April 16, 2018 / 3:13 AM / 11 days ago

焦点:日米首脳会談に警戒感、米為替報告書「名目も円安」と指摘

[東京 16日 ロイター] - 米財務省が13日に発表した為替報告書では、日本を引き続き監視対象国に指定し、大きな貿易不均衡が日米間に存在することに懸念を示した。実質実効レートだけでなく名目レートでの「円安」も指摘。為替介入も事実上封じ込めた。

 4月16日、米財務省が13日に発表した為替報告書では、日本を引き続き監視対象国に指定し、大きな貿易不均衡が日米間に存在することに懸念を示した。写真はシンガポールで昨年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

こうした米国の厳しい姿勢は、17―18日の日米首脳会談で先鋭化する可能性があるとして、市場では警戒感が広がる。

<強い日本への風当たり>

今回の為替報告書で、為替操作国に認定された国はなかったが、中国、日本、韓国、ドイツ、スイスを引き続き監視対象国としたほか、2017年に国内総生産(GDP)の2.2%相当の外貨を購入したとして、インドを新たに対象国に加えた。

物価変動を除いた円の実質実効レートは、2017年から今年2月までに2.4%下落し、過去20年の平均値と比べ25%近くも円安であるとした。実質実効レートに関する類似の文言は前回、前々回の報告書にもあったが、今回目を引いたのは名目レートに関する記述だ。

報告書では、名目レートでみた円相場が「過去10年と比較すると、2013年上期から歴史的な平均値に比べて割安である」と今回初めて指摘した。

日銀が、量的・質的金融緩和政策(QQE)を導入したのは2013年の4月。今回の為替報告書では、日銀の金融政策については、現状を簡単に説明するに留めた。しかし、日銀の金融政策が円安誘導の嫌疑をかけられる可能性もある。

トランプ氏は2017年1月31日、「中国が現在行っていること、日本がこれまで何年も行ってきたことを見れば、彼らがマネーマーケットや通貨安を手玉にとっているのを、われわれは座して眺めているだけだった」と述べている。

<日米首脳会談、為替に言及あるか>

日本と米国は17―18日に米フロリダ州で首脳会談を開く予定だが、為替報告書で確認された米国の姿勢からは楽観はできない。

米側は、日本に防衛費のさらなる積み増しと自由貿易協定(2国間FTA)を要求してくる可能性があり、そこでは、農産物の自由化とともに、為替条項が入る可能性がある。先の米韓FTAの見直しでは、付属文書に為替条項が入り、韓国の為替介入を許さないとの意思表示をした。

「米国による関税引き上げが自由貿易の妨げになると国内外の批判にさらされ、中国がその自由貿易の旗振り役を買って出ているという構図の下、国内産業重視のトランプ政権の姿勢が疑問視され始めた。(為替報告書は)通商政策ではなく為替政策に重点を置くための布石と見ることもできる」と三井住友銀行・チーフストラテジストの宇野大介氏は語る。

「そのリトマス紙として、日本の通商姿勢を執ように批判しているトランプ氏が、今週の日米首脳会談で貿易不均衡是正のため、内需主導の成長を求めてくると同時に、円安抑止も求めてくるかが注目される」と同氏はいう。

トランプ大統領は12日に「日本は長年にわたって通商で我々に大きな打撃を与えている」とツイートした。3月22日には「(日本が)米国をうまく利用する時代は終わった」とホワイトハウスで述べ、2月13日には、同盟国である韓国と日本に対し「貿易面では同盟国ではない」と突き放した。

「低支持率が続き、苦戦を余儀なくされているトランプ大統領は、周辺国に敵をつくり、彼らに強くあたって成果を演出したい面がある」とグローバル・エコノミストの斎藤満氏は言う。

これまでは、安倍・トランプの良好な関係から、米国が日本に無理な注文を付けないとの期待があったが、米朝首脳会談の設定後は「日米関係にすき間風が吹き、日本が(米国と)親しい同盟国の地位を失いつつある」と同氏はみている。

<米側は不均衡是正と構造改革求める>

米国は2016年4月、主要な貿易相手国の為替政策の評価について新たな枠組みを導入した。

同枠組みの下では1)対米黒字が200億ドル以上である。2)経常収支黒字がGDP比で3%を超えている。3)過去12カ月で継続的な外貨購入を行い、合計額がGDP比で2%を超えている──の3つの要件を満たした場合には「為替操作国」に認定され、厳しい対応を迫られる。

このうち2つに抵触すると「監視対象国」としてリストアップされる。

米財務省は「巨大かつ自由な為替市場においては、介入は非常に限定的な状況で、かつ適切な事前の協議を持って実行されるべきもの」との見解を前2回と同様に日本に対して表明し、為替介入を事実上封じ込めた。

そのうえで、日本は安定的な成長があるうちに構造改革を進め、公的債務と貿易不均衡を削減すべきとし、報告書では日本の2017年の経常黒字が国内総生産(GDP)の4%に達し「対米貿易黒字も690億ドルと引き続き大きい」と不満を表している。

*見出しを修正しました。

森佳子 編集:伊賀大記

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