July 27, 2018 / 7:59 AM / 4 months ago

コラム:欧州自動車メーカー、米欧の「休戦」でも安心遠く

[ロンドン 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州の自動車メーカーは、トランプ米大統領が果たして現実的なディール・メーカーなのか、それとも強硬な保護主義の信奉者なのかをしっかりと見極めなければならない。

 7月26日、欧州の自動車メーカーは、トランプ米大統領が果たして現実的なディール・メーカーなのか、それとも強硬な保護主義の信奉者なのかをしっかりと見極めなければならない。写真は会談後の記者会見に臨むトランプ米大統領(写真右)と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長。ホワイトハウスで25日撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ大統領は、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長との会談を経て、輸入自動車関税導入姿勢を弱めたように見えるが、依然どうなるか分からない。

トランプ氏とユンケル氏は25日、自動車を除く工業製品の関税および補助金撤廃に向けた協議を開始することで合意。この協議が続く間、既に米国が発動した鉄鋼・アルミニウム関税は存続するが、トランプ氏が示唆していた輸入自動車と自動車部品に20─25%の関税を課す計画は凍結される。

ユンケル氏が今回の合意を「(EU側の)大幅な譲歩」と呼んだのは正しい。ドイツの自動車メーカーは昨年米国に約100万台輸出しており、関税引き上げの場合、利益を得るのが難しくなる。

それでも投資家は、米国とEUが交わした合意に懐疑的だ。

フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)、BMW(BMWG.DE)、ダイムラー(DAIGn.DE)3社の合計時価総額は26日、およそ60億ユーロ(71億ドル)増加した。3.3%の上昇だ。資本収益率を10%、税率を30%と想定すると、これは税引き前ベースで年間2億9000万ユーロ前後のコスト節減効果に等しい。

しかしエバーコアISIのアナリストチームが試算した米国の輸入自動車関税による3社への悪影響が15億ユーロ程度に上るのと比べれば微々たるもので、いずれの株価も恐らく貿易摩擦によるディスカウント状態は続いている。

 7月26日、欧州の自動車メーカーは、トランプ米大統領が果たして現実的なディール・メーカーなのか、それとも強硬な保護主義の信奉者なのかをしっかりと見極めなければならない。写真は独ブレーマーハーフェンの港湾に並ぶドイツ車(2018年 ロイター/Fabian Bimmer)

ちなみに3社の2018年利益に基づく平均株価収益率(PER)は1月半ば時点で8倍だったが、足元では約6倍だ。

つまり、用心しなければならない。EUは輸入自動車に対する10%の関税を下げるつもりがあるかどうか不明だが、トランプ氏との間で自動車分野における末永い合意を確保するためには、その引き下げが前提条件となるかもしれない。それに比べれば、今回EUが約束した米国産液化天然ガス(LNG)購入拡大や、米国産大豆の輸入障壁緩和など取りに足らない存在だ。

また前回の米国とEUの自由貿易協定を巡る交渉は物別れに終わっている。

米国とEUの「休戦」が続いたとしても、トランプ大統領が今度はひたすら中国に関心を向けてもおかしくない。中国は、米国の制裁関税への対抗措置として、輸入米国車に追加で25%の関税を適用し、合計関税率を40%まで高めた。米国で製造したスポーツタイプ多目的車(SUV)を中国で販売しているBMWやダイムラーは、生産地の移転で長期的な痛手は避けられる。ただしそうした行動には費用がかかる。さらに当面は、トランプ氏の攻撃にさらされたままになる。

●背景となるニュース

・トランプ米大統領は25日、米国とEUが協議を続けている間は、輸入自動車に関税を課すのを控えることに同意した。

・ユンケル欧州委員長はトランプ氏との会談後、協議は米国が鉄鋼・アルミニウム関税を発動し、EU側の報復措置を講じた事態を「解決する」ことを目指すと説明した。

・トランプ氏は以前、安全保障上の理由から輸入自動車に関税を課すと示唆した。実現すれば、BMWやダイムラー、VWといった欧州メーカーが打撃を受けかねない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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