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焦点:トランプ氏の硬軟使い分け、企業トップが見た「裏の顔」
2017年3月12日 / 03:03 / 9ヶ月前

焦点:トランプ氏の硬軟使い分け、企業トップが見た「裏の顔」

Ginger Gibson and David Shepardson

 3月8日、製薬大手6社のトップがトランプ米大統領に会うためワシントンに向かった1月、それが険悪な雰囲気の会談になり得る材料はすべて揃っていた。写真は1月31日、ホワイトハウスで製薬業界のトップと会談するトランプ大統領(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 8日 ロイター] - 製薬大手6社のトップがトランプ米大統領に会うためワシントンに向かった1月、それが険悪な雰囲気の会談になり得る材料はすべて揃っていた。

その数週間前、トランプ大統領は、医薬品価格があまりにも高く、製薬会社は「殺人を犯しているのに罪を免れている」と非難して、製薬各社の株価を急落させていた。

ところが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)や、ノバルティス(NOVN.S)、メルク(MRK.N)を含む大手製薬の最高経営責任者(CEO)たちを迎えたトランプ大統領は、驚くほど愛想よく振る舞い、自らホワイトハウスの執務室を案内して回ったと、その朝食会に参加した数人が語った。

「それが険悪になる可能性はあったし、私たちもそうなるのではないかと考えていたが、それに比べたらはるかに良い会合だったのは確かだ」とこの会合の状況に詳しい業界関係者は語った。

トランプ大統領は、製薬業界への公然とした攻撃を繰り返さなかった。その代わり、製薬各社のコストを押し上げている「時代遅れの」規制に焦点を当てたという。製薬会社のCEOたちは、規制緩和と米国の割高な法人税率を変えるという大統領の言葉を土産に持ち帰った。

1月20日大統領に就任して以来、トランプ氏は自動車、航空、小売、医療保険といった業界リーダーたちと少なくとも9回の会合を行なった。8日にも、トランプ氏はニューヨークの不動産開発会社や、プライベートエクイティのトップたちと昼食会を催した。そこではインフラ整備に関する官民協力の可能性が議論される見込みだという。

早朝や深夜のツイート投稿や演説のなかで、トランプ大統領はこうした企業の多くに関して、彼らのコスト超過、高価格、海外での生産活動を非難し、幾度となく企業株価に悪影響を与えていた。

しかし、大統領との会合に出席あるいはその報告を受けた10数人近い企業幹部やロビイストをロイターが取材したところ、妥協せず厳しい要求をする大統領のツイートアカウント@realDonaldTrumpとは非常に異なるトランプ像が浮かび上がってきた。

大手企業のトップと直接会うときのトランプ大統領は、愛嬌と口当たりのよい言葉で相手をもてなす。その場合の大統領は柔軟で好奇心旺盛、さらに相手の誕生日を記憶するような追従上手で、相手の企業に対しても惜しみなく讃辞を浴びせていた、と非公開の会合について匿名を条件に取材に応じてくれた人々は指摘する。

株価急落をもたらすようなおおっぴらな攻撃をしているにもかかわらず、こうした大統領のプライベートな一面が、多くの企業トップに、トランプ氏はビジネスに好影響を及ぼすとの自信を与えている。大統領は7日にも、医薬業界の競争促進と薬価引き下に向けた制度に取り組んでいるとツイートし、製薬各社の株価をさらに押し下げた。

ホワイトハウスでの会合で、トランプ大統領はもっぱら規制緩和について重点的に語ったという。それは、オバマ前政権によって課されたルールの撤廃を、重要な優先事項の1つにしていることを裏付けている。トランプ大統領はよく、企業の新規雇用増大を妨げている規制は何かを問いただし、問題の解決を約束すると企業トップらは語る。

「大統領は会合前に(メディアの)カメラ向けに一言発言し、いったん扉を閉ざすと一転して、肩を叩き合うような親密な雰囲気に変わる」とこうした会合について説明を受けたある人物は語る。「愛想がよく、他の大物企業トップたちと大の仲良しのように見られたがる」

実業家出身のトランプ大統領は、企業トップとの非公開会合を、取締役会のように進行しているという。独断的な彼のツイートとは対照的に、列席する全員から意見を求め、オバマ氏やジョージ・W・ブッシュ氏といった前任者と比べても、台本通りの発言が少ないという。

 3月8日、製薬大手6社のトップがトランプ米大統領に会うためワシントンに向かった1月、それが険悪な雰囲気の会談になり得る材料はすべて揃っていた。写真は1月31日、ホワイトハウスで製薬業界のトップと会談するトランプ大統領(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

<執務室のガイド役>

トランプ大統領が非公開会合で業界トップたちとどう接しているのかについては、あまりにも情報が少ないために、業界団体や企業幹部らは、この会合にどのように臨むべきか、ノウハウの交換を始めている。

「(こうした会合について)何を予想し、どう行動すべきか、水面下で情報共有が行われている」と語るのは、トランプ大統領との会合に向けての準備に携わったある業界団体幹部だ。ホワイトハウス詣でを控えた他の業界幹部からもひっきりなしに問い合わせの電話がかかってくるようになったという。

こうした会合の締めくくりとして、トランプ大統領はよく彼の執務室へと皆を招き入れ、そこに飾られた絵画や彫刻、家具、それに自分が選んだ敷物やカーテンを披露している。またオバマ氏から引き継いだキング牧師の胸像を紹介し、最後にデスクの向こうで記念撮影をする。

「大統領はツアーガイドになり、執務室を彼らに案内する」とこの業界団体幹部は言う。「執務室をとても誇りにしている」

<椅子を引き、誕生日の祝いも>

1月24日にホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領と朝食を共にした自動車産業ビッグスリーのCEOたちは、嬉しい驚きを味わった。

トランプ大統領は当選以来、自動車各社がメキシコで生産を行なっていることを頻繁に批判しており、米国メーカーがこれ以上米国の雇用を海外に移転させれば、「必ず重大な結果を招く」と警告してきた。

この日、大統領は「ルーズベルト・ルーム」に入ると、ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)のメアリー・バーラCEOの肩を叩いて親しげに挨拶し、米国内での雇用を増やすよう穏やかに促した。会議の冒頭部分の録画によれば、会議が始まる前にはトランプ氏がバーラCEOのために椅子を引いてあげたという。

トランプ大統領はフォード・モーター(F.N)のマーク・フィールズCEOに「誕生日おめでとう。皆さん、今日は彼の誕生日だ」と挨拶。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)のセルジオ・マルキオーネCEOに対しては、彼と会えたことを「大変な光栄」だと表現した。

事前にツイートしていた内容とは異なり、トランプ大統領は、具体的に米国に工場を建設するよう、彼らに要求したりはしなかった。代わりに、規制に関するCEOたちの不満に耳を傾け、支援することを約束した。この会合について説明を受けた人々はそう説明した。

高名なゲストたちを相手にトランプ氏はお世辞を振りまき、ときには冗談も口にしている。

キャンベルスープ(CPB.N)のデニス・モリソンCEOがこうした会合で自己紹介したところ、トランプ大統領はすぐに「美味しいスープですよね」と応じたという。

別の会合で、米ディスカウントストア大手ターゲット(TGT.N)のブライアン・コーネルCEOが話しかけると、大統領は相手の社名を「Tar-Jay」と発音。ターゲットの社名をフランス語風に発音して高級そうに見せるという、よくある冗談を披露したのだ。

(翻訳:エァクレーレン)

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