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コラム:米金融規制の軌道修正、FRBの司令塔不在が妨げに
2017年4月5日 / 02:07 / 7ヶ月後

コラム:米金融規制の軌道修正、FRBの司令塔不在が妨げに

[ワシントン 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)に金融規制の「司令塔」がいなくなった。これは、銀行が望む規制の軌道修正の妨げと言える。

 4月4日、米連邦準備理事会(FRB)に金融規制の「司令塔」がいなくなった。写真は退任するタルーロFRB理事。ワシントンで2014年9月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は金融規制の撤回を望んでいるが、まずは退任するタルーロFRB理事の後釜として、適切な人物を起用しなければならない。その手続きには数カ月はかかる可能性がある。

トランプ氏は4日、金融規制改革法(ドッド・フランク法)の「大掛かりな刈り込み」を行うと表明した。JPモルガン(JPM.N)のダイモン最高経営責任者(CEO)などの金融関係者にとっては、まことに耳に心地よい発言だ。ダイモン氏は株主向けの年次書簡で、大手銀行に対して毎年実施されるストレステスト(健全性審査)や資本上乗せの緩和を訴え、国際基準に米国が加えた「過剰で不必要な」規制の撤廃を要求した。こうした修正は議会が命令できるとはいえ、野党・民主党は反対しており、上院で可決するには民主党の支持は欠かせない。

タルーロ氏は2009年以降、FRBによる金融規制強化の取り組みを主導してきた。退任前最後の講演となった4日には、規制当局や議会は厳しい資本規制の枠組みを弱める試みに抵抗すべきだと主張した。ただし銀行の自己勘定取引を制限するボルカールールなどいくつかの分野は、修正が可能だとの見方を示した。

もっともタルーロ氏が取り掛かった問題は、後任がはっきりしない以上、いったん中断の憂き目にあっている。同氏はこれまで、いわゆる「バーゼルIV」と呼ばれる国際的な合意の下で銀行の資本基準のさらなる引き上げを推進してきた。昨年9月には大手行を一段と締め付ける「ストレス資本バッファー」の導入も提案したが、これはまだFRBとして正式に打ち出されていない。

一方、FRBの規制面での定常的な業務は続いている。3月にはノーザン・トラスト(NTRS.O)に対して、「生前遺言」の不備を年内に修正して提出するよう命じた。大手行は5日までに最新のストレステストの一環としてデータの提出を求められている。結果は6月末までに公表される見通しだ。

FRBにはボルカールールなど規制変更を主導できる分野がいくつかある。タルーロ氏は、ストレステストに関しても質的な項目などは段階的に撤回すべきだと提言した。それでも最も大規模な規制変更を行うには、FRBの銀行監督担当副議長の権威と後押しが必要だ。この副議長が就任するまで、FRBはしばらく新たな路線に踏み出すことはできない。

●背景となるニュース

*タルーロFRB理事は4日の講演で、資本基準引き上げやストレステストなど金融危機後に導入された規制改革を擁護した。5日に理事を退任するタルーロ氏は、09年以降FRBで金融規制の取り組みを主導してきたが、銀行監督担当の副議長には就任していない。同氏がFRBを去ると、理事会は定員7人のうち3人が空席となる。

*タルーロ氏は、銀行の自己勘定取引を制限するボルカールールは手直しが可能だと発言。同ルールはあまりに複雑で、流動性に悪影響を及ぼしかねないとの見方を示した。一方で「規制変更を提案する際には、特に最もシステム上重要な銀行に適用されているような強固な資本(規制の)枠組みは維持することが重要だ。規制当局者、議会ともに直接的であれ間接できであれ、この枠組みを弱体化する変更措置に同意してはならない。金融危機で得た教訓があっという間に忘れ去られれば、悲劇を招くだろう」と述べた。

*トランプ大統領は4日、ホワイトハウスにおける企業経営者との対話集会で、各種規制の撤回と「金融規制改革法の大掛かりな刈り込み」を行うと改めて表明した。

JPモルガンのダイモンCEOは、銀行が多過ぎる資本を抱えており、国際的に合意された基準に加えられた「過剰で不必要な」ものなどいくつかの規制は弱めるか撤廃すべきだと主張した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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