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アングル:PEの高リターン維持に疑問符、米LBO案件が割高に

[16日 ロイター] - プライベートエクイティ(PE)企業は、買収の標的企業の評価額高騰に伴って米国でのレバレッジド・バイアウト(LBO)案件が割高になっており、投資家の間からPEが約束通り魅力的なリターンを提供し続けることができるか疑問視する声が出ている。

 3月16日、プライベートエクイティ(PE)企業は、買収の標的企業の評価額高騰に伴って米国でのレバレッジド・バイアウト(LBO)案件が割高になっており、投資家の間からPEが約束通り魅力的なリターンを提供し続けることができるか疑問視する声が出ている。2019年9月、ニューヨーク証取近くで撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

世界的な株高と資金調達コストの低下を支えに、LBOの買収価格は過去最高水準に上昇。新型コロナウイルスのパンデミックで在宅勤務や自宅にこもる人が増える中で、ハイテクや業務サービスなどのセクターが株価上昇を主導した。

リフィニティブのデータによると、PE企業によるLBOは昨年、買収価格の対年間EBITDA(利払い・税・償却前利益)倍率が平均13.2倍で、19年の12.9倍を上回って史上最高となった。

一部の投資家は、PEが新規ファンドの立ち上げ時に目標とした15-20%という年間リターンを提供できるのか懸念を強めている。

病院運営会社ハートフォード・ヘルスケアで寄付金や年金基金など35億ドルの資産を管理するデービッド・ホルグレン氏は「(資金を)バリュエーションや投資機会がもっと良い方に傾けることができる」と話した。ホルグレン氏は、割高な買収案件に投資しているPEから資金を引き揚げ、対象会社のEBITDAが5000万ドル以下の「ミドルマーケット」の案件や新興市場に特化したPEに移しているという。

投資銀行やPE企業の幹部によると、割高なLBO案件への資金の融通を渋る銀行が増えており、投資家は買収価格が高すぎると懸念を強めている。PE企業はLBOで自己資金の負担が膨らまざるを得ず、借り入れを駆使してリターンを生むのが難しくなっている。

リフィニティブによると、米国のLBOでPEが買収価格の50%以上を自己資金で負担した案件の割合は2019年には25%だったが、20年には41%に急上昇した。

ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのグローバルヘッド、ロブ・フラートン氏は「買収案件の価格が上昇し、自己資金分を増やす必要がある。成長している事業では、一部の買い手がとんでない金額を支払おうとする」と話した。

例えば、リフィニティブとピッチブックのデータによると、PEのTPGキャピタルとTAアソシエーツが昨年12月に同業のトーマ・ブラボーからソフトウエア会社プランビューを16億ドルで買収した案件は、買収価格の対EBITDA倍率が16.5倍だった。トーマ・ブラボーが2017年にプランビューを8億ドルで買収した際の対EBITDA倍率は6.7倍だった。

ロンドンに拠点を置くPE、Hgのパートナーであるジェロ・ウィッターマン氏によると、まだ黒字化していないが急成長するハイテク企業に対する高リスクの投資に前向きなPEもあるが、銀行は慎重な態度を強めている。「こうした企業は本質的にレバレッジを利かせるのが難しい」と言う。

<資金調達も減速>

買収を行った企業は通常、3年から7年の間、買収した企業の株を持ち続ける。そのため過去最高水準となっている今の買収価格がリターンに反映されるのはある程度先のことだ。

一部の投資家は既に先行きのリターン悪化を意識している様子がうかがえる。ピッチブックによると、昨年のPEの資金調達額は2032億ドルで、過去最高だった前年の3205億ドルから減少した。

ハミルトン・レーンの投資ヘッド、ブライアン・ギルデア氏によると、投資家はPEについて、価格の安い案件を買収するのではなく、買収した企業の経営を改善することで高いリターンを提供できると今でも信じている。「バリュエーションは重要だが、リターンを生む多くの要因の1つだ。当社のデータによると、われわれのアセットクラスのリターンを生んでいるのは買収価格の低さではない」と語る。

PE企業は選別的な姿勢を強めている。リフィニティブによると、昨年の米国のLBO総額は847億ドルで、前年の1243億ドルに届かなかった。

案件が割高だと認める買収企業の中には、買収企業の将来の業績に応じて買収価格の一部を支払う「アーンアウト条項」を結ぶなど、逆風に備えて手を打っていると主張するところもある。

パンテオン・ベンチャーズの共同投資パートナー、エリック・ウォン氏は「ゼネラルパートナーは、バリュエーションが期待されるリターンに必ず見合った上で、成績悪化のリスクを制御するように交渉している」と述べた。

(Chibuike Oguh記者)

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