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焦点:トランプ氏、情報機関との不和が招く「安全保障リスク」
January 18, 2017 / 5:05 AM / a year ago

焦点:トランプ氏、情報機関との不和が招く「安全保障リスク」

Warren Strobel and John Walcott

 1月13日、大統領就任式を目前に控えたドナルド・トランプ氏と、まもなく彼の指揮下に入る米国情報機関とのあいだで、前例のない対立が生じている。写真は2016年10月、米コロラド州で撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 13日 ロイター] - 大統領就任式を目前に控えたドナルド・トランプ氏と、まもなく彼の指揮下に入る米国情報機関とのあいだで、前例のない対立が生じている。この対立が早期に解消されない限り、米国の安全保障に悪影響を及ぼす恐れがある、と政府の現旧当局者は警鐘を鳴らす。

ロシアのプーチン大統領が米国選挙への介入を指示したかどうか、そしてロシアがトランプ氏に不都合な情報を握っているとする民間情報会社がまとめた裏付けのない文書のリークをめぐるトランプ氏との衝突により、CIA(連邦中央情報局)などの米情報機関ではすでに職員の士気の低下が見られるという。

このような関係亀裂が放置されれば、米情報機関からの人材流出を招き、残留組も、安全保障上の脅威に対抗するために必要なリスクを取らなくなる可能性がある、と現旧当局者らは指摘する。

過去数カ月、トランプ次期米大統領はプーチン大統領との関係改善に向けて意欲を示し、情報機関の仕事ぶりを罵倒してきた。

トランプ氏は今月、自国の情報機関がロシア関連文書をメディアにリークしたと非難したが、クラッパー国家情報長官は、情報機関当局者がリークしたとは考えていないと言明している。

「人々が(CIAを)批判することは珍しくない。しかし、それは普通、大統領ではない」と元政府当局者はロイターに語った。コメントを求めるメールに対して、トランプ氏の政権移行チームからの回答はなかった。

「このままでは悲惨なことになるのは確実だ」。歴代の民主党出身大統領の下で、ホワイトハウス及び国務省のテロ対策担当ポストを経験したダニエル・ベンジャミン氏はそう分析する。

現在はダートマス大学で教えるベンジャミン氏は、情報機関の職員が職場を去る「高い可能性」があり、こうした人材は民間部門にとって「非常に大きな価値」があると語った。

新大統領による就任宣誓のちょうど1週間前になって、状況をさらに複雑にしたのは、トランプ次期大統領によって安全保障関係のトップに指名された2人の人物が、上院による承認公聴会において、情報収集という隠れた世界で働く人々を称賛したことだ。

CIA長官に指名されたマイク・ポンペオ下院議員は12日、必要があればトランプ次期大統領に従わない覚悟があると語り、CIAの活動を政治利用する動きから職員を守ると言明した。

また、トランプ新政権の国防長官に指名されているジェームズ・マティス氏は上院において、米国の情報機関に「きわめて高い信頼を」抱いていると発言。マティス氏は、米国の国益に対する脅威について聞かれ、「最たるものはロシア」と表明した。

ある米情報機関に所属する幹部職員によれば、50歳以上で少なくとも5年の海外経験を含む、勤続20年以上のベテラン職員のなかで、辞職届を作成する者が増えているという。多くは署名済みだが、日付は入っていないという。

「われわれのやっている仕事や、直面している危険について、次期大統領が明らかな軽蔑を示していることについて、強い懸念がある」。別の情報機関に所属する幹部職員もそう述べた。

彼をはじめとする職員らは、情報機関の業務や士気に関して、匿名を条件に取材に応じた。

<対立の経緯>

今回の対立を招いたのはCNNの報道だ。それによれば、トランプ氏は6日に情報機関・法執行機関のトップによる状況説明を受けたが、そこで取り上げられた2ページのメモに、ロシア関連文書による真偽不明の主張がまとめられていたという。

米情報機関によるリークを批判するなかで、トランプ氏は「これが私に対する最新の攻撃だ。われわれはナチスドイツで暮らしているのか」とツイッターに投稿した。

米情報機関を統轄するクラッパー国家情報長官は、11日の夕食前にトランプ氏に電話し、事態の収拾を求めたという。ここで語られた内容について、トランプ、クラッパー両氏の言い分は異なっている。

トランプ氏は13日、再び情報漏えいの責任を米情報機関に押し付ける態度を見せた。

「諜報筋によってリークされたようだ。何の証拠もなく、今後も証明されないことを知っているのに」と同氏はツイートした。

「ナチスにたとえられ、意図的に例の文書をリークしたと非難され、(情報機関職員らは)大きなショックを受けている」と情報機関の元幹部は語る。

米国の情報機関の数は17に上り、合計700億ドル(約7兆9100億円)以上の予算と数万人規模の職員を擁している。その任務は、テロ攻撃に対する警告から、戦場における米軍部隊の支援、気候変動など世界的な傾向による影響の分析まで、あらゆる事象にわたっている。

複数の元政府当局者は、今回の対立は、2003年と2004年に、イラクで大量破壊兵器を発見できなかったことについて当時のジョージ・W・ブッシュ大統領とCIAのあいだで非難の応酬が見られて以来となる、記憶にある限りで最悪のものだと話している。

元CIA幹部のダグラス・ワイズ氏は、民主党のオバマ大統領が任命した幹部の代わりに自身が指名した情報機関幹部が就任すれば、トランプ氏も彼らを「ぶちのめす」ことは難しくなるだろうと予想する。「状況は変わっていくと思う」と同氏は語る。

とはいえ、1月20日の就任式以降もこの対立が続く可能性は高い。

トランプ政権で国家安全保障担当の補佐官に就任するマイケル・フリン退役陸軍中将は、クラッパー氏に解任されるまで、国防総省の国防情報局長を務めていた。ワイズ氏や共に働いた経験のある人々は、フリン氏は以前からCIAに対して懐疑的だったと指摘する。

「ポンペオ氏の言葉には少し安堵しているが、その発言が重いのか、それともトランプ氏のああいう態度やフリン氏のわれわれに対する辛辣姿勢の方が重いのかは、まったく不明だ」と前述した2番目の幹部職員は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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