December 19, 2018 / 8:24 PM / a month ago

米FOMC、利上げを決定:識者はこうみる

[20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は19日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に引き上げることを決定。

 12月19日、米連邦準備理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25─2.50%に引き上げることを決定した。写真はワシントンで8月撮影(2018年 ロイター/Chris Wattie)

FRBが示した2019年の利上げ回数の見通しは2回。9月に示した前回見通しの3回から減少したことで、市場のボラティリティーが高まり、世界的な成長が鈍化する中、FRBの引き締めサイクルが終盤に差し掛かっている可能性があることが示唆された。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

FOMCでは0.25%ポイントの利上げが決まり、メンバーの金利予想(ドット・チャート)では、来年の利上げ回数が前回9月の3回から今回は2回へと減った。

声明文にはFF金利の誘導レンジの「some further gradual increase」が経済活動の持続的拡大に整合的であると記され、9月にはなかった「some」が加わり利上げ局面の終盤をにおわせた。

しかし、利上げ休止まで期待していた市場参加者にとってはハト派的な要素が物足りなかったもようで、ダウは一時500ドル下げ、ドルは112.09円まで下落、米10年国債利回りは7カ月ぶりの2.750%まで低下した。

結果的に市場の失望を招いたFOMCだが、ドット・チャートの下方シフトや声明文の文言の変化だけでなく、パウエル議長の記者会見の内容にも利上げ終盤における政策のファインチューニングの形跡がみてとれる。

パウエル議長は10月、政策金利について景気を過熱も抑制もしない「中立金利に達するまでかなり距離がある」と述べているが、11月には「中立金利をわずかに下回る水準にある」と表現を変えた。

さらに昨日の記者会見では「中立金利の予想レンジの下限にある」と説明した。

中立金利の予想レンジは、ドット・チャートの長期金利の予想レンジ2.5―3.5%である。このため今回の利上げによって政策金利は予想レンジ下限と同水準となり、今後の利上げは小幅にとどまること、もしくは不要となる可能性すら行間にみてとれる。

声明文冒頭では「経済が強いペースで成長している」と9月と同様の認識が示されているが、景気の先行き不安を抱えるFRBによる政策の微調整は続いている。そして、実際には、結構なハト派への変更やその準備がなされている可能性もあり、今後公表される議事録で議論の過程を検証したい。

<マーケット ストラテジイ インスティチュート代表 亀井幸一郎氏>

FOMCは強気と弱気が入り混じり、市場を惑わせることとなった。結果的に米国株が下落し、質への逃避から米国債が買い進まれて米長期金利が低下した。

市場が神経質になっているのは、米国のみならず欧州でも中銀のバランスシートが縮小し、世界的に流動性相場の終焉が近づいていることだ。

市場にとって、ドット・チャートでFOMCメンバーの来年の利上げ予想の回数が減ったという情報は、現時点ではあまり重要ではない。流動性相場が継続するとのシグナルが得られない限り、株価や原油(WTI)などリスク資産の底打ちは期待できないだろう。

米国では賃金や卸売物価の上昇傾向がみられる。ドット・チャートが下方修正されたとはいえ、「指標次第」という米連邦準備理事会(FRB)のスタンスによって、利上げも意識されかねない。

ドル/円は最近はこう着感を強めているが、こうした状態の後にボラティリティーが高まるケースはよくある。来年にはドル高がピークアウトするとみているが、ユーロの弱さがドル高を延命する可能性もあるだろう。

<アメリプライズ・フィナンシャル(ボストン)の主任市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏>

もっとハト派的な内容を期待していた投資家らは失望した。声明の文言変更が必要と考える投資家はたくさんいた。

来年の利上げ回数見通しが3回でなく2回となり、ペースが若干緩やかになったが、市場が期待していた水準からはほど遠い。

経済指標は非常に良好だが、住宅や自動車など金利に敏感な部門の一部でぜい弱さも見られた。だから市場では、米連邦準備理事会(FRB)がハト派色を打ち出すとの観測が広がっていた。

小売売上高統計は好調で、失業率も依然として低い。雇用創出も引き続き堅調だ。FRBは2019年の経済成長率見通しを2.3%とし、前回の2.5%から下方修正したが、これもトレンドを上回っている。

FRBは、市場が引き続き相当堅調で、好調な労働市場に起因するインフレ高進の可能性が少なくともあると、依然として確信しているとみられる。

<インバネス・カウンシル(ニューヨーク)の首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏>

期待していたほどハト派的でなく、やや失望した。今回12月の利上げと2019年に2回の利上げという市場予想と基本的に一致した。

プラスの点として、米連邦準備理事会(FRB)は、経済成長を阻むようなものは何もないと指摘している。恐らく関税問題に関連してだが、見通しはある程度引き下げられている。ただ、すぐに大きな景気低迷を引き起こすような要因はないとしている。

しかしながら、市場はよりハト派的な見通しを期待していた。投資家にとっては明らかにある程度の失望となった。

<UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのジョージ・マリスカル新興国市場最高投資責任者(CIO)>

市場では景気が減速し、インフレへの懸念がない状況において米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続することが懸念されている。

(声明で)来年2回の利上げを見込んでいることが確認された後も、パウエル議長は引き続き、米経済の力強さを強調した。これが景気減速を懸念する投資家を不安にさせた。

一方、このことはドルを支援し、新興国市場全般にとってはマイナスの材料だ。

<3エッジ・アセット・マネジメントの首席投資ストラテジスト、フリッツ・フォルツ氏>

パウエルFRB議長のバランスシートに関する発言は、FRBがこれまでに政策ミスを犯した可能性を示唆している。われわれは金融政策の遅行効果と成長鈍化を踏まえ、FRBが行き過ぎた可能性があるとみなしている。

ただ、トランプ大統領、および市場の圧力に屈することなく、利上げに踏み切ったことで、FRBは一定の信頼性を確立したと言える。

<マニュライフ・アセット・マネジメントのグローバル首席エコノミスト、ミーガン・グリーン氏>

前回の講演のように市場を動揺させないよう、パウエルFRB議長は会見で厳しい舵取りを強いられたことだろう。市場が見込む2019年の利上げ回数観測は1回に減少しており、これは現実的ではない。

今日市場を動かしたのは、FRBがバランスシート戦略の修正を望んでおらず、政策金利が金融政策の主要ツールにとどまるという発言だった。

投資家は引き締め停止の可能性に期待を寄せていたが、バランスシートが政策ツールとなることはなさそうだ。

<プルデンシャル・フィナンシャル(ニュージャージー州)の首席市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏>

バランスシートの縮小が(金融情勢の)引き締めに貢献している。一部ではバランスシートの縮小の方が利上げよりも引き締め効果が大きいとの見方も出ている。ただ連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日の記者会見で、バランスシート縮小に起因する引き締め効果は見当たらないとの見解を崩さなかった。

市場では、金融情勢は引き締まりつつあり、成長の道筋は弱くなっているとの見方が出ている。

<ハリス・フィナンシャル・グループのマネジング・パートナー、ジェイミー・コックス氏>

利下げ停止に関し、市場はより大きな変更を期待していたと考える。

2019年の利上げ回数見通しは3回から2回に引き下げられ、予想ほどハト派的でなかったものの、来年に入れば、さらに引き下げられると確信している。

<インベスコ(ニューヨーク)のグローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏>

米連邦準備理事会(FRB)は利上げを決定する一方で、2019年については一段とハト派的なスタンスを示し、市場の予想を裏切らなかった。

強い警戒感を呼び起こすことなく、過度にハト派的な姿勢を示すことはできないため、今回はバランスをとるのが難しかった。この先、修正を行っていく余地はあるため、FRBのバランスの取り方は絶妙だった。FRBは非常に良いポジションで2018年を締めくくった。

個人的には市場でみられているほど懸念はしていない。経済成長は鈍化はしたものの、なお堅調だ。リスクは明らかに増大しているが、緩やかな成長が続くとの基本的な見通しは変えていない。

<テンパス(ワシントン)のシニア外為トレーダー、フアン・ペレス氏>

利上げは投資家にとって利益拡大を意味するため、米ドルは下落に対して底堅さを見せる可能性が高い。しかし、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長や米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが来年の利上げペースについて従来の考えを改めた可能性があるというのが最初の受け止めだ。

米経済は厳しい環境にあるとみられる。これに関しては皆がある程度同意しているようで、市場では早過ぎる利上げに対する懸念という形で現れている。

FRBが実際に一段と警戒姿勢を示すなら、米ドルは下向きトレンドになるだろう。一段の利上げには遅行指標の監視が必要だ。

<キングズビュー・アセットマネジメント(シカゴ)のポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏>

ハト派的というより、むしろややタカ派的なのではないか。ドット・プロット(今後の政策金利の推移を点で示したグラフ)によると(来年は)2回の利上げが想定されている。市場では基本的に来年の利上げ回数は1回との見方が出ていた。

連邦準備理事会(FRB)は経済が引き続き力強く推移していると予想しているように見える。

<TDアメリトレード(シカゴ)の首席市場ストラテジスト、J・Jキナハン氏>

連邦準備理事会(FRB)は来年は2回の利上げを想定しているとし、金利の道筋を下方修正した。これに基づくと、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.75─3.00%となる。これは、これ以上ハト派的になれないほどハト派的だ。

*内容を追加しました。

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