[ワシントン 30日 ロイター] - トランプ米政権は30日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の議会承認を急ぐための手続きに入った。2020年の大統領選の選挙活動が今秋に活発になることなどを踏まえ、政府は8月の議会休会前の採決を目指している。一方、民主党は協定を見直すための十分な時間が必要だとして、反発している。
米通商代表部(USTR)は、新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」の実施法案の骨格となる「行政措置の声明案」を議会に出した。政府は30日が経過すると採決に向けて、合意文書を議会に提出できるようになる。
民主党は、新協定の労働・環境基準の導入で改善が必要だと主張。民主党のペロシ下院議長は通商関連法案のスケジュールを管理する立場にある。
ワシントンポスト紙は、政権の動きはペロシ氏へのけん制だとの見方を示している。一方、USTRのライトハイザー代表はペロシ氏への書簡で、新協定のスケジュールの遅れへの不満は漏らしておらず、行政措置の声明案の議会提出は、国内通商交渉法で義務付けられた正式な手続きだと説明。協定の労働・環境基準の導入や医薬品価格に関する懸念に対応するため引き続き議会と協力する方針を示した。
ペロシ氏は声明で、この時期の行政措置の声明案の議会提出は好ましい動きではないとし、民主党は基本的にUSMCAに賛成だが、厳格な実施規定が必要だとの考えを示した。
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