[ワシントン 22日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は22日、各国中央銀行が新型コロナウイルス感染拡大で引き起こされた危機に対応するために導入した低金利政策や債券買い入れ策などが、将来的に金融安定に対するリスクとして台頭する恐れがあるとの考えを示した。
メスター総裁はノルウェー中央銀行が主催した金融政策に関する会合で、中銀は金融リスクが高まった時に緩和的な政策を引き揚げられるよう「エスケープ・クローズ(逃避条項)」を用意しておく必要があると指摘。ただ米連邦準備理事会(FRB)の現行政策にこうしたリスクがあるか、もしくは自身に対応金融引き締めの用意があるかについては明らかにしなかった。
メスター総裁は中銀による資産買い入れについて、「投資家のリスクに対する感度が低下することで脆弱性が作り出されたり、市場の機能に影響が及ぶことで金融政策の伝達メカニズムにも影響が出たりする可能性がある」と指摘。緩和的な政策を維持すると確約することでレバレッジが積み上がる恐れもあると述べた。
その上で「マクロ経済と金融安定が整合しなくなる時が来ると認識し、金融政策のフォワードガイダンスを発表する際に金融安定に対するリスクも考慮し、金融政策の枠組みをより明確にする必要がある」と語った。
このほか、低金利環境と高リスク選好に対応し銀行資本規制を再調整する必要があるとも指摘。ノンバンクを一段と緊密に監視する必要があるとの考えを示した。
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