[2日 ロイター] - 個人投資家の間で人気の高い「ミーム株」(ネットの情報拡散で取引される銘柄)の1つである米映画館チェーン大手・AMCエンターテインメントが2日の取引で倍近くに上昇した。
終値は95.2%高の62.55ドルで最高値を更新。時価総額は281億7000万ドルと米メディア大手バイアコムCBSや食品大手ケロッグのほか、同じくミーム株のゲーム販売・ゲームストップを上回った。
AMCのアダム・アロン最高経営責任者(CEO)はこの日、ニュースレターの定期購読に登録すれば、小規模な株主でもポップコーンのビックサイズを無料で提供する計画を発表した。オンライン掲示板レディット内の株式取引フォーラム「ウォールストリートベッツ」などで、同社の株価を押し上げてきた個人投資家に配慮した対応とみられる。
その他のミーム株であるセキュリティーソフトの加ブラックベリーやステレオ・ヘッドフォン製造の米コスもそれぞれ31%超、68.6%値上がりした。
AMC株は昨年末時点の2ドルをわずかに上回る水準から約2850%上昇しており、同社株の高騰は今年初めに見られたゲームストップ株の乱高下に似てきている。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「ミーム株2.0だ」と述べた。
ゲームストップ株は、個人投資家の熱狂的な買いを受け、空売り筋がポジションを解消したことなどから1月に1600%超上昇した。
<ガンマスクイーズ>
アナリストの間ではAMC株の上昇は、「ガンマスクイーズ」と呼ばれる、マーケットメーカーがオプション販売によるエクスポージャーをヘッジする目的で株式を買い集める動きが一因とみられている。
ソスニック氏は「人々はこのような常軌を逸した状況下で、どのような戦術が有効かを学んだ」と指摘した。
4日までに株価が73ドルを超えれば利益が出るコールオプションは2日、AMC株のオプションで最も活発に取引された。
株価がこの水準に近づく中、これらのコールオプションの売り手であるマーケットメーカーはリスクヘッジのためにAMC株の購入せざるを得なくなり、株価上昇に拍車がかかっているとアナリストは指摘している。
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