March 16, 2018 / 8:12 AM / a month ago

コラム:ポンぺオ国務長官の強みと弱み、核危機回避できるか

Peter Van Buren

 3月15日、米国務長官に新たに指名されたポンぺオ中央情報局(CIA)長官(写真)は、米議会での指名公聴会を終え次第、就任後最初の課題として「春のミサイル問題」に取り組むことになるだろう。ワシントンで2月撮影(2018年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

[15日 ロイター] - 米国務長官に新たに指名されたポンぺオ中央情報局(CIA)長官は、米議会での指名公聴会を終え次第、就任後最初の課題として「春のミサイル問題」に取り組むことになるだろう。

一方では、トランプ大統領とポンペオ氏は、オバマ政権時代のイラン核合意から撤退したいとの意志を示唆している。他方、両氏は北朝鮮との間で似たような合意を取り付ける意思があるようにみえる。トランプ大統領に向けたポンペオ氏の助言が米国外交の核問題に対する取り組み姿勢を形作るだろう。

解任されたティラーソン国務長官の後任にポンペオ氏を指名したトランプ大統領の選択により、イラン核合意の「ひどい欠陥」を修正するよう1月に最後通告を放った大統領を補佐する米国の外交トップに、同合意の強硬な反対派が就くことになる。

西欧諸国が(中国とロシアとともに)イラン側に合意内容の修正を要求することに同意しない限り、トランプ大統領は、米国の対イラン制裁の停止措置が期限を迎える5月12日以降、同措置を更新しない方針だ。そうなれば、2015年に締結された核合意はご破算となり、イランは核開発サイクルに戻っていくだろう。

トランプ氏は以前、ティラーソン氏と政策見解が異なる分野として、イラン核合意を真っ先に挙げていた。この問題について、ポンペオ氏の立ち位置は明確だ。「世界最大のテロ支援国家との、大失敗合意を巻き戻すことを楽しみにしている」と、同氏はCIA長官の指名公聴会の際にツイートしている。

だがよく言われるように、立場によってものの見方は変わるものだ。ポンペオ氏は国務長官として、CIA長官だった時に比べて、複雑な地域が存在することに気付くだろう。ポンペオ氏は、イラン合意を最大の外交遺産の1つとみなしている国務省を引き継ぐ。国務省スタッフは、彼の強硬な見方に異論を唱えるだろう。

まだはっきりしないのが、ティラーソン氏の下で政策企画局長だったブライアン・フック氏の去就だ。ティラーソン氏が解任された13日、フック氏はトランプ大統領をなだめられるような新たな方策を欧州同盟国と相談するため、ウィーンに向かっていた。

ティラーソン氏の側近のなかでフック氏だけが辞任を表明しておらず、職務を続ける意向のようだ。もしポンペオ氏が彼を職に留めれば、フック氏は政策議論で反対意見を提示することだろう。

国務省の主要ポストは空席だらけで、ポンペオ氏は自分の味方を指名することで、同省をコントロールできるだろう。だが、ポンペオ氏が、ティラーソン氏が一定の距離を置いていた「建物(国務省の組織)」を受け入れるだろうという一部の楽観的な見方は恐らく的外れだ。

ポンペオ氏はCIAで、自身がトランプ大統領の部下であることを明確にしている。同氏が行う人事は、それを反映したものになるだろう。ポンペオ氏は保守系団体と関係があり、考え方を同じくする候補者から選ぶことができるだろう。

また、大統領との親密な関係は、ポンペオ氏の人選が、前任長官が経験したような(ホワイトハウスの)抵抗に遭わないことを意味する。

カルチャー的には、ポンペオ氏はほぼ間違いなくキャリア外交官と衝突するだろう。「CIAでの見方はこうだ」として分析をはねつけられることほど、国務省の専門家が嫌うものはない。そして、ポンぺオ氏はそのような反論を口にするだろう。

人格的にも、ポンペオ氏は短気で頑固と言われている。国務省では、声を荒げる人はいない。また、「玉虫色」が好まれることもある。

良い点を挙げれば、ポンペオ氏のトランプ大統領との親密な関係は資産になるかもしれない。大統領に疎んじられていたティラーソン氏の下で、米外交官は自分たちの見解がホワイトハウスの政策議論に反映されているのかと大っぴらに疑っていた。

海外でも同じことで、トランプ氏が常に、また頻繁にツイッター経由でティラーソン氏を軽んじたことで、外国の対話相手が同氏に時間を割く価値があるかどうか自問していたことは間違いない。

もし、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やケリー大統領首席補佐官などの側近が、うわさ通りホワイトハウスを去れば、トランプ氏にとってのポンペオ氏の重要性と価値は高まる一方だ。

ポンペオ氏は国務長官として、イランがイラクで担う強力な役割により留意するようになるだろう。CIAではイランは悪者としかみなされていないが、国務省では、一風変わった協力者のような存在だ。

イラクでの過激派組織イスラム国(IS)掃討は、あまり知られていないトランプ外交の成功例だが、この成功はイランの協力によるところが大きかった。

イラン政府が武器支援を通じてシーア派武装勢力をコントロールし、イラクの有力政治家に対し影響力を持っていることは、イランがイラク安定の鍵を握っていることを意味する。

イラクの次期首相選挙は5月12日に予定されている。ちょうど米政府が制裁を再開し得るタイミングに、イランは、イラクに駐在する脆弱な米軍部隊や外交官を脅かすことなどを含めたカードを手にしていることになる。

西欧諸国や中国、ロシアの外交トップが、もしポンペオ氏を通じてトランプ氏の耳に彼らの声を届けることができるなら、イラン制裁停止措置を延長するよう説得し、「軟着陸」に向けた交渉の時間を稼ぐだろう。国際企業が米国市場を失う恐れなくイランと取引できるよう、米国制裁の再開を遅らせるのだ。

北朝鮮についてのポンペオ氏の最新の発言は、この問題でトランプ大統領と完全に歩調を合わせていることを示している。

「われわれは、過去のどの政権よりも多くの譲歩を引き出した。彼らに(米国攻撃を可能にする)一線を越えさせるような、核兵器やミサイルプログラムの実験停止だ」と、ポンペオ氏はティラーソン氏解任前に米CBSテレビの番組で語った。

ポンペオ氏の国務長官指名は、米朝首脳会談の準備をさせるため、このタイミングで行われたようだ。トランプ大統領が「北朝鮮向けに強いチームを準備したい」として、同氏を指名したとの報道もある。

トランプ氏は北朝鮮との間で、皮肉なことにオバマ氏がイランと結んだものに似た取引を目指すとみられる。制裁を緩和し、見返りに非核化を進展させるのだ。制裁を抑制し、査察プロトコールを定め、多国を巻き込んだ極めて専門性の高いイラン核合意は、北朝鮮との間で交わされうるもののひな形にすらなるかもしれない。

ポンペオ氏は、これを後押しできる立場にいる。

彼がCIAで最初に行ったのは、政権による制裁強化に必要な情報を提供するため、北朝鮮の情報収集を強化することだった。ポンペオ氏は、大統領が望む制裁効果に合わせて、どの制裁を調整すべきか助言できるだろう。また、自分を弱腰にみせかねないと大統領に疑われていた国務省の他のスタッフと異なり、ポンペオ氏は信頼されている。

ポンペオ氏はまた、これまで何度かその存在が示唆されていた対北朝鮮の秘密サイバー作戦の指揮を執ってきた。この作戦は戦略的に強化したり緩和したりすることが可能だ。

国務長官としてのポンペオ氏は、重要な政策の交差点に立つことになる。彼は、トランプ氏の世界観を真剣に信じており、また米政界において安定した影響力を保つ人物でもある。

だが、核危機を阻止できるかは、彼がトランプ大統領のビジョンとそれ以外の世界を繋ぐ「かすがい」となれるか、はたまた、ホワイトハウスの混乱ぶりを増長させる扇動者となるのかで決まるだろう。

*筆者は勤務歴24年の元国務省職員。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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