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焦点:貿易赤字拡大でGDP大幅マイナス成長も、反日が多方面に波及

[東京 22日 ロイター] 外需の低迷が一段と強まっている。9月貿易統計は過去最大の赤字を記録し、7─9月の日本経済はマイナス3%成長に陥る観測も浮上している。

10月22日、9月貿易統計は過去最大の赤字を記録し、7─9月の日本経済はマイナス3%成長に陥る観測も浮上している。中国の反日不買運動が長期化すれば、企業収益への打撃など様々な影響を及ぼす恐れがある。写真は9月、上海での反日デモ(2012年 ロイター/Carlos Barria)

中でも日中関係の冷え込みによる輸出への影響は10月以降本格的に出てくるとみられ、反日不買運動が長期化すれば、10─12月は輸出の停滞だけにとどまらず、生産への波及、企業収益への打撃、設備投資の停滞など、様々な影響を及ぼす恐れがある。日本経済は景気後退の瀬戸際に立っているとの見方が専門家の間で広がっており、追加緩和の是非を議論する30日の日銀決定会合にも影響する可能性がある。

<外需悪化で大幅マイナス成長に>

「大幅なマイナス成長は避けられそうにない」──22日午前に発表された9月貿易統計を受け、エコノミストの間で7─9月国内総生産(GDP)への悲観的な見方が浮上している。

9月の貿易赤字幅は同月として1979年の統計開始以来、過去最大を記録。輸出は17カ月ぶりの大幅減となった。外需の悪化は、燃料など輸入が再び増加に転じたこと、世界経済の減速がアジア新興国にも波及し、輸出減少幅を拡大させていることが相まっている。特に輸出は米国向け、欧州向け、アジア向けともに悪化したことが落ち込みを大きくさせ、輸入の増加を相殺しきれていない。

このため7─9月の外需が大幅なマイナス寄与になることは確実だ。消費や設備投資も減少が予想されているため、ニッセイ基礎研究所では成長率は年率2%を超えるマイナスに、第一生命経済研究所では3%程度のマイナスを予想している。

この先も厳しい展開を予想する声が多い。エコカー補助金終了に伴う自動車減産が一層拡大し、日中問題の悪化という新たな下ぶれ要因が加わり、10─12月も広範囲に生産活動が停滞する可能性がある。BNPパリバ証券は「対中関係悪化が日本経済にとって最後の一撃となる恐れがある」と指摘。「事態が年明けまで長引けば、輸出を中心に悪影響はさらに広がり、景気後退は避けられないだろう」とみている。

<日中問題の波及、多方面に>

対中関係悪化による実体経済全体への影響を確認するには今後の統計を待つ必要があるが、すでに企業マインドを大幅に悪化させたことが、22日午前に発表した10月ロイター短観で明らかになった。製造業の景況感は2010年1月以来の大幅な落ち込みとなった。先月まで緩やかな悪化が続いていたが、10月は尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題が受注や販売に影響しているとの声が目立ち、マインドの急激な悪化を招いている。

特に現地で不買運動の標的となっている自動車産業の影響は大きい。中国の9月自動車販売は、ドイツ、韓国、米国メーカーいずれも前年比2ケタ前後伸びている中で、日本車は4割減少した。これは日本からの自動車輸出だけでなく、「部材や機械輸出の減少に直結する可能性」(クレディ・スイス証券)がある。たとえば9月は自動車関連とみられる原動機や部品の輸出、機械や電子部品の輸出も減少している。

ただ、日中関係悪化による対中輸出の減少が日本経済全体に与える影響は「それだけみれば、そう大きくない」(アジア開発銀行研究所・河合正弘所長)との見方もある。GDPに占める対中輸出比率は3%程度にとどまる。韓国の13%、マレーシアの8%など、他のアジア諸国の中国依存度と比較すると低い。対中輸出が2割減少したとしても、GDP全体では0.6%程度の影響だ。9月の中国向け輸出は前年比14.1%減と大幅に減少したが、月半ばに先鋭化した反日デモや不買運動の影響は半月分だけだ。通関までの時間差などもあるため、貿易統計に本格的に影響するのは10月統計からになるため、落ち込み幅がどの程度広がるのか見極めが必要だ。

<決定会合の材料に>

しかし輸出だけでなく、国内外の生産、投資への波及効果も合わせれば、影響は広がることが予想される。鉱工業生産の予測指数は9月に前月比2.9%の低下、10月は横ばいと予想されているが、輸出の減少で一段の下押しもあり得る。さらに製造業の海外売上の23%を占める中国売上の減少は「現地子会社の収益悪化なども通じて企業業績に悪影響を及ぼし、それが投資や採用を減退させる」(BNPパリバ証券)という悪循環も予想される。

日銀が30日に開く金融政策決定会合でも、議論の材料にされる可能性がある。日銀は中国経済減速などで日本経済がさらに下振れし、目標とする物価上昇率1%の達成が遠のく公算が大きいとみており、同日の会合で追加緩和の是非を議論する見通しだ。今回の貿易統計を踏まえ、輸出の減少が生産のさらなる下振れを通じて、企業の設備投資や内需にも下押しが強まるとみれば、追加緩和が必要との判断に傾く可能性がある。

(ロイターニュース 中川泉;編集 久保信博)

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