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ロイター企業調査:賃上げ予定企業3割、ベア実施方針は2割未満

[東京 21日 ロイター] -4月からの消費税率引き上げのもとで、賃上げを実施する方針の企業は半年前より増えつつある。しかし企業数でみればいまだ3割程度にとどまっていることが、2月ロイター企業調査で明らかになった。全体的な企業業績の改善が、必ずしも個別企業の賃上げに幅広く波及しているわけではないことが浮き彫りとなった。

2月21日、4月からの消費税率引き上げのもとで賃上げを実施する方針の企業は半年前より増えつつあるが、企業数でみればいまだ3割程度にとどまっていることが、2月ロイター企業調査で明らかになった。昨年12月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

また賃上げの方針として、一時金のみならずベアを検討している企業は2割以下にとどまり、半年前の調査と比べても減少、固定費の増加に強い抵抗感がうかがえる。

増税を含む1年後の物価上昇予想は、「2%程度」」が最も多く3割、「3%以上」の上昇見通しを合わせると7割にのぼり、こうした企業の見通しや行動が現実化すれば、物価上昇は勤労者の懐を直撃することになりそうだ。

この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業に実施、今回の調査期間は2月3日─2月17日。回答社数は400社ベースで250社程度。

<賃上げ検討企業は倍増も30%どまり、雇用者数ではさらに少なく>

ボーナスなど一時金も含めた賃金の引き上げを検討している企業は、半年前の昨年9月調査では13%に過ぎなかったが、今回は倍以上に増え回答企業全体の30%となった。引き上げ率では「1─2%程度」の方針の企業が19%、続いて「3%程度」との企業も9%となった。

一方で、賃金は「現状維持」との回答は9月調査から減ったとはいえ、36%を占めたほか、「引き下げ」との回答も1%、合計で37%は賃金引き上げは行わない方針。「賃上げ」方針企業の割合を上回っている。「わからない」との回答も34%となった。

企業業績自体は、13年度経常利益が企業全体で前年比17%程度の増益見通し(日銀12月短観ベース)にあるものの、賃上げにまで波及する企業の裾野はさほど広くなさそうだ。さらに、賃上げの恩恵を受けるのは正社員に限られることを考慮すると、4割程度を占める非正規社員など雇用者数全体への広がりは、さらに狭い範囲にとどまることになる。

<景気振幅大きく、固定費増加回避の姿勢強まる>

正規社員への賃上げの形態をみても、基本給の増加となるベースアップに踏み切る企業は少ない。

賃上げは「ボーナスなど一時金で対応する」との企業が全体の66%と半数を上回り、前回9月調査の60%に比べてもむしろ増えている。他方で、「なるべくベアで対応する」という企業はわずか6%、「消費増税部分はベア引き上げ、それ以外はボーナスなどで対応」する企業は12%と、9月調査からさほど広がりを見せていない。

ベア実施を渋る企業のほとんどは、「経常的な固定費上昇には、慎重にならざるを得ない」(化学)としている。「円安という外的要因による業績向上には、一時金で対応する。労働生産性向上による場合は賃上げも可能」(電機)との考え方があるとみられ、多くの企業で生産性向上が課題となっているともいえそうだ。

「業績の先行き見通しが不透明だから」(建設業)、「消費増税による駆け込み需要の反動が予想されるなかで、14年度の損益を踏まえて対応したい」(機械)など、業績の振れを理由にベア実施ができないとする企業も多く、持続的な業績拡大に自信が持てる外部環境がない限り、ベアの実施は行われない可能性が色濃い。

<増税含む物価上昇は3%以上の見通しも、賃上げ追いつかず>

消費増税分を含んだ1年後の消費者物価見通しを企業に聞いたところ、「2%程度」が33%、「3%程度」が25%となった。足元の消費者物価が1%を越える上昇率となっていることに加えて、消費増税による3%分のうち一部が物価に反映されるとみている。「4%以上」との回答も11%を占めた。

もっとも、賃上げ実施企業の割合がさほど多くないことから、物価上昇が2─3%となった場合でも、所得の増加分はそれに追いつかない家計がほとんどとなる可能性は高い。実質所得の目減りの影響がどこまで景気に影響するのか、株価の上昇などによる資産効果がどの程度カバーするのか、予断を許さない状況になりそうだ。

<目指すべき原発比率15%程度が最多、今は再稼動やむなし>

安倍政権は「エネルギー基本計画」の決定を遅らせているが、東京都知事選挙で原発即ゼロを掲げた候補者が敗北したこともあり、「原発も重要なベース電源」との位置づけを明確にする動きが予想されている。

ロイターでは2012年8月に、今後20年での実現可能性を踏まえた上での目指すべき原発比率の方向性について企業に調査を行い、今回も同じ形式で質問したところ、「15%程度」が39%を占め最多で、前回調査と全く同じ結果となった。次いで「20─25%」が24%を占めた。

そうした企業からも「究極はゼロを目指さざるを得ない」(鉄鋼)、「最終的にはゼロ%とすべき」(電機)との声が出ている。ただ代替エネルギー確保に20年以上は時間がかかるとの見方から、ある程度の原発稼動はやむなしとの考えが浮き彫りとなっている。

「原発比率を落とすにしても廃棄に伴う技術開発は必要、即ゼロ%を目指すべきではない」(輸送用機器)、「代替エネルギー確保もできないうちから、単に化石燃料に頼った原発停止では、環境破壊、国際収支など問題が多すぎる」(石油)など、現実を見据えた意見が目立つ。

中川泉 編集:石田仁志

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