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コラム

コラム:米大統領選、党大会で「どんでん返し」あるか

[28日 ロイター] - 民主党・共和党の大統領候補指名競争は、すでに決着がついたのだろうか。「オープンな党大会」もしくは「裏取引のある党大会」についての話をひととおり聞いてみると、結論は、まだのようだ。

 4月28日、民主・共和党の党大会で、代議員がどの候補に指名投票するかは自由だ。特に、党大会での第1回投票でどの候補も過半数を獲得できなかった場合には、なおさらである。しかし政治的には、これは戯言にすぎない。写真は共和党の候補指名が目前に迫る不動産王ドナルド・トランプ氏。写真はニューヨークで4月17日撮影(2016年 ロイター/Eduardo Munoz)

つまり、各州の予備選・党員集会で選出された代議員は、全米レベルの党大会においては好きなように投票する候補者を選べる、という考え方である。では、裏取引がある場合はどうか。裏取引を成立させるためには、有力な黒幕が必要だ。問題は、その黒幕となるべき人間に、もはや黒幕たるべき権力がないという点である。

厳密に言えば、その通り、代議員がどの候補に指名投票するかは自由だ。特に、党大会での第1回投票でどの候補も過半数を獲得できなかった場合には、なおさらである。

しかし政治的には、これは戯言にすぎない。1968年の民主党の党大会において当時のヒューバート・ハンフリー副大統領が指名されたことで混乱が生じ(ハンフリー氏はその年の予備選に一度も登場していなかった)、1972年に指名候補の選択が一般有権者に委ねられた後、そのような例は見られないからだ。

1972年以前、党大会に参加する代議員は、ほぼ地元・州レベルの党領袖(たとえば故リチャード・J・ダレイ元シカゴ市長)の言いなりだった。大統領選に向けた予備選は、基本的には参考程度のものでしかなかった。

たとえば1960年のウェストバージニア州における民主党予備選ではジョン・F・ケネディ氏がハンフリー氏を破ったが、このマサチューセッツ州選出の若き上院議員は、不安を示す党中枢に対し、[この予備選の勝利によって]カトリック系有権者の票がプロテスタント系を上回る可能性もあることを実証したのである。

では裏取引のある党大会とはどのようなものだろうか。ゴア・ヴィダルの戯曲をベースとする映画「ザ・ベスト・マン」を観ていただきたい。密室での取引と謀略があまりにも時代がかっているせいで、俳優たちが髪粉をつけたカツラをかぶっていたとしても違和感がないほどだ。

1968年以降に進められた一連の改革により、党指名候補を選択する権限が予備選の有権者に与えられた。全国党大会は選挙人団の会合となった。彼らは、地元の有権者たちが好む候補者を登録するために党大会に参加する。彼らは政治家であり、あえて支持者たちを裏切ろうとはしないのだ。

今日、両党の全国党大会は「娯楽情報番組」になっている。指名候補にとっては、テレビ放映される激励会である。代議員たちが応援団員だ。トランプ氏は2012年の共和党大会を、「これまで見たなかでもダントツで退屈な党大会」と呼んだ。同氏は今年の党大会に「もっとショービジネス的要素を」採用すると約束している。クリント・イーストウッドが誰も座っていない席に語りかけるよりはマシだろう。

トランプ氏の対立候補たちは、「裏取引のある党大会」については語りたがらない。彼らが好むのは「オープンな党大会」を要求することだ。こちらの方が民主的に聞こえる。

共和党全国委員会のラインス・プリーバス委員長は、代議員は予備選での投票に縛られず、好きなように指名投票を行えると主張している。「これは共和党のための指名投票なのだ。もしこの党が好きでないのなら、そのまま席に座っていて欲しい。党は1人の候補者を選ぼうとしている」

本当にそうだろうか。米国政治の原則では、いったん人々が権力を握った以上、それを奪うことはできない。NBCニュースとウォールストリート・ジャーナルによる共同世論調査では、共和党員のうち、代議員が「党の看板候補として最善である」と考える候補ではなく、予備選で最も多くの支持を集めた候補が党大会で指名されるべきだとする人が2対1の割合で多いという結果が出ている。

先月、共和党の党規委員会のあるメンバーが、党全国委員会の委員たちに対し、「2016年共和党全国党大会においては、すべての代議員が完全なフリー・エージェントとして、つまり7月のクリーブランドの党大会でのすべての投票において、自分がよいと考える候補者に自由に投票できるようにするべきだ」と主張する書簡を送った。

反応は素早かった。共和党全国委員会の複数のメンバーが、署名運動を開始したのである。その趣旨によれば「党幹部がわれわれ人民に対し、諸君らの投票は考慮されないと告げるのであれば、その党幹部は人民の意志を支持していない。したがって、その地位から排除されるべきだ」。つまり、「そんな奴はクビだ」というわけだ。

トランプ氏は、最終的に自分が予備選において他の候補よりも多くの票を集めることになったとすれば、代議員たちが予備選で獲得票の少ない候補を指名するのは言語道断と主張している。民主党は1968年にそれをやり、結果として、混乱と流血の惨事を招いた。

先月、トランプ氏は、もし共和党が7月の党大会に「裏取引」を持ち込もうとするならば、「暴動が起きるのではないかと思う」と述べた。これは党指導部に対する警告であり、トランプ支持者に対する煽動の呼び掛けである。

トランプ氏の立場は、党大会の代議員たちは有権者の意思を尊重しなければならず、独立したエージェントとして行動してはならない、というものだ。

民主党サイドでは、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)が対照的な策略をめぐらせている。サンダース氏が第1回の投票で、代議員の過半数を獲得する見込みはない。そこで、予備選の有権者の意向を覆すことのできる「スーパー代議員」の支持を獲得しようというのが同氏の望みだ。

民主党大会の代議員のうち15%は、このスーパー代議員である。彼らは、どの候補にでも好きなように投票できる。今のところ、スーパー代議員の大半はクリントン氏を支持している。スーパー代議員の大半が党幹部なので、彼らは有権者の意思を否定するリスクを負いたがらない。スーパー代議員にとって最も安全な方針は、民主党の予備選の結果を承認することだ。

共和党関係者にとっては、最新の世論調査によれば、選択はますます困難になっている。トランプ氏を指名することはできるが、本選では負ける。誰か別の候補を指名してもいいのだが、そうなればトランプ氏が彼らを確実に敗北に追い込むだろう。

*本稿は4月28日に執筆。5月3日のインディアナ州予備選を受けて、共和党のテッド・クルーズ上院議員は選挙戦からの撤退を表明。翌4日にはオハイオ州のジョン・ケーシック知事も撤退を決めている。

*筆者は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校でコミュニケーション研究分野の客員教授を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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