March 23, 2018 / 9:22 AM / 7 months ago

コラム:微妙な「堅い絆」、米国の対日強硬策は円高誘因 

[東京 23日 ロイター] - トランプ米大統領は、最大600億ドル規模の中国製品に関税を導入する政策を打ち出すとともに、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置の適用範囲の詳細を示した。

 3月23日、トランプ米大統領は、最大600億ドル規模の中国製品に関税を導入する政策を打ち出すとともに、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置の適用範囲の詳細を示した。写真は都内で昨年1月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

欧州連合(EU)、メキシコ、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、韓国は除外されたが、日本は適用国とされた。そのうえFTA(自由貿易協定)の締結を求めているという。

「堅い絆」の同盟国と思ってきた日本に対し、かなり厳しい対応だ。

米国が、対日通商政策で「強硬」な方針を明確にすると市場が認識すれば、ドル安を志向しているとの見方が台頭し、円高観測が強まりかねないだろう。

森友学園を巡る財務省の決裁文書書き換え問題に揺れる安倍晋三政権は、米国の通商政策経由で円高圧力を受けるという「外側」からのリスクにもさらされている。

鉄鋼とアルミで輸入制限措置を受けることになった中国は23日、商務省が米国からの輸入品に対抗関税を導入する方針を表明した。ドライフルーツやワイン、鋼管など120品目を対象に15%、豚肉製品や再利用アルミなどに25%を課すことを検討している。最大で30億ドルの規模になるという。

こうした対抗関税の実施表明は、市場に「貿易戦争」の到来を予想させる。それ自体が「リスクオフ」の要因として受け取られ、23日の日経平均.N225は一時、前日比1000円を超す下落となり、2万0617円86銭で取引を終えた。

私が危惧するのは、このルートとは別のルートでの株安・円高の加速だ。「強固な」同盟関係であるとともに主張してきた日米関係が、通商面で亀裂を生じつつあると市場から認識されるなら、大きな円高圧力とそれに伴う株安が現実味を帯びる。

鉄鋼・アルミでの輸入制限措置に関し、世耕弘成経済産業相は20日の会見で、日本は品目別にかなり除外される可能性が高いとの見通しを示していた。

ところが、ふたを開けてみれば、EUやオーストラリアだけでなく、隣国の韓国も適用除外国に含まれているにもかかわらず、日本は中国などともに関税をかけられる国になってしまった。

ある国内銀行の関係者は「米国に冷たくされている印象」と述べている。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、日本とFTAを締結することに意欲を示したと一部で報道されている。

<鉄鋼・アルミ輸入制限、FTA締結への取引カードの可能性>

米国にとって、日本とFTAを締結すれば、牛肉や豚肉など農産物の対日輸出を大幅に拡大させることができるとの期待があるとみられる。

こうした農産物の輸出州は、トランプ大統領への支持が厚いところが多く、今年秋の米中間選挙をにらめば、鉄鋼、アルミ輸入規制で日本に圧力をかけ、FTA締結の方向性を日本に認めさせることで、中間選挙を優位に戦う材料の1つを得ることができる。

中間選挙を強く意識した政策スタンスをトランプ政権が採用していると市場が認識すれば、米政権はドル安進行を容認するのではないかとの思惑が、市場で台頭しやすくなるだろう。

市場の一部では、実質実効為替レートでみた場合の購買力平価は、1ドル=95─100円程度との試算もある。

23日の東京市場でドル/円JPY=EBSは104円後半で取引が中心となった。ジワリと円高圧力がかかり出したとの見方もできる。

トランプ政権が、日米同盟から通商政策だけを切り出して強硬な姿勢をみせるようなら、日本の安倍政権は安全保障上の米国の役割を重視し、通商面で一定の譲歩をするのではないかとの観測が、市場の一部にはくすぶっている。

今後、安倍政権の通商、為替政策の動向を市場は注視していくことになろう。

だが、さらに注目されるのは、ライトハイザーUSTR代表の強気の交渉姿勢や、ムニューシン米財務長官のドル安容認発言ではないか。

現実にそのような発言が伝えられれば、市場はかなり鮮明に反応する可能性があると予想する。

●背景となるニュース

・米国が鉄鋼・アルミ輸入制限発動、6カ国とEUを除外 [nL3N1R52LW]

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