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コラム

コラム:FRBの経済予想、海外情勢混乱ですぐ「賞味期限切れ」

[ワシントン 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)がせっかくまとめた経済物価見通しが、海外で起きている混乱のせいで有効性を失いつつある。FRBは16日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に公表した最新見通しで、将来の政策金利と物価の想定をタカ派方向に変更した。しかしウクライナの戦争、あるいは中国における新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)によって、そうした軌道修正をすぐにまた行わざるを得なくなるかもしれない。

 3月16日、米連邦準備理事会(FRB)がせっかくまとめた経済物価見通しが、海外で起きている混乱のせいで有効性を失いつつある。写真はパウエル議長、3日にワシントンで代表撮影(2022年 ロイター)

昨年の米経済はFRBが考えていた以上に勢いが強まり、物価は想定より高くなっただけでなく、上振れ期間が長引いている。その結果、FRBは見通しの相当な変更を迫られた。今年の利上げ想定回数は、昨年9月時点で25ベーシスポイント(bp)が1回というのがFOMCメンバーの大勢だったが、12月にこれが3回に増加し、現在はついに16日に実施した分を含めて7回に達した。ただ、長期的な政策金利予想は2.4%でほとんど変化しておらず、物価上昇に対して後手に回っているのではないかとの懸念が残っている。

一方、世界は上を下への大騒ぎが続く。ロシアが2月にウクライナへ侵攻すると、原油や小麦、ニッケルなど多くのコモディティー市場がショックに見舞われ、戦争がいつまで続くのか、どこまで激化するのかを巡る不安も広がった。FRBは16日、ウクライナ危機が物価圧力を押し上げると分析した上で、今年の米物価上昇率の予想を昨年12月時点の2.6%から4.3%に引き上げた。今年の米国内総生産(GDP)成長率予想は4%から2.8%に下方修正している。

また中国では今、新型コロナウイルスの新規感染者数が急増し、製造業の拠点となっている深センを含めた5つの都市でロックダウンが行われ、それが「iPhone」から自動車までさまざまな工業製品の供給に影響を及ぼしている。新規感染者数は、韓国など他の地域でも再拡大しているところだ。

これら全ての要素が米国経済にどう波及するのか不確実性が大きいため、FRBの見通しも再度変わってくる公算が大きい。例えば原油価格はロシアのウクライナ侵攻からの3週間で、1バレル=139ドルまで跳ね上がったと思えば、100ドルを割り込む場面もあるなど乱高下が続く。16日はロシアの2つのドル建て債の利払い期日に当たり、果たして1億1700万ドルの利払いが実行されるかどうかも注目される。

年内に予定されているFOMCはあと6回。このうち6月、9月、12月に経済物価見通しが公表され、FRBにとって政策判断の新しい手掛かりを提供してくれる。しかし足元の状況を踏まえると、そうした見通しは普段ほど有益ではなく、「賞味期限」も短くなりそうだ。

●背景となるニュース

*米連邦準備理事会(FRB)は16日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、0.25-0.50%とした。新型コロナウイルスのパンデミックが発生した2020年に事実上のゼロ金利政策をした後では初めての利上げとなった。

*FRBは政策金利や物価、経済成長率も最新見通しも公表。年内にあと6回、いずれも25bpの利上げがあり、政策金利は年末に1.75-2%に達すると想定されている。今年の予想物価上昇率は昨年12月時点の2.6%から4.3%に上振れ、国内総生産(GDP)成長率は4%から2.8%に切り下がった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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