for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

市場見通し:年内のリスクオンは限定的、「財政の崖」懸念も

[東京 27日 ロイター] 実質下期入りした金融マーケットだが、年内は景気減速懸念や欧米の財政問題からリスクオンの動きは限定的との見方が多い。

9月27日、実質下期入りした金融マーケットだが、年内は景気減速懸念や欧米の財政問題からリスクオンの動きは限定的との見方が多い。写真は20日、都内で撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

来年以降は循環的な景気回復を期待する向きがあるものの、減税措置の失効と自動的な歳出削減が重なる米国の「財政の崖」問題について、大統領選を経て解決に向かうとの見方はコンセンサスではなく、長引く懸念も出ている。追加緩和期待などで市場心理は下支えられたとしても、欧州問題や中国問題にめどがつかない以上は、株式や金利、ドル/円の上値は重いという。

株式、為替、金利の専門家の見方は以下の通り。

<株式>

●世界的な在庫調整の一巡待ち、来年春先に向け株高へ

<りそな銀行アセットマネジメント部チーフストラテジスト 下出衛氏>

日経平均の下期予想レンジ:8500―9500円

各国の金融政策により株式市場は落ち着いているが、これは時間を買ったということであり、あとは世界景気が再加速するかどうかにかかっている。現在の製造業は小幅な在庫調整の段階にある。携帯端末の意図した在庫や米自動車在庫などが積み上がっているためだが、年末から来年初めにかけて世界的な調整一巡を見込んでいる。すでに米住宅市場が回復の兆しをみせているほか、欧州の金融も落ち着いている。下期の日経平均はコアレンジで8500―9500円を想定している。来年春先に向けて上昇するイメージを持っている。リスク要因は米国の「財政の崖」と日中関係の悪化がエスカレートすることだ。

●世界的に年内は調整、出遅れ日本株は底堅い

<大和住銀投信投資顧問 経済調査部長 門司総一郎氏>

日経平均の下期予想レンジ:8400円─1万0500円

世界の株式市場は10─12月は調整、1─3月から上昇するとみており、日本株も同様の動きを見込んでいる。ただし、日本株は欧米株式市場と比べ出遅れているうえ、今後の中国経済の持ち直しから、年内は頭が重いながらも相対的に底堅いとみている。リスク要因は日中関係や政局。世界的な株価抑制要因は、スペイン、ギリシャなどの欧州債務問題や、米国の「財政の崖」問題。11月ごろまでは中国景気への懸念が日本株の足を引っ張る可能性もある。日経平均はレンジでは1万円を超える場面もあろうが、2013年3月末は9400円を予想している。

●景気警戒で目先下振れ余地、年末年始は持ち直しへ

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

日経平均の下期予想レンジ:8500円─1万円

目先1─2カ月は下振れの可能性が高い。足元で懸念されている米中景気の改善が見込まれないためだ。国内企業の第2四半期決算も業績悪化が示される可能性が高く、株価の下押し要因となる。ただ、年末から年明けにかけては持ち直し機運が高まるのではないか。米国では大統領選挙が通過し、「財政の崖」問題に対する政策が期待されるほか、日銀や欧州中央銀行(ECB)による一段の追加緩和の可能性もある。海外景気が回復しない限り、円高警戒感がくすぶるため、輸出株や景気敏感株などへの物色は想定しづらいが、不動産など緩和の恩恵を受けやすい銘柄や、景気動向に左右されにくいニッチ市場に強みを持つ中小型株などが狙い目と見ている。

<為替>

●年末にかけユーロ/円堅調も、1―3月は円高リスク

<シティバンク銀行 個人金融部門 シニアFXマーケットアナリスト 尾河真樹氏>

下期の予想レンジ:ドル/円 75―81円、ユーロ/円 95―105円

米国で量的緩和第3弾(QE3)が打ち出されたことでドルインデックス・ベースでみればドル安圧力が掛かりやすいが、日銀など各国の中銀が緩和を拡大しており、どちらかと言えばリスクオンになりやすい環境と言える。リスク資産が堅調に推移しやすい環境は年末ぐらいまでは続き、ユーロ/円などクロス円は堅調に推移するだろう。一方で、ドル安・円安という流れのなかドル/円は現状の水準あたりでこう着するのではないか。

ただし、問題は来年以降で、不透明要因が多い。米国では「財政の崖」問題が来年1―3月期から反映されてくるような形になるだろうし、中国景気についても、来年は各国の緩和がインフレの要素になることで中国当局はどんどん緩和できず、成長にはややブレーキがかかりそうだ。一方、欧州でもギリシャのユーロ離脱懸念はまだ残っており、来年は市場が混乱をきたす可能性がある。来年1―3月期にはまたリスクオフに傾く可能性が十分にあり、注意しなくてはならない。クロス円が全般的に下がることで、ドル/円でも下方圧力が若干強まる可能性がある。

●「財政の崖」の悪化次第でドル一段安も

<JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長 佐々木 融氏>

下期の予想レンジ:ドル/円75―82円、ユーロ/ドル1.20―1.38ドル

2012年度下期に最も注目されるのは米国で「財政の崖」に伴う不透明感がどの程度悪化するかだろう。「財政の崖」を半年程度先延ばしするなど、なんらかの回避、先送り措置が講じられなければ、新たな景気後退を招くことになり、量的緩和第3弾のパート2や量的緩和第4弾の実施が現実味を帯びてくる。量的緩和は株価の上昇とドル安のインプリケーションがある。ただし、対円でのドル安はあくまでも緩やかなペースで進行すると予想している。

一方、スペインは新たな支援を求める用意があるとの考えを示しているが、格下げリスクもあり、ギリシャ情勢も依然不透明だ。欧州情勢が今後しばらくの間安定性を保てるのか否かが為替市場にとって重要なポイントとなるだろう。

●「財政の崖」でドル円下振れリスク、来年底入れへ

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア為替・債券ストラテジスト 植野大作氏>

下期の予想レンジ:ドル/円75―85円、ユーロ/円92―105円

ドル/円は、大統領選挙の結果次第の側面はあるが、年内から年明けくらいまでは「財政の崖」をめぐる不透明感から、下振れリスクが残る状況が続くだろう。「財政の崖」が部分的にでも解消されない限りは、景気後退懸念を払しょくするのは難しい。このまま放置しておけば、過去最安値圏まで下落するリスクが残っている。もっともその場合には、政府・日銀が介入に踏み切る可能性が高いほか、貿易赤字に転落後は下がると輸入企業の買いも意識されやすい。また来年1─3月のどこかでは「財政の崖」も解消される可能性があり、その時は米金利もドルも底入れとなるだろう。

ユーロについては、目先は10月に欧州安定メカニズム(ESM)が発足し、スペインが金融支援要請、欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れが始まれば、ショートの巻き戻しが入る局面がありそうだ。もっとも、年末から年明け以降をみると、買い戻し一巡後はファンダメンタルズ重視となり、再び下がっていく可能性が高い。新たな国債買い入れプログラム(OMT)の条件は緊縮財政であり、欧州景気は日米欧の3極でみたときに一番見劣りする状況に陥りやすい。追加緩和期待も浮上しやすく、再び下がっていくリスクが大きい。

<金利>

●長期金利、米景気悲観修正で上昇も

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

長期金利の下期予想レンジ:0.7%─1.1%

10月から12月は、米景気への悲観的な見方の修正などから一時的な金利上昇の圧力がかかるのではないか。米連邦準備理事会(FRB)が前のめり気味に追加の金融緩和に踏み切っており、株価は持ち直しやすい。欧州での政策対応の実現や、中国の財政拡大が加われば小幅な金利上昇が見込める。解散・総選挙の時期によるが、自民党の安倍晋三新総裁は将来的な円金利のスティープ化につながりそうだ。決戦投票で幅広い派閥の支持を集めたことを踏まえれば、積極財政論者の声にも耳を傾ける可能性がある。執行部人事と次期衆院選公約に注目したい。

●政策リスクファクターが大きくなることも

<バークレイズ証券 チーフストラテジスト 森田長太郎氏>

長期金利の下期予想レンジ:0.7─1.0%。

ファンダメンタルズ、金融政策の視点から見ると、下半期は円債の動くレンジが狭くなる可能性がある。上半期は、欧州問題などで中国経済が予想以上に弱く、回復が後ズレすることがあったが、このような大きな変化は下半期に関しては出難いのではないか。公共投資などで良い指標も若干出てくる可能性がある。上半期に起きた経済的な変化を前提に考えると、下半期の経済のボラティリティが多少落ちてくるとは思う。

中国経済が本当に底を付けるのか、政策にかかわる部分があるとみている。また、漠然と認識されている米国の「財政の崖」については、実際にどのような成長軌道に来年向かうのか、市場は織り込み切れていない現状がある。政策リスクのファクターが大きくなりそうだ。

ベースシナリオに対して突発的なリスクとして政策面を想定している。中国や米国の経済政策、国内の政治ファクター、地政学リスクがそうで、足元では方向付けが難しい面がある。

下半期の円債の長期金利の軌道は横ばいで一定のレンジで動くことを想定している。

●景気に下方圧力、財政リスクを相殺

<みずほ証券・チーフ債券ストラテジスト 三浦哲也氏>

長期金利の下期予想レンジ:0.75─0.95%

もっとも注目するのは景気の方向性だ。海外景気減速懸念に加えて、エコカー補助金制度の終了などの政策効果はく落で、国内の景気先行きに不透明感が強い。日中関係の緊迫化による悪影響も避けられず、日本の成長率に低下圧力がかかりやすい。景気後退局面に入る可能性さえ否定できない。国内の財政リスクプレミアムを相殺できるほど、景気に下方圧力がかかるとみている。

日銀が9月の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切ったにもかかわらず、円高圧力が残っている。日銀短観や展望リポートの内容を踏まえた上で、さらなる緩和の議論が出ても不思議ではない。日銀の緩和姿勢は円債に追い風だ。

米国では11月の米大統領選が実施され、その後に懸案の「財政の崖」問題への対応が行われる見通し。財政が今年よりも拡張気味に運営される可能性は低く、むしろ景気の循環的な回復期待の足を引っ張るリスクがある。

(ロイターニュース 金融マーケットチーム;編集 伊賀大記)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up