November 18, 2018 / 12:12 AM / a month ago

アングル:石油大国ベネズエラ、ガソリン不足が深刻化

[バレンシア/カラカス 13日 ロイター] - ベネズエラでは生活必需品の不足が慢性化しているため、ベロニカ・ペレスさん(54)は食料を求めて、愛車のシボレー・アベオでスーパーマーケットをはしごしたものだった。

 11月13日、世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラで、豊富にあるはずのガソリンが不足している。写真はサービスが停止された給油機。カラカスで2日撮影(2018年 ロイター/Marco Bello)

だが、エンジニアのペレスさんはこの習慣をやめた。世界最大の石油埋蔵量を誇るこの国で、豊富にあるはずのガソリンが不足しているためだ。

「必要最低限のことしかできない」と、工業都市バレンシアに住むペレスさんは言う。わずか32キロしか離れていないカリブ海の海岸に行くのもやめた。

これまでベネズエラの国境地帯にあるガソリンスタンドには、長蛇の列ができていた。近隣諸国に燃料を密輸するのが日常茶飯事だったからだ。国営石油会社PDVSAによる寛大な補助金のおかげで、国民はチーズ1キロの価格でガソリンタンクを2万回満タンにすることが可能だった。

だが10月後半から11月初めにかけ、バレンシアのような人口の多い中部の都市や首都カラカスは、異例のガソリン不足に相次ぎ直面した。社会主義国家ベネズエラがリセッション(景気後退)に突入して5年、産油量は大幅に減り、製油所の稼動も大きく落ち込んでいる。

<2桁のマイナス成長>

ベネズエラは昨年、日量200万バレル(bpd)以上の原油を生産したが、今年9月は140万bpdにまで落ち込んだ。同国が石油輸出国機構(OPEC)に提出した報告書によると、今年の平均産油量は153万bpdで、約70年ぶりの低水準にある。

製油所や中継基地、港からガソリンスタンドまでの供給網に問題があることも、燃料不足に拍車をかけている。

ロイターはPDVSAにコメントを求めたが、応じなかった。ベネズエラ政府の石油省と通信情報省からも回答はなかった。

異例とも言える長期の燃料不足を経て、カラカスとバレンシアでは通常に近い供給レベルに回復したものの、ベネズエラ国民は生活習慣の変更を余儀なくされた。

今年2桁のマイナス成長に直面している経済にも影響を与えかねない。食料や医薬品の不足、停電やハイパーインフレを強いられてきたベネズエラ国民は、すでに不人気のマドゥロ大統領に対する不満をさらに募らせる可能性がある。

「新たな頭痛の種は、ガソリン切れを心配しなくてはならないことだ」と、バレンシアで英語教師をしているエレナ・ブスタマンテさん(34)は言う。「私の生活を大きく変えてしまった」

<製油所の稼働率は3割>

マドゥロ氏が2013年に大統領に就任して以降、ベネズエラ経済は半分以上縮小した。原油価格が崩れ、輸出の9割超を占める石油の売り上げが減少したのが主な原因だ。

国連によると、ベネズエラではこれまでに人口の約1割に当たる300万人が国外に移住した。その大半が過去3年以内に国を離れている。

リセッションでベネズエラ国内の燃料需要は急速に落ち込んだが、崩壊寸前の石油産業は十分な量のガソリンを供給するのに苦戦している。

10月の燃料需要は、10年前の半分の32万5000bpdに減少すると予想されていた。しかし、PDVSAはわずか27万bpdしか供給できない見通しだったことが、ロイターが確認した同社の計画文書で明らかになった。

マドゥロ大統領が改革の一環として8月に約束したガソリン価格引き上げが実施されれば、需要は一段と減少する可能性がある。

ベネズエラの産油量減少は、長年の過少投資に根本的な原因がある。米国による制裁が資金調達を困難にさせた。

製油業界は130万bpdの生産能力があるが、大きな打撃を受けている。稼働しているのはわずか3分の1だと、専門家や労働組合の関係者は指摘する。

ベネズエラ最大の製油所アムアイは、64万5000bpdの生産能力があるにもかかわらず、わずか7万bpdのガソリンしか生産していないと、労組トップのイワン・フレイテス氏や、PDVSA関係者は明らかにした。

<米国からの輸入急増>

PDVSAの内部資料によると、同社は国内で必要とされるガソリンの約半分を輸入することでこれを補おうとした。

米エネルギー情報局(EIA)のデータは、ベネズエラが今年1月から8月までの間、月平均12万5000bpdを米国から輸入していたことを示している。前年同期に比べて76%の増加だ。

一方、ベネズエラの港湾は輸出向けに造られているため、輸入した燃料の荷卸作業に手間取ることも、ガソリン不足の一因であることが、取引業者や輸送業者、PDVSA関係者への取材、さらに情報会社リフィニティブのデータから明らかになった。

輸入したエタノール混合ガソリンに多くの水が混じっていたため、PDVSAは中継基地からその製品を引き上げるはめになり、それがカラカスのガソリン不足の直接的な原因となったと、関係筋は話す。

米国による制裁のせいで多くの企業がベネズエラとの取引を敬遠し、PDVSAが「信頼できないサプライヤー」から燃料を買い求めている結果だと、同関係筋は言う。

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バレンシアで広報の仕事に携わるアンドレス・メリダさん(29)は先週、ガソリン不足のせいで顧客との会合に出られなかった。

「以前は車に乗せてくれる人がいたが、ガソリン不足のせいで、お金を払うと言ってももう乗せてはくれなかった」とメリダさんは話す。「ガソリンは自分のためにとっておく、と言われた」

(翻訳:伊藤典子 編集:久保信博)

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