[3日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、米経済の状況は「比較的穏やか」との認識を示した上で、貿易摩擦や世界経済の減速によって高まったリスクの動向を見極めるため経済指標を注視すると述べた。
総裁は米マサチューセッツ州での講演の準備原稿で「こうしたリスクが現実になれば、積極的な緩和を行うのが適切な金融政策だ」との見方を示した。
また「貿易面や地政学的な問題が深刻化し、現在の経済見通しでの想定より大幅に弱い状況に陥るという下方リスクがあるのは明らかだ」と指摘した。
ただ、現時点ではそうした状況にはないとし、米消費者が支出を続け、世界経済が一段の悪化を回避できれば、米経済は2%前後の成長を維持する可能性が高く、労働市場の引き締まりによって徐々にインフレが押し上げられるとの見方を示した。
その上で、完全雇用と2%のインフレというFRBの責務達成に向けて「追加の政策調整が必要かどうか見極めるため経済指標を注視する特に良い時期だ」と強調した。
米中貿易摩擦によってリスクは「高まった」としながらも、大半の経済見通しや金融市場の多くの指標は差し迫った後退よりむしろ成長の持続を示唆していると指摘。長短金利の逆転についても、リセッション(景気後退)の予兆というより、国外の困難な経済情勢を背景に安全資産の米国債が資金の逃避先となっている印だとの見方を示した。
ローゼングレン総裁は7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに反対票を投じた2人の当局者のうちの1人だ。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」