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アングル:空売り勢、今年は約3000億ドルの収益 米株調整が恩恵

[ニューヨーク 22日 ロイター] - 今年の米国株の急落は、テスラやアマゾン・ドット・コムなど、長らく市場を牽引してきた大型成長株の下げを見越した戦略を取っていた空売り投資家に年間で2018年以来初めて収益をもたらした。

 12月22日、 今年の米国株の急落は、テスラやアマゾン・ドット・コムなど、長らく市場を牽引してきた大型成長株の下げを見越した戦略を取っていた空売り投資家に年間で2018年以来初めて収益をもたらした。ニューヨーク証券取引所で14日撮影(2022年 ロイター/Andrew Kelly)

調査会社S3パートナーズのデータによると、空売り勢の収益は未実現も含めて3037億ドル(約40兆円)。前回、収益を上げた2018年との比較で4倍増。年間の平均空売り残高に基づくリターンは31.2%という。

利益(ドル建て)で群を抜いているのは電気自動車(EV)メーカーのテスラ。約193億ドル相当の売り持ちで未実現分を含め150億ドルの利益を上げた。ここ数年急伸していたテスラ株は今年は約60%下落している。

このほかアマゾン、メタ・プラットフォームズ、アップル、中古車販売カーバナが空売り筋に収益をもたらした。

「(今年は)昨年までと違って経済情勢が市場全体に追い風ではなく向かい風と感じたので空売りしやすかった」と、ロング・ショートのヘッジファンド、アンソン・ファンズのポートフォリオマネージャー、モーズ・カサム氏は指摘する。11月までの運用成績はプラス4.9%という。同社のポジションの上位には、バイオテクノロジー企業ノババックスとEVメーカーのリビアン・オートモーティブの空売りが入っている。ノババックスは年初来で90%超下落、リビアンは約80%下げている。

14年からテスラ株を「絶えず、規模を変えながら」空売りしてきたスタンフィル・キャピタルのポートフォリオマネジャー、マーク・スピーゲル氏は、今年はテスラの空売りで最も利益を上げたと話した。1800万ドルのファンドは今年、約60%上昇している。

テスラ株は14年から1271%上昇。スピーゲル氏はテスラ株が適正価値になるまで、なおかなりの道のりがあるとみて売り持ちを維持している。

ここ数年は、空売り勢には厳しい環境だった。ゲームストップに代表される、いわゆる「ミーム株」が暴騰した21年は1424億ドルの損失、新型コロナウイルスのパンデミックで米連邦準備理事会(FRB)が大規模な緩和を実施し市場が急伸した20年も2417億ドルの損失を被った。

今年も、全てのショート戦略が成功しているわけではない。情報サービスHFRによると、株価の上昇や下落に賭けるロング・ショートのヘッジファンドは11月までの運用成績がマイナス9.7%。

経済指標やFRBの決定を受けた市場の反応は投資家を翻弄し資産価格の動きを増幅させており、個別銘柄の選択がより難しくなっているとトレーダーは指摘する。

バークレイズ(ニューヨーク)の米国株式戦略責任者ベヌ・クリシュナ氏は「(銘柄間の)相関が高いため、非常に難しい環境だ」と述べた。

エネルギー価格の高騰を受け、エクソンモービル、シェブロンなどのエネルギー銘柄は大きく上昇。これらの銘柄を空売りしていた投資家は損失を被った。

ヘッジファンド、バリューワークスのポートフォリオマネジャー、チャールズ・レモニデス氏は、金融引き締め政策が来年のリスク志向の重しになる予想する。同氏のファンドはトランスダイムやブロードコムなどをショートにしており、過去最高水準に達しているという。

(Carolina Mandl記者、David Randall記者)

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