August 26, 2019 / 4:33 AM / 4 months ago

通貨戦争への対応、金融政策の活用は自らを傷つける可能性=論文

[ジャクソンホール(米ワイオミング州)23日 ロイター] - 米ワイオミング州で開催されているジャクソンホール会議で23日、通貨戦争に対応するために金融政策を活用することは、最終的には自身を傷つけることになる可能性を指摘した論文が発表された。

 8月23日、米ワイオミング州で開催されているジャクソンホール会議で、通貨戦争に対応するために金融政策を活用することは、最終的には自身を傷つけることになる可能性を指摘した論文が発表された。写真は北京で2016年1月撮影(2019年 ロイター/Jason LeeIllustration)

少なくとも発展途上国にとっては、米連邦準備理事会(FRB)のような中央銀行が行動を起こし、世界的な資本フローが変化した場合、自国通貨の価値を変化させないために、金融政策が本来必要とされるものから逸脱する可能性が高い。その時点での借入コストはタイトになり過ぎて景気減速を招くか、あるいは緩みすぎてインフレや過剰の負債を招くかのいずれかになる。

メリーランド大学のセブネム・カレムリオズキャン教授が発表した論文は「国内金融政策の伝達は不完全で、その結果、為替の変動を制限することを目的とした新興市場の金融政策行動は逆効果となり得る」と指摘した。

同教授の研究は、米国の貿易・関税政策の影響で世界経済が減速し、不安定さを増す可能性がある中、各国が中央銀行を使って自国通貨の価値に影響を与え、貿易上の優位性を得ようとする誘惑に駆られるかもしれないという懸念が一部のエコノミストの間で高まっている現状を示している。

トランプ米大統領は、多くの国がそうした動きを見せていると非難し、FRBはドル安に向けて追随すべきだと述べている。

国際通貨基金(IMF)は、こうした「通貨戦争」の勃発は世界が必要としているものではないと指摘。

チーフエコノミストのギタ・ゴピナス氏を含むIMF当局者は、「金融緩和で通貨が下落し、貿易収支の改善が持続すると考えてはならない」と警告している。

<負け戦>

昨年までの米利上げは一部の国の通貨安を招き、ドル建てで借り入れをしている企業はコスト増に直面した。

カレムリオズキャン教授の研究は、通貨の緩衝材として金融政策を用いることは、いかなる場合も負け戦となる可能性を指摘した。特にFRBによる政策の動きは、他国への投資のリスクに関する認識を変化させ、国内での金融政策の効果を低下させ、結果として為替市場に影響を与えるために必要な変化がより大きくなることが分かった。

こうしたリスク認識の変化は、先進国ではそれほど起きていないという。

この教訓はすべての国に平等に当てはまるわけではない。例えば、中国は膨大な外貨準備を通貨価値の管理に使うことができ、金利の動きを中央銀行に大きく依存する必要がない。

これとは対照的に、教授の母国であるトルコのような国では、FRBが昨年実施した利上げがトルコリラの下落を招き、中銀は利上げでこれに対応しようとした。

しかしこれでは経済の根本的な問題はほとんど解決されず、7月に中銀総裁が解任されたことで政治的危機も招く結果となった。

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