January 4, 2016 / 3:50 AM / 3 years ago

視点:慰安婦問題合意は安倍外交の大成果=フランケル氏

一方、経済政策については、消費税率を一度に引き上げるのではなく、毎年小刻みに20年にわたって引き上げていくプランが賢明だと説く。

同氏の見解は以下の通り。

<景気回復まで大幅な消費税増税は避けるべき>

日本経済の諸問題を解決するためには、アベノミクスの「3本の矢」すべてが必要である。

金融政策の矢はうまく放たれた。しかし、財政政策の大きな矢は間違った方向を狙ってしまった。一方、構造改革の矢はほとんど矢筒から取り出されていないのが実情だ。

2013年4月の日銀による量的質的金融緩和(QQE)導入を受けて、金融市場では株高・円安という狙い通りの2つの効果がすぐに表れた。いずれも国内需要を刺激する方向で効果を発揮したが、国内総生産(GDP)の押し上げ効果という意味では結局、短命だった。

成長が2014年4月を契機に弱まったのは、5%から8%への消費税増税が原因だったというのが最も納得できる説明だろう。日本の公的債務状況が長期にわたって持続不可能であることは事実だが、消費税率を一度にさらに大きく引き上げることは、経済が回復するまでは賢明ではないと思われる。

より良い方法は、消費税率の小刻みな引き上げを20年間にわたって毎年行うことだ。それによって、長期的な財政持続性そして投資家のコンフィデンスも保たれるだろう(つまり実質金利を低く維持できる)。また、インフレ率と成長に関する期待をプラス方向に維持することにも役立つはずだ。

<慰安婦問題に続き、他の歴史問題も解決を>

歴史問題を乗り越えていくことは、外交的な理由からも(例えば日本が国際連合安全保障理事会の常任理事国の席を欲しているならば)、また経済的な理由からも(他のアジア諸国との軋轢はビジネスにとって深刻な障害となっていることからも)重要だ。

しかし、日本が歴史問題を乗り越えていくためには、本来は避けて通りたいであろう複数の不快な歴史的現実に向き合わなければならない。

もちろん、他の国々の歴史にも、暗い過去はある。しかし、その暗い過去を認めるという点においては、日本よりも覚悟があると思う。

米国や欧州諸国は過去数世紀において、先住民を征服し、奴隷化し、高い死亡率を招くという罪を犯した。今日、その歴史の一部を弁護しようとする人はいないと思う。

もしドイツが第2次世界大戦中に犯した歴史的な罪をきちんと謝罪していなければ、欧州の経済的・政治的なリーダーとはなり得なかっただろう。

個人的な見解を述べれば、日本は平和憲法に再度コミットすべきだ。加えて、20世紀初頭に多大な犠牲を払ったアジアの近隣諸国に対して、今後は不必要に挑発的な行動を取ることはないと決断すべきだ。

その意味で、2015年12月末に日本と韓国との間で結ばれた慰安婦問題に関する合意は、こうした歴史問題に取り組むうえで、非常に重要な1歩である。安倍晋三首相は(この決断について)称賛されるべきだ。もしも日本が他の歴史問題についても同じ方法で取り組むことができれば、北東アジアの調和的関係と有益な経済統合に向けた障害を効果的に取り除くことができるはずである。

(編集:麻生祐司)

*ジェフリー・フランケル氏は、ハーバード大学ケネディスクール教授(資本形成と経済成長)。ニューヨーク連銀経済諮問委員。全米経済研究所(NBER)で景気循環日付決定委員会委員及び国際金融とマクロ経済学プログラムのディレクター。1996から99年まで、クリントン政権下で大統領経済諮問委員会(CEA)委員。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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