在の金融緩和が信用収縮を引き起こしたりすることを阻止できるという確信があれば、低金利を続けていても大丈夫という考えだ。

米国では政治的に微妙な問題になるが、他の国では低金利がリスクの高い借り入れを助長するのを防ぐため、住宅ローンなどの規制を厳しくしている。

イエレン氏は、最大雇用と物価安定というFRBの二大目標に「金融政策が集中するために、このような手段が必要」と指摘する。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、会議の合間にロイターに対し、FRBが今、1つの問題を解決しようとしているとすれば、それは、労働者が現在目にしている恩恵と引き換えに、どの程度の金融リスクを将来にもたらすつもりかということだ、と指摘。

「なかには『私は今、非常に低い金利のリスクを喜んで引き受けます』と言う人もいる。一方で、金融の安定に問題が生じた場合、支援しようとしている人たちこそが、より大きな被害を受けることになる、という意見もある。それは一種の問題だ。時間軸の問題だろう」と語った。

FRBは昨年、3回利下げしたが、政策担当者からは、低水準の借り入れコストに起因するリスクを懸念し反対する声もあがった。

結局、パウエル議長をはじめ、連邦公開市場委員会(FOMC)の大半のメンバーは、金融市場には不安定性の高まりを示す兆候はほとんどみられず、利下げが世界経済の成長鈍化と関税引き上げが米経済に及ぼす影響を和らげられると判断した。

<別の手段が必要>

会議で発表された研究報告は、イエレン氏が主張したように、銀行や家計の借り入れに関するより良いルールがあれば、FRBはマクロ経済目標について妥協する必要はないだろうと指摘。

FRBの金融安定部門の責任者を務め、現在はブルッキングス研究所シニアフェローのネリー・リアン氏は「金融政策は、生産や物価の安定、いわゆる金融情勢に対処できるのだろうか。別のツールが必要」という。

リアン氏は、国際通貨基金(IMF)とニューヨーク連銀の研究者らと共同執筆した論文で、金融情勢を安定させる別の手段がなければ、中銀の政策は、時折発生する信用収縮のために長期的な低成長をもたらすと結論づけた。

 1月5日、米連邦準備理事会(FRB)は、低失業率、低インフレ、低金利が共存する前例のない状況に直面し、次の景気後退にどう対処するか取り組んでいる。写真は昨年1月アトランタで撮影。(2020年 ロイター/CHRISTOPHER ALUKA BERRY)

「インフレ率は低く、雇用は多い。インフレが高くないからといって金利を低いままにしておいた場合、どのような金融の脆弱性を構築する可能性があり、それによってダウンサイドのテールリスクが今後4四半期、8四半期にどの程度増加するか」と問い「これらの脆弱性は時間の経過とともに増大する。後で状況が悪化するという代償を払って今、いい思いをしている」と述べた。

こうした意見が近い将来どの程度の重みをもつかは不明だ。規制当局は銀行に関するいくつかの規則の緩和に動いている。リアン氏のグループが検討した案の一つである、融資等の状況が良いときは引き上げられ、悪い時に緩和される「カウンターシクリカル」銀行資本基準は規定されているが、まだ実際に活用されてはいない。

会合にはその他、FRBが次の危機に単独で対処しなくてすむよう、財政政策の対応に踏み込んだ報告も発表された。なかには、国防費などを景気テコ入れに振り向けるべきとの主張もあった。

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