May 16, 2018 / 6:08 AM / 6 months ago

米長期金利、上昇余地は限定的か:識者はこうみる

[東京 16日 ロイター] - 市場では、10年米国債利回り(長期金利)US10YT=RRの上昇余地は限られるとの見方が多い。15日に約7年ぶりの高水準を付けたが、米国のファンダメンタルズにピークアウト感が出始める中、期待インフレ率は上がらないとみられている。

 5月16日、市場では、10年米国債利回り(長期金利)の上昇余地は限られるとの見方が多い。写真は都内で2010年9月撮影(2018年 ロイター/Yuriko Nakao)

原油高リスクはあるものの、当面は3%挟みで推移するとの予想が多数派だ。円債金利に関しても、日銀の金融政策が維持されれば現状水準から大きく動くことはないとの見方が大勢だ。

市場関係者の見方は以下の通り。

●米インフレ進まず、来年には景気減速の可能性も

<東海東京証券・チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏>

10年米国債利回りは、3%強の水準がピークだと思っている。基本的には2%台後半で、4%を目指すことはあり得ない。物価は上昇せず、インフレにはならないとみているためだ。

米国の潜在成長率が2%を切る中では、企業経営者は、マクロの労働需給が逼迫(ひっぱく)しても、高い賃金を払ってまで新規の雇用を増やそうとしない。グローバリゼーションやIT化も賃金を抑える要因だ。インフレを懸念する米連邦準備理事会(FRB)も利上げを続ける。

来年の米国は、今年のように需要が拡大することはないだろう。FRBの利上げによって短期ゾーンの金利は上がっているため、経済への悪影響は強まるとみており、来年は景気が減速する可能性がある。また、今年秋に控える米中間選挙では共和党が負けるとみており、トランプ政策は拡大することなく、むしろしぼむだろう。長期ゾーンの金利が上昇する要素はない。

円債市場に関しては、9月末までを見通すと、日銀の金融政策は何も変わらないと思われるため、金利は現状の水準から大きく動くことはないと予想している。

9月末までの10年米国債レンジ予想:2.6%─3.1%

9月末までの10年日本国債レンジ予想:マイナス0.015%─0.095%

●米経済にピークアウトの兆し、米国債増発も織り込み進む

<みずほ証券・チーフ債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

原油価格の推移はリスク要因ではあるが、米10年債利回りの上昇余地は限られるとみている。米国景気はまだ良いとはいえ、ファンダメンタルズは若干ピークアウトの兆しがみえる。消費者物価指数(CPI)が下振れ、賃金も上昇してこないため、インフレは相変わらず弱い状況にある。また、国債増発に関しても織り込みはかなり進んでおり、このテーマも一巡してくるだろう。

原油価格は、供給サイドの懸念があり当面は不安定な展開になるだろうが、中長期的には、シェール革命で供給余力が増したことなどから上昇基調になるとはみていない。

FRBは利上げを粛々と実施することを見込んでいる。大きなトレンドが出るのは来年以降というイメージ。テーマは、利上げを来年以降、どこで止めるかということになるだろう。

円債市場は、供給イベントをこなしていく中で金利の落ち着きどころを探っていく展開になるだろう。9月まで日銀は金融政策を維持するとみている。

9月末までの10年米国債レンジ予想:2.6%─3.1%

9月末までの10年日本国債レンジ予想:0%─0.080%

●米10年債利回り、「悪い金利の上昇」の面も

<三井住友銀行・チーフストラテジスト 宇野大介氏>

FRBは年内あと3回の利上げを行うとみているが、米10年債利回りの上昇余地は限られそうだ。

米国の実質成長率は過去5年の平均2%。経済成長率からみて、長期金利の上昇余地は大きくない。米10年債利回りの3%は、財政プレミアムが乗った結果の「悪い金利の上昇」の面もある。

原油価格の急騰はリスクだが、WTI原油先物が1バレル=80ドル以上になるには、世界的に実需が膨らまない限り難しいだろう。

円債市場に関しては、政局の揺らぎなどを考慮すると、10年債利回りが節目の0.1%を若干超える可能性も考えられる。

9月末までの10年米国債レンジ予想:2.50%─3.25%

9月末までの10年日本国債レンジ予想:0%─0.150%

●焦点は米30年債金利、上昇がどこで止まるか

<JPモルガン証券・債券為替調査部長 山脇貴史氏>

FRBの利上げに関しては、四半期に1回のペースで継続することを市場は基本的に織り込んでいると思う。今後は米30年債金利の上昇がどこで止まるかが焦点になる。現状では3.25%水準で強力なキャップがかかっているため、今後も同水準で推移するなら、10年債利回りの上昇余地も限られるだろう。10年債は3%を抜けて加速するイメージは持っておらず、3%付近での推移が基本路線になるとみている。利上げすれば長短金利の縮小は起きるだろうが、現状からフラット化が急加速するとは思っていない。緩やかにフラット化するとみている。

円債市場は、基本的に大きく動かないだろう。10年債利回りで0.050%以下でとどまる時間帯が増えてきそうだ。4月の日銀金融政策決定会合で金融政策のフレームワークを微調整するようなニュアンスがあってもよかったが、ゼロ回答であり、出口は全く見えなかった。9月に予定されている自民党総裁選で安倍晋三首相の総裁3選がはたせないようなことがあれば、金融政策に対して思惑が浮上するだろうが、今のところは、続投という感じだ。そうなると、日銀は動けずということになるだろう。

9月末までの10年米国債レンジ予想:2.8%─3.1%

9月末までの10年日本国債レンジ予想:0.020%─0.080%

伊藤武文 編集:伊賀大記

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