for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:パウエル議長が目指す人種格差是正、心配は景気の過熱

[ワシントン 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、格差是正という立派な目標を掲げているが、それによって金融緩和のアクセルを踏み込み過ぎてしまうかもしれない。パウエル氏が望んでいるのは、新型コロナウイルスのパンデミックが原因で拡大してしまった人種間の失業率の開きを縮めることだ。ただそのために有効な政策の大半はFRBの権限外にしか存在しない。さらにこうした開きが小さくなる前に、米経済が過熱化しかねない。

 3月17日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、格差是正という立派な目標を掲げているが、それによって金融緩和のアクセルを踏み込み過ぎてしまうかもしれない。3日、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

FRBは大方の予想通り、17日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で事実上のゼロ金利を維持し、FOMCメンバーの政策金利予想中央値に基づくと、2023年いっぱいまで利上げは実施されないことが示された。一方でFRBは、つい最近議会で成立した2兆ドル近い規模の追加経済対策も勘案し、今年の国内総生産(GDP)成長率見通しを、昨年12月時点の4.2%から6.5%に引き上げた。それでもパウエル氏は、米経済が完全雇用状態からかけ離れていると繰り返した。

問題は、完全雇用が一種の「動く標的」であることだ。FRBはこれまで、できるだけ取り残される人がいない形で景気回復を実現したいと表明してきた。パウエル氏は2月、黒人の失業率が5.2%と過去最低になったのは2019年8月で、当時の白人の失業率3.4%との格差は統計開始以来最も小さくなったと指摘。ところがパンデミック以降、この差は開いている。2月段階では4.3ポイントに達し、黒人の失業率は10%近くに上昇した。

パウエル氏は、格差がどの程度縮小する必要があるか明らかにしていない上、この問題を的確にコントロールする手段を多くは持ち合わせていない。FRBは政策金利変更を通じて経済全般を活性化させることができるものの、人口の特定セグメントに絞った場合、その影響力は小さくなってしまう。

追加経済対策は役に立つ見込みで、コロンビア大学の調査によると、黒人世帯の子どもの貧困率を55%減らすことが可能になる。それでも多くの家庭向けに配られる1400ドルの小切手など、同対策に盛り込まれた膨大な現金給付は、黒人と同様に白人の世帯も支援する役割を持つ。

そして景気回復の他の側面に目を向ければ、むしろ格差を広げる恐れがある。その一例が株価高騰で、これは米国の証券資産に占めるウエートが非常に大きい白人層を潤す。経済見通し改善でFRBにより早期の利上げ圧力が加わる兆しも出ている。借り入れコストは既に上がり始めており、17日の米10年国債利回りは1年1カ月ぶりの高水準となる1.646%を付ける場面があった。

政策金利を事実上ゼロに抑えつつ、何兆ドルもの資金を経済に流し込む政策を巡り、サマーズ元財務長官ら一部のエコノミストは景気過熱を心配している。パウエル氏も自身がそうした事態に置かれていると気付くことになるかもしれない。黒人の失業率がまだ問題視すべき水準にあることで、FRBは何とも厄介な状況に陥っている。

●背景となるニュース

*米連邦準備理事会(FRB)は17日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の誘導目標を0-0.25%に据え置いた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up