[ワシントン/東京 15日 ロイター] - 米財務省は14日、半期の為替報告書を公表し、トランプ大統領が選挙中から主張していた中国など主要貿易相手国の「為替操作国」認定を見送った。
「監視対象」リストには昨年10月に続き、中国、日本、ドイツ、韓国、台湾、スイスが入った。
アナリストらは、中国がこのところ輸出を促進するための元売り介入でなく、元高に向けた介入を行っていると指摘しており、今回の報告書もそれを確認する内容となった。
市場関係者も先週、ロイターに対し、中国が為替操作国に認定されることは考えにくいと述べていた。
ただ報告書は、中国が過去に元安を維持する取り組みを行ったことが、世界の貿易システムの「ゆがみ」を生み出し、「米国の労働者や企業に重大かつ長期の苦難を与えた」と指摘。
今後も中国の貿易・通貨政策を注視し、米国の製品やサービスに対する市場開放を加速するよう求めた。
オバマ前政権下で国際担当財務次官を務めたネイサン・シーツ氏は、今回の報告書について、トランプ政権がデータに基づく為替政策を取りつつあるとコメント。トランプ氏が当選時に考えていた内容ではないが、「中国に前進が必要という明確な声明だ」と述べた。
オバマ政権は昨年、為替操作国と認定する基準として、対米貿易黒字が200億ドル超、経常収支黒字が国内総生産(GDP)比3%超、執拗な為替介入による外貨購入が過去1年間でGDPの2%相当という3項目を設定。日本、韓国、台湾、ドイツ、スイスはうち2つが該当するとした。
日本については、為替介入の再開に警戒感を示し、介入は「G7とG20のコミットメントに沿った、適切な事前協議を伴う極めて例外的な状況のみにとどめるべきだ」と指摘した。
日本の財務省幹部は今回の米為替報告書ついて、「日本の為替政策に影響があるとは考えていない」との認識を示した。
*関連グラフィック:tmsnrt.rs/2p7aUox