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焦点:決戦はXマス、玩具需要にサプライチェーンは応えられるか

[シカゴ/ロサンゼルス 20日 ロイター] - 玩具需要が過去最高に達する中で、米国のサプライヤーや小売企業は、陸・海・空の輸送路で発生する深刻な渋滞を切り抜けようと懸命になっている。何しろサンタクロースは、クリスマスに届ける人形やキックボード、ゲーム機を山のように用意しなければならないのだ。

 9月20日、玩具需要が過去最高に達する中で、米国のサプライヤーや小売企業は、陸・海・空の輸送路で発生する深刻な渋滞を切り抜けようと懸命になっている。写真はニューヨークのメーシーズに並んだおもちゃの数々。16日撮影(2021年 ロイター/Vanessa O'Connell)

年間約330億ドル(約3兆6000億円)を販売する玩具業界にとって、クリスマス商戦は大事な書き入れ時だ。昨年の売れ筋上位を争っていたのは、レゴのブロック、MGAエンターテイメントの「LOLサプライズ」人形、マテルの「バービー」シリーズ、ソニーの「プレイステーション」といったところだ。

だが、ロジスティクス面で目詰まりが生じれば、消費者は欲しかった製品を手にできず、ウォルマートやターゲットといった小売業者は稼ぎそこねてしまう。今年、すでにロイターをはじめアナリストたちが見てきたように、学用品やバックパックから、ハロウィーンの装飾用品や衣装に至るまで、季節商品の流通在庫には需要と供給のギャップが生じていた。

ロイターは、MGA、キッズツー、ファンコなど大手玩具メーカー6社に取材した。各社は割高な航空輸送の利用、これまで利用していなかった港湾へのルート開拓、さらにはターゲットなど小売企業に独自の輸送手段の用意を要請するといった手段で対応しているという。

ミシガン州立大学エリ・ブロード・カレッジ・オブ・ビジネスでサプライチェーンマネジメントを研究するジェイソン・ミラー准教授によれば、2021年1─7月、米国の人形、玩具、そして玩具市場の重要な一角を占めているゲーム機の輸入額は1カ月平均18億8000万ドル(約2060億円)で、2019年の同時期より50%増加したという。

ミラー准教授が2002年まで遡って調査したところ、今年1-7月の数字は過去最高だという。

カリフォルニア州に拠点を持つMGAのアイザック・ラリアン最高経営責任者(CEO)は、小売業界からの発注状況に言及しつつ、「我々の供給能力を超えた需要が発生している」と語る。

ウォルマートとターゲットは商品確保のための緊急措置として自前の輸送船をチャーターしたこともあるが、クリスマス商戦に向けた玩具の在庫確保についてはコメントを控えている。

メーシーズは8月、来年400店舗以上で「トイザらス」コーナーを展開すると発表した。2018年に米国事業から撤退するまでの数十年間にわたって米国最大の玩具販売チェーンだった同ブランドへの懐かしさを掻きたてようという計画だ。メーシーズはすでに「トイザらス」ブランドで玩具のオンライン販売を開始しているが、同社幹部であるスティーブン・ムーア氏によれば、通常より3カ月前倒しで玩具の発注を行ったという。

<「チャーター機を確保するのは奇跡を祈るしかない」>

マテルは7月、新型コロナウイルスに関連して、アジアにおいて港湾や製造拠点の一時的な操業停止が生じ、出荷用コンテナの不足が深刻化したため、供給が中断したと発表した。この記事に向けて同社にも取材したが、コメントは得られなかった。

MGAをはじめとする多くの玩具小売企業は、納品の遅延が数日から数カ月に及びかねない海路輸送を回避し、空路輸送に切り替えている。

オーストラリアのカーゴ・ファクト・コンサルティングでマネージング・ディレクターを務めるフレデリック・ホースト氏は、今年1-7月、空路による米国への玩具輸入量は2019年同時期の2倍以上だったと語る。

データによれば増加分の多くは高額なゲーム機によるもので、消費者による「プレイステーション」とマイクロソフト「Xボックス」の争奪戦がさらに1年続くことを示唆している。

フレックスポートで航空貨物部門のグローバルヘッドを務めるニール・ジョーンズシャー氏は、大半の貨物便はすでに押さえられており、チャーター機の需要は過去に例を見ない水準だと語る。同氏によれば、片道チャーター便の価格は通常50万ドル超だったが、現在は120万-150万ドルに値上がりしているという。

「もうキャパシティーは残っていない。いまから11月末から12月上旬にかけてチャーター機を確保しようと思ったら、ほとんど奇跡でも祈るしかないだろう」

何千個ものコンテナを輸送できる貨物船に航空機がとって代わるのは容易なことではない。そこで玩具メーカーは、グローバル規模の暗礁を迂回しようと海運戦略に工夫を凝らしている。

「ベビーアインシュタイン」シリーズを製造するキッズツーは、利用する港湾を2カ所から9カ所に増やした。また、極東地域では7社の貨物フォワーダーを追加した。企業各社のために輸送を調整してくれる代理業者を追加したことで、生産量は30%増加した。

<「まさに問題山積」>

クリスマスの玩具商戦に向けた準備を進める中で、サプライヤーであるレゴは「弊社製品や原材料の供給全般において大きな混乱は発生していないし、需要への対応は可能だ」と語る。同社の工場や配送センターが市場に近接しているからだという。

米国玩具協会の対外関係担当バイスプレジデントのエド・デズモンド氏によれば、現時点では店舗における玩具の在庫水準は「健全」だが、クリスマスが近づき、新型コロナの拡大や貨物船のオーバーブッキングといったさまざまな要因による輸送の混乱が連鎖的に生じれば様相は一変するかもしれないという。

「今後いったい何が起きるか読めない」とデズモンド氏は語り、玩具メーカーは連鎖的に発生する輸送の混乱に冷や汗をかいているという。

「アジアに滞留しているコンテナが複数ある。工場からの出荷も停滞している。まさに問題山積だ」とキッズツーのライアン・ガニグルCEOは語る。

ファンコによれば、同社が展開するフィギュア「Pop!」シリーズの製造拠点であるベトナムでは、新型コロナによるロックダウンで港湾業務に影響が出たという。そこで同社は出荷先を中国に変更し、そこでアマゾンやウォルマートといった顧客に引き取ってもらうようにしている。

ファンコのクリスマス向け製品には、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』に登場する「ジャック・スケリントン」やサンタ帽をかぶったミニーマウスといったボブルヘッド(首振り)人形などがあり、需要は過去最高となっている。だが、アンドリュー・パールマター次期CEOは、供給がこれほど逼迫したことはないと語る。同氏によれば、早くも11月には一部の製品が完売になってしまうだろうと予想している。

マンハッタン・トイズにとって問題はさらに深刻だ。同社はぬいぐるみなどの商品をウォルマート、ターゲットなどの小売企業に卸している。

「うちは規模が小さいため、何とか船を確保したとしても、キャンセルされてしまう。コンテナ1個あたり5-10倍の運賃を払って、何とか対処しようとしているが」とノラ・オリアリーCEOは語る。

「システム全体で対応しなければならないが、難しい話だ」と語るのは、イリノイ州に本社を置く玩具メーカー、ラーニング・リソーシズのリック・ウォルデンバーグCEO。「何しろ、クリスマスを延期するわけにはいかない」

(翻訳:エァクレーレン)

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