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コラム

コラム:米コロナワクチン配布、州政府の財政悪化が壁に

[ニューヨーク 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 新型コロナウイルスのワクチンが、ついに登場しつつある。だが、米国では配布するための資金が用意できていない。ファイザー、モデルナに続き、アストラゼネカもワクチンの臨床試験(治験)で素晴らしい結果が出たと報告し、数週間以内に最初の接種が始まる展開が視野に入ってきた。

11月23日、新型コロナウイルスのワクチンが、ついに登場しつつある。写真はワクチンと米国旗のイメージ。10日撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)

米連邦政府は3社から少なくとも計5億回分を購入することに合意しており、今後他社が治験で成果を示せば、追加で調達する構えだ。このため来年末までには供給量は潤沢になるだろう。ところが、ワクチンを分配する仕事は財政難の各州に委ねられるため、実際には国民の元に届かない事態が生じかねない。

過去数週間で、3社は相次いでワクチンの緊急使用許可を申請すると表明し、年内に配布を開始する算段を整えている。連邦政府は「ワープ・スピード作戦」に基づき、希望する国民全員に無料で提供するとしており、アストラゼネカのワクチン開発には10億ドルを超える予算投入で合意している。

しかし、そこから先が厄介になる。米疾病対策センター(CDC)は配布方法の指針は作っているものの、接種対象者をどう選ぶかなどは各州に任されている。

多くの州は恐らくCDCの指針に従い、まず、高齢者や健康面でリスクの高い人々に接種するだろう。とはいえグレーゾーンは存在する。その上、一部の州では接種開始が他州よりも遅れるかもしれない。例えば、ニューヨークはワクチンが安全かどうか判断するための専門部会を設置した。

より大きな問題は、配布費用をどう払うかだ。CDCのレッドフィールド所長は、連邦議会が州政府に最大60億ドルの予算を配分しなければならないとしているが、地方の公衆衛生当局を代表する団体は、80億ドル超が必要だとの試算を示した。

今のところ、各州政府はそうした資金のごく一部しか受け取っていない。全米最大級の人口と人口密度を持つニューヨークの場合、保健当局は10月、既に受領したのは780万ドルに過ぎないと明らかにし、必要な連邦予算が今後手元に入ってくるかどうかは、なお「不明だ」とも指摘している。

ワクチン配布を連邦政府が一元的に実施すれば状況改善に役立つだろうし、大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン氏は、ワクチン関連で250億ドルの予算を準備しようとしている。それでもこうした対策は連邦議会の承認を得なければならず、あくまで現行の枠組みであれば、各州政府の懐具合が非常に厳しいにもかかわらず、各州にまるで丸投げだ。

シンクタンクのタックス・ポリシー・センターによると、全米の州の税収総額は2021会計年度末までに2000億ドルも目減りする見通しだ。パンデミックに起因する経済的な打撃から立ち直る最善の道は、コロナワクチン接種だと分かっていても、州政府はそれが十分迅速にできないのだ。

●背景となるニュース

*英製薬大手アストラゼネカは23日、オックスフォード大学と共同開発中の新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、深刻な副作用なしで約90%の予防効果が期待できるとした臨床試験の中間結果を公表した。モデルナとファイザーが、それぞれの大規模治験でコロナワクチンの高い有効性と安全性を示したのに続く動きだ。

*米連邦政府は「ワープ・スピード作戦」に基づき、これら3社に対して少なくとも5億回分のワクチンを発注している。

*米疾病対策センター(CDC)は既に、各州がワクチンを配布する方法の指針を提示しているが、具体的な実行手順は州に任されている。州と地方自治体の公衆衛生当局でつくる連合組織は、連邦議会上院のマコネル共和党院内総務に宛てた書簡で、配布手続きには80億ドル強が必要だとの試算を示した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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