[24日 ロイター] - 格付け会社フィッチは24日、米国の「AAA」長期外貨建て発行体格付けを格下げ方向のウォッチネガティブに指定した。
債務上限を巡る政治的対立が強まっていることが理由で、所定の期日までに債務上限の引き上げ、もしくは凍結が行われない場合、格付けを引き下げる可能性があるとした。
債務上限に関する合意がまとまると引き続き見込むが、米政府が支払い義務の一部を履行できないリスクが高まったとした。
イエレン米財務長官は債務上限の引き上げがなければ6月1日に資金繰り策が行き詰まるとしており、21日もこれが交渉の「確固たる期限」だと強調した。
フィッチは、この「Xデー」まで上限引き上げか停止で合意できなければ「ガバナンス全般や、米国の期日内に支払い義務を果たす意思についてマイナスのシグナルになる」とし、「AAA」の格付けと整合的でなくなる可能性が高いと指摘した。
米政府の歳出は歳入を上回る見込みとし、2023年の財政赤字は対国内総生産(GDP)比6.5%、24年は同6.9%と予想した。
「格付けウォッチ」は、1─2年間の方向性に関する「格付け見通し」とは異なり、格付け変更の可能性が高まったことを意味する。
IGのアナリスト、トニー・シカモア氏は、債務上限協議の混乱を踏まえると格下げは「全く想定外というわけではない」と指摘した。
他の格付け大手ではムーディーズも米国債に最高位のトリプルAの格付けを付与し、見通しは安定的としている。
S&Pグローバルは2011年に債務上限交渉が長期化した際に 最高位から2番目の「AAプラス」に格下げしている。
ムーディーズは、米国が期日通り債務の支払いを続けると想定しているもののの、債務上限協議を行っている議員の発言が格付け見通しの評価変更につながる可能性があるという見方を示した。
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