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コラム

コラム:SPAC、米当局は上場企業数増加への「起爆剤」と期待

[ニューヨーク 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米証券取引委員会(SEC)のアリソン・ヘレン・リー委員長代理は、企業が上場することを望んでいる。だからこそ、リー氏や他の監督当局は、幾つかの欠陥があっても特別買収目的会社(SPAC)を好意的に扱っているのかもしれない。

 4月7日、米証券取引委員会(SEC)のアリソン・ヘレン・リー委員長代理は、企業が上場することを望んでいる。だからこそ、リー氏や他の監督当局は、幾つかの欠陥があっても特別買収目的会社(SPAC)を好意的に扱っているのかもしれない。写真はSECの事務所、ワシントンで2011年6月撮影(2021年 ロイター/Jonathan Ernst)

公開市場は流動性があり、上場株は米企業がこれまで平均して、かつ長期的にもたらしてきたリターンを個人投資家が得る上で最も簡単な手段だ。未公開株投資ファンドの有望性が高まりつつあるとはいえ、公開市場は今なお企業に資金を提供している。そこでは幅広い情報開示が求められ、投資家にとって比較的公平な環境も整えられる。これらの理由から、1990年代半ばのピーク時に年間8000社を超えていた米国の上場企業数が近年その半分前後まで減ってしまったことは、当局にとって全く歓迎できない事態だ。

2012年には、上場数を上向かせる目的で新興企業の新規株式公開(IPO)を簡素化するための改革が導入された。だが局面を打開しつつあるのは、「ブランクチェック(白紙小切手)」企業とも呼ばれるSPACを通じた近年の上場ラッシュだ。SPACは、他の企業を買収するという目的のためだけにIPOを実施して資金を調達。対象となった企業は、SPACと合併することで上場を果たす。そうした「SPAC上場」は、通常のIPOよりも手間がかからない。

SPACリサーチのデータによると、昨年のSPAC上場は約250件、調達額は830億ドルと過去最高を記録したが、今年1-3月の水準だけで既にそれを超えている。四半期当たりおよそ300件という直近のペースでいけば、SPAC上場によって米上場企業数は4年足らずのうちに倍増してもおかしくない計算になる。

リー氏はSEC委員だった昨年10月、上場数を増やす力を秘めていることを踏まえて、SPACを将来性があるイノベーションだと評価した。ただSPAC上場の爆発的増加は、新たに監視の目も生み出している。SECは今後、SPACの出資者が得る利益についての情報開示拡充を求めるか、あまりに楽観的な事業見通しを盛り込むのを抑制するかもしれない。

もっとも当局が上場企業の増加を希望しているとすれば、せっかくの盛り上がりに水を差し過ぎたくはないと考えるのではないか。多分それと引き替えに、リー氏が率いるSECは、情報開示強化のメリットを犠牲にする形で、IPO手続きの面倒さを和らげようとする可能性もある。そうしたさじ加減によって、上場企業は減るよりも増えていく道が開かれるだろう。

●背景となるニュース

*米証券取引委員会(SEC)は、特別買収目的会社(SPAC)を通じた上場に関する調査を開始した。ロイターが3月24日、4人の関係者の話として伝えた。

*「SPAC上場」は昨年から急増し、今年も活発な状況が続く。SPACリサーチのデータによると、昨年の米国におけるSPACを通じた上場は248件で、調達額は830億ドル。今年は4月5日時点で既に298件、970億ドルに達している。

*昨年10月、当時SEC委員で現在は委員長代理を務めるアリソン・ヘレン・リー氏は、SPACと直接上場について、企業が上場において直面する幾つかの課題を解決し、公開市場を活性化して投資家層を広げてくれる可能性を秘めたイノベーションだと評価していた。

*ニューヨーク証券取引所(NYSE)、ナスダック、その他取引所における米上場企業数は1996年のピーク時に8000社を超えたが、世界銀行によると、2018年までに4000社近くに減少した。上場数に関してはさまざまな定義の違いや、複数上場の問題などから正確な算定は難しく、別のデータでは数値がやや異なるが、傾向としては減少方向で一致している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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