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米中の「第1段階」通商合意、来年にずれ込む可能性

[ワシントン 20日 ロイター] - 米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると、ホワイトハウスに近い関係者などが明らかにした。中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もそれに対応して要求を強めているという。

 11月20日 米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると、ホワイトハウスに近い関係者などが明らかにした。中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もそれに対応して要求を強めているという。上海で昨年7月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

トランプ大統領とムニューシン財務長官は暫定合意を発表した先月11日、合意の文書化には最長5週間の時間を要すると述べていた。

通商関係者や協議の説明を受けた関係者によると、この発言から約5週間が経過した現在でも合意の見通しはまだ立たず、交渉がさらに複雑化する可能性がある。

トランプ大統領は20日、テキサス州で記者団に対し、米中通商協議について「私が望むレベルに中国が達しているとは思わない」とコメントした。

トランプ氏とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、知的財産権や技術移転といった核心問題に対応しない通商合意で、関税撤廃という大きな譲歩を行うのは望ましくないと考えているという。

中国の劉鶴副首相は20日夜に北京で行われたイベントでの講演で、米国との第1段階の合意について、慎重ながらも楽観していると述べた。米ブルームバーグがイベントの参加者の話として報じた。

同副首相はまた、参加者の1人に対し、米国の要求に「困惑」しているが、第1段階の合意は可能と確信していると語ったという。

一部の専門家は、中国製品約1560億ドル相当への追加関税が発動される12月15日が次の焦点だとしている。

米シンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」のシニアフェローで、ブッシュ元政権などで顧問を務めたクリスチャン・ホワイトン氏は、交渉が首尾よく進めば追加関税は停止されると予想する一方、「そうでなければ、関税は発動され、交渉は来年までずれ込むだろう」と指摘した。

ホワイトハウスのディア報道官は「交渉は継続されており、第1段階の合意文書の文言を巡る進捗は見られている」と電子メールで述べた。

香港問題も、米中合意を複雑にしている。

中国の政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE)の主席研究員、Zhang Yansheng氏は、21日に行われたブルームバーグ主催のフォーラムで、香港問題は明らかに米中通商協議にとってマイナスの要因だと指摘。その上で、第1段階の合意は「混乱が無ければ」、年内に実現する見通しだと述べたが、詳細には言及しなかった。

米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決。中国は即座に反発している。

ホワイトン氏も「中国が指導する香港デモの暴力的な取り締まりが合意の可能性を低下させている」と指摘。「中国の警官隊が香港で(抗議デモに参加する)学生を抑圧する中で、中国の習近平国家主席はトランプ大統領と笑顔で合意文書に署名するために米国に招待されるだろうか」と述べた。

交渉を複雑化させている要因には、対中協議の姿勢を巡るホワイトハウス内の対立のほか、トランプ氏が直前に合意内容を拒否する可能性もあるという。

トランプ氏は19日、中国は「私自身が気に入る」ディール(取引)を行う必要があるとし、「われわれが中国とディールを行えなければ、単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べた。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報の胡錫進編集長は20日のツイッターへの投稿で、「米中が近く合意できると考えている中国人はほとんどいない」とし、「中国は合意を望んでいるが、貿易戦争の長期化という最悪のシナリオに備えている」と述べた。

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