[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米短期金融市場で17日、銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利が前日に続き上昇し、一時10%を付けた。四半期の法人税納付や国債入札の決済が立て込むなか、今週に入って短期市場に混乱がみられており、ニューヨーク(NY)連銀は臨時の資金供給を実施した。
フェデラル・ファンド(FF)金利の実効レートも16日に上昇。同レートは2.25%と誘導目標レンジである2.0―2.25%の上限に達した。アナリストはレポ金利上昇が原因と指摘した。[nL3N2683HQ]
NY連銀は、市場の動揺を抑えるため、銀行の持つ国債などを担保とするレポ取引を通じて531億5000万ドルを市場に供給した。連銀は18日もレポ取引を通じた金融調節を実施し、最大750億ドルを供給すると表明した。
米連邦準備理事会(FRB)は2008年の世界金融危機のさなかにレポ取引で大規模な資金供給を行ったが、近年は市中銀行が日々の業務に必要な手元流動性を十分に確保していることから、ほとんど実施されていなかった。
短期金利の急騰は、保有資産を減らすことでバランスシートを正常化するFRBのこれまでの政策に起因する短期金融市場のゆがみを映し出したとアナリストは指摘する。保有資産の縮小によって市中銀行の準備預金は2017年以来、9000億ドル近く減少している。FRBは18日まで2日間、連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。
TD証券(ニューヨーク)のシニア金利ストラテジスト、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は、FRBがバランスシートを縮小し、銀行システムにおける準備預金が大幅に減少したことが資金不足の「根本原因」だと指摘した。「これが資金需給を逼迫させた」とした。
NY連銀の資金供給の発表を受けて、レポ金利は一時、ゼロまで低下したが、その後3.5%前後に再び上昇した。
アナリストはFRBが短期金融市場の安定を図るため、一段の措置を講じると見込んでいる。銀行が必要に応じて米国債を超過準備に転換することを可能にする「スタンディング・レポ制度」や超過準備への付利(IOER)の引き下げ、米国債買い入れなどが実施される可能性が指摘されている。
キャンター・フィッツジェラルドの米国債ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は「短期市場で起きている現象に対してFRBは何らかの形で対処する必要があるだろう」と述べた。
※内容を追加しました。
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