[23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者から23日、高インフレ抑制に向けFRBが積極的な行動を取る必要があり、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)利上げがインフレ押し下げに向けた措置に含まれる可能性が高いという見解表明が相次いだ。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、今年前半の利上げを前倒しするのが望ましく、複数回の0.5%ポイント利上げも視野に入れていると強調。「利上げに着手することが重要だ。すぐにでも利上げしたほうが年後半の出来事に対してより態勢を整えられる」と述べた。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も、データで必要があると示されれば、5月のFOMCで50bpの利上げを決定し、バランスシート縮小に着手することに前向きという認識を示し、「物価安定の確保に向けあらゆる措置を実施する用意がある」と強調した。
このほかセントルイス地区連銀のブラード総裁は、インフレが本来あるべき水準を「はるかに超えている」状況を踏まえ、米金融当局者は利上げついて「より大きく」考え、「より速いペース」で行動する必要があるという認識を示した。
ブラード総裁は25bpの利上げを決定した15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利上げを主張していた。
パウエルFRB議長は21日に全米企業エコノミスト協会(NABE)会合で行った講演で、インフレ抑制にFRBは「迅速に」行動する必要があるとし、必要に応じて通常より大きな幅での利上げを実施する可能性があると述べていた。
金融市場では、今後の会合で2回の50bp利上げが実施される可能性を織り込み、金利が年末時点で2.25─2.5%のレンジに上昇することを見込んでいる。
<バランスシートの縮小>
パウエル議長は21日の講演で、5月までに約9兆ドル規模に膨らんだバランスシートの縮小に着手する可能性があるという見方を改めて示した。
デイリー総裁の試算では、バランスシート縮小による引き締め効果は少なくとも1回の25bp利上げに相当する。
メスター総裁も、FRBが同じ政策決定会合で利上げとバランスシート縮小開始を同時に行うことは可能と指摘。「現在の状況とパウエル議長がすでに行ったバランスシートのプロセスに関するコミュニケーションを考えると、それが不安定要素になるという懸念はないし、インフレが非常に高まっていることを認識しなければならない」とし、「インフレを抑制するために双方の政策手段を使って、できることをしなければならない」と語った。
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