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米通商代表、WTO「不公平な扱い正す」 北米協定にも強い姿勢

[ワシントン 17日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は17日、トランプ政権は世界貿易機関(WTO)の「旧態依然とした関税を巡る判断」の広範な修正を推し進め、数年にわたる米国の不公平な扱いを正すと述べた。また、メキシコ・カナダとの協定についても、7月1日の発効後、違反があれば「早急かつ頻繁」に対応するとし、強い姿勢を示した。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は17日、トランプ政権が世界貿易機関(WTO)の「旧態依然とした関税を巡る判断」の広範な修正を推し進め、数年にわたる米国の不公平な扱いを正すと述べた。ジュネーブで2日撮影(2019年 ロイター/Denis Balibouse)

<新事務局長に「反米の兆候」あれば反対>

同氏は、下院歳入委員会の公聴会での証言原稿で、経済の現状をより反映させるために、WTOが設定した関税を早急に変更することが必要と指摘。「大規模かつ先進的な経済を有する多くの国が、米国の関税率をはるかに上回る非常に高水準の関税率を維持している」としたほか、発展途上国に対する「特別かつ差別的な待遇」などに関する提案についてより広範な支持を求めると語った。

トランプ政権は以前から、WTOが中国の不公正な貿易慣行に対処していないと批判し、もはや中国を発展途上国として扱うべきではないと主張してきた。

ライトハイザー氏はまた、WTOとその上級委員会は、貿易紛争の90%で米国に過失があると判断することにより、大幅な貿易赤字を抱える米国を「世界最大の貿易乱用国」として扱ってきたと批判。これにより、各国は訴訟を起こすことでより良い結果が得られると判断するため、WTOの交渉プロセスが損なわれているとした。

WTOの最高裁に相当する上級委は、米政府が昨年、委員の補充に反対したため、紛争処理機能が停止している。ライトハイザー氏はこれについて、上級委がこのまま機能しなくても「問題ない」との見方を示した。

また、WTOの新事務局長選びによって改革が加速される可能性があるものの、過去に「少しでも反米の兆候」が見られた候補には反対すると強調した。アゼベド現事務局長は8月末に任期を1年前倒しして辞任する。

ライトハイザー氏はさらに、今月2日にデジタルサービス税への調査を発表したように、WTO規則に違反していると見られる海外の動きに対し、公的な対抗措置を引き続き求めていくとした。

米国に関税非課税で製品を出荷できる「デミニマス基準値」に関しては、現行の非課税上限額である800ドルの引き下げを検討しているとした。

同氏は、2018、19年度にこの非課税枠で行われた米国への出荷は合計12億件に上り、中国からの出荷が6割を占めたのに対し、課税対象の出荷は6800万件にとどまり、中国の比率は11%に満たなかったと指摘。米国のデミニマス基準値が高いことを中国などが利用して関税を回避しているとの見方を示した。

<メキシコ・カナダにも厳しく対処>

7月1日に北米自由貿易協定(NAFTA)に代わって発効する新協定「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」については、メキシコが過去2年間、米国のバイオ製品をいっさい承認していないことを巡り協議を開始する方針だとし、紛争処理の申し立てが必要になる可能性が高い、と述べた。

米国からの乳製品輸出に関する規定をカナダが実行するかどうかも注視し、米農家が恩恵を受けていなければカナダに対し申し立てを行うとした。

これらも含め、違反があれば「早急かつ頻繁」に対応する考えを示した。

一方、同氏は、新型コロナウイルスや将来発生する感染症と闘うために必要な医療関連製品は米国内で生産すべきだとし、そのために関税措置を活用することを支持する考えも示した。

「今後の感染症流行に備えて国内の製造能力を整える計画の一環として、必要な物資の関税率を引き上げることを支持する」と述べた。

*内容を追加しました。

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