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焦点:米実質利回り上昇が資産価格圧迫、株式市場に影

[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)がさらに異例な大幅利上げを続けるとの観測から米実質利回りが上昇し、ハイテク株からミーム株といった米株式、さらにはビットコインや果てはインフレヘッジ手段と見なされるはずの金に至るあらゆる資産価格を圧迫している。

9月8日、 米連邦準備理事会(FRB)がさらに異例な大幅利上げを続けるとの観測から米実質利回りが上昇し、ハイテク株からミーム株といった米株式、さらにはビットコインや果てはインフレヘッジ手段と見なされるはずの金に至るあらゆる資産価格を圧迫している。ニューヨーク証券取引所で7日撮影(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

実質利回りの指標となる10年物価連動債(TIPS)利回りは今週に一時0.88%と、2019年以降で最も高い水準近くに上昇した。

2020年初めごろには実質利回りがマイナスとなり、米国債市場から資金がより高リスクの資産に幅広く移動。S&P総合500種はコロナ禍本格化以降の最安値に比べ、2倍以上に上昇した。

しかし、今年は実質利回り上昇で株式の魅力があせている。実質利回りは4月にプラス回帰し、株式は急落。S&P総合500種は上半期ベースで数十年ぶりの不振に陥った。夏の早い時期には実質利回りが一時低下し、株価が回復したが、最近はまたその逆だ。

S&P総合500種は8月中旬の高値から7.6%低下。一方、ハイテク株投資を売りにする上場投資信託(ETF)のアーク・イノベーションETFは同期間で約18%下落。AMCエンターテインメント株やゲームストップ株といったミーム株の下落ははるかにきつい。両株とも下落率は約40%に達している。

バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズによれば、先週は顧客の株式売り越しが19億ドルとなり、S&P総合500種が3.3%下落した6月以来の最多規模だった。

バンダ・リサーチによると、昨年のミーム株ブームの主役だった個人投資家の米証券取引額は、コロナ禍前の1日110億ドル程度に戻っている。

ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのストラテジスト、チャーリー・マクエリゴット氏は「投機的な資産は過剰流動性次第だ」とした上で、実質利回り上昇は金融引き締まりの最たる象徴であり、投機的資産にとっての逆風の中核的存在になると説明した。

今や幅広い投資家がFRBの今月の75ベーシスポイント(bp)利上げを予想するようになっているだけでなく、来年にどこまで追加利上げがあるかの予想を上振れさせている投資家も多い。これが最近の債券利回り上昇に油を注いでいる。

BMOウエルス・マネジメントの最高投資ストラテジスト、ユングユ・マ氏は利回りが上昇していることについて「リスクとリターンのトレードオフ関係がもう少し変わるまでは、株式保有への熱意は少々冷めたままだ」と予想した。

ただ、株式に悪い話ばかりではない。トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズの共同最高投資責任者、キース・ラーナー氏によると、今のところ、12か月で見た株式リスクプレミアム(ERP)は引き続き、株式投資の方が債券投資よりパフォーマンスが良いことを示している。

ただ、この度合いもここ数か月では弱まった。同氏はFRBの積極利上げ姿勢に加え、企業収益の下方修正が株式見通しにとってリスクであり続けていると指摘した。

企業収益見通しでは特にハイテク株に対し、利回り上昇が重しになっている。ハイテク株は将来の収益期待が高いセクターだ。S&P総合500種といった株式指数での構成比率も大きい。ハイテク株セクターは8月中旬以降、11%を超える値下がりとなっている。

インベスコのグローバルマーケット主任ストラテジストのクリスティーナ・フーパー氏は「金利が急上昇していくような環境では投資色の強いハイテク株投資の許容度は下がる」と分析した。

(Lewis Krauskopf記者)

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