July 6, 2018 / 5:32 AM / 15 days ago

米国が340億ドルの中国製品に追加関税発動:識者はこうみる

[シンガポール/東京 6日 ロイター] - 米政府による340億ドル相当の中国製品に対する追加関税が6日発効した。中国政府はすでに同様の措置で対抗する方針を示している。

7月6日、米政府による340億ドル相当の中国製品に対する追加関税が発効した。北京で2017年11月撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)

市場関係者の見方は以下の通り。

<三井住友トラスト・アセットマネジメント リサーチ運用部長 小田誠志氏>

米国が340億ドル相当の中国からの輸入品に対して追加関税措置を発動した。このこと自体はすでにマーケットに織り込まれており、いったん材料出尽くしで日本株や中国株に買い戻しが入っている。

今後は中国がこれに対して報復関税を発動し、米中の貿易摩擦がエスカレートしていくのか注目されるが、農産品価格の下落など、米経済にとってもメリットのない話だ。基本的に米国の対中制裁関税は、中間選挙に向けたトランプ米大統領のパフォーマンスとみている。

ただ、中国の景気自体がスローダウンしている局面だ。関税の問題が輪をかけて下押し要因になる可能性がある。中国への投資を控える動きが出てくれば、中国に機械や部品、部材を輸出している日本企業に影響が出そうだ。今後の決算発表で経営陣のスタンスを確認したい。

米国の保護貿易主義で、日本株に最も影響が出るのは、米国が日本からの輸入車に対して追加関税を課す場合だ。日本の自動車産業は、米国で増産投資をしなければいけなくなる。米国の自動車需要はそれほど強くないため、供給過剰による値崩れの懸念も出やすい。

<ウエストパック(シドニー)のシニア為替ストラテジスト、ショーン・キャロウ氏>

関税の影響を織り込む時間が市場にはこれまで十分にあった。ほとんどの投資家は通商摩擦がどこに向かっているかを警戒しているが、一方で、この段階の措置が米国か中国のどちらかの企業の収益もしくは成長に大きな影響を及ぼす可能性は低い、との指摘もある。

人民銀行が引き続き為替の安定を重視すると表明していることから、米ドル/人民元相場が短期的に反応する可能性は低いとみられる。

ただ、この段階の関税を単に無視するのは楽観的過ぎるようだ。トランプ米大統領の6月18日の声明は、きょうの予想通りの行動に加え、米国が中国からの最大4000億ドルの輸入品に追加関税を課す可能性を示している。

通商問題に対するトランプ氏のこれまでの姿勢や選挙戦での保護貿易主義的な公約、11月中間選挙に向けトランプ氏の支持基盤が引き続き同氏を支えていることを示す世論調査を踏まえると、追加関税の可能性を深刻に受け止めるべきだ。

<SMBC日興証券 金融財政アナリスト 末澤豪謙氏>

米政府による340億ドル相当の中国製品に対する追加関税が6日発効した。中国政府はすでに同様の措置で対抗する方針を示しており、報復が報復を呼ぶ米中の貿易ゲームが、11月の中間選挙に向けて、しばらく続きそうだ。中国からの全輸入に対して追加関税・規制をかける可能性も出てきている。

トランプ米大統領は主要公約の米中貿易改革の実現に向けて、保護貿易主義を推し進めそうだ。夏場から秋口まではマーケット全体にリスクオフ的なムードが強まることになるだろう。

ただ、株式相場が暴落するような状況になれば、中間選挙にとってもマイナスなので、最終的に貿易戦争には至らないと考えている。

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

米国は340億ドルの対中輸入に対し、追加関税を賦課した。対象品目は818にのぼり、税率は一律25%で主にハイテク製品が対象となる。

ドル円相場は、追加関税が発効した時刻をはさんで110.60円付近まで下落したが、その後は110.78円まで買い戻された。後付け的に解釈をすれば、この程度は織り込み済みという初期反応だった。

ただ、今回の措置は米通商代表部(USTR)が公表した措置の第一弾で、今後も米国の追加関税と、中国の報復関税が連鎖していく可能性があり、ドルにとってはネガティブなリスク要因として定着する恐れもある。予断を許さない状況だ。

きょうはドルが対円で買い戻されたとはいえ、ドルはユーロや英ポンドなど欧州通貨に対して弱く、貿易摩擦が米国の実体経済に与える影響も懸念されはじめている。

他方、人民元は米国の追加関税発動をはさんで元高に振れたが、米中通商摩擦を背景とする元安基調は変わらないとみている。

<HSBC(香港)のアジア経済調査担当、フレデリック・ニューマン氏>

プラスの面としては、中国は世界各地に多くのモノを輸出する中心的なサプライヤーで、米国の関税だけで輸出がゼロになるわけではない。米国人もiPhoneが引き続き必要だろう。ある意味で価格上昇は輸入側が負担することになる。

マイナス面としては、信認や投資への影響だ。この問題を巡る不透明感も、もちろん影響を広げることになる。

中国の全ての輸出品に課すことになれば、非常に大きく影響する。

世界的な貿易に10%の関税を課せばGDPは2%ポイント押し下げる可能性があるとの調査結果が、いくつかの信頼のおける世界的な機関からでている。これが実質的な影響だ。

米中は世界貿易のなかで大きな比重を占めているため実質的に影響があり、この意味合いは予測困難だ。

中国は近く、財政刺激策をかなり拡大する可能性がある。(公的債務水準を)世界的な尺度でみると財政余地は当面、実質的に青天井だ。金融面でも対応可能だ。

財政策を講じることで、思い描く構造改革を進め、投資と輸出依存を縮小し、消費者への減税やハイテク投資への補助拡大につなげるだろう。

(貿易摩擦は)成長の押し下げ要因になるだろうが、言われているような大きな影響はないと考えている。現在の想定シナリオでは中国の立場はハードランディングを回避するほど盤石だ。

<アクサ・インベストメント・マネジャーズ(香港)の新興国アジア担当シニアエコノミスト、エイダン・ヤオ氏>

まずは、中国の国内政策に影響が及ぶだろう。中国人民銀行による預金準備率の引き下げは、当局がすでに対外リスクの高まりを懸念していたことを表している。

金融市場の重しとなるような一連の貿易摩擦や対外的な緊張の高まりがなければ、一部の経済指標の数字が予想を下回っただけで人民銀が預金準備率を引き下げると予想しなかった。本来なら、引き下げに動く前にもうしばらく様子を見るところだ。

貿易摩擦がさらにエスカレートする場合、国内政策で経済を支援することになる。

<アンバウンド・コンサルティング(北京)のCHENG GONG主任研究員>

米中貿易紛争は、中国のほうが大きな影響を受ける。中国の経済構造や高い輸出依存度が理由だ。ただ、極めて甚大な影響が及ぶことはないだろう。中国でパニックや大きな危機が起きることはないとみられる。

今の中国政府の姿勢を見ると、中国はあらゆる種類の対抗措置を打ち出すだろう。

貿易戦争の原因となった問題が、短期間で解決される可能性はゼロに等しい。様々な産業、経済交流の分野で貿易戦争が続くだろう。

<OCBC銀行(シンガポール)のエコノミスト、トミー・シエ氏>

中国は報復措置に踏み切るしか選択肢はないだろう。だが本格的なものになるかは疑わしい。

トランプ大統領の関心は、おそらくこのやり取りを11月まで長引かせることだ。具体的な方法はわからないが、「脅して長引かせる」ことがトランプ氏の戦略だとみている。

中国経済にとって500億ドルは大した額ではなく、中国経済に対する当初の影響は限定的だろう。

*内容を追加しました。

7月6日、米政府による340億ドル相当の中国製品に対する追加関税が発効した。上海の羊山深水港で4月撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

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