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コラム

コラム:独VWがついにEV戦略で好発進、株価一段高への道も

[ロンドン 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)がついにエンジンを吹かし始めた。同社は16日、コロナ禍で傷ついた収益性をてこ入れするため、電気自動車(EV)の納車台数を今年倍増する計画を公表。これを好感して株価は7%近く上昇した。ディース最高経営責任者(CEO)が株式バリュエーションの向上に注力するなら、株価には一段の上昇余地がある。

 3月16日、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)がついにエンジンを吹かし始めた。写真はVWのロゴ。パリで2020年7月撮影(2021年 ロイター/Christian Hartmann)

VW株は年初から約33%上昇し、STOXX600自動車株指数の16%高をしのいでいる。株高の主な要因は、VWにとって最大の市場である中国の経済がコロナ禍から速やかに回復したことと、同社の画期的なEV戦略にある。電池車とハイブリッド車を合わせた販売台数は昨年、前年比で約3倍の42万2000台に急増した。

ディース氏は今年、これをさらに100万台まで伸ばすとともに、急拡大するすべての自社EV向けに新たなソフトウエアも投入する意向だ。この事業を後押しするための資金調達法としては、傘下スポーツカー・ブランド「ポルシェ」の一部上場が考えられる。最終的に電池車部門を丸ごとスピンオフ(分離)すれば、さらに多額の資金を確保できるかもしれない。

UBSの推計では、VWの2025年までのEV販売台数は、自社目標の300万台には届かないが257万台にはなりそうだ。1台当たりの平均価格を3万9000ユーロ、利益率を5%と想定すると、営業利益は50億ユーロを超える可能性がある。この計算に用いた想定価格は同社の廉価版EV「ID.3」の基本価格で、想定利益率はUBSが推計するVWの内燃エンジン車ゴルフの利益率並みとした。

営業利益見通しに20倍の株価収益率(PER)を適用すると、EV部門の事業価値は1000億ユーロとなる可能性がある。この倍率は、EV事業の急成長を「適切に」反映するとアナリストが考える水準だ。米EV大手テスラのPERが115倍まで膨張してこととは、訳が違う。

これに、Breakingviewsが推計するソフトウエア部門の潜在価値1860億ユーロを足すと、2部門合わせた価値はVWの現在の株式時価総額から2倍以上に増えるかもしれない。これは予見可能な将来、VWの売上高の多くを占め続けるであろう旧来型の内燃機関搭載車を除外した数字だ。

確かに、これらの部門を実際に別法人化することは夢物語かもしれない。これまでもポルシェ、ピエヒ両一族や強大な労働組合の影響力によって、同じく過小評価されている高級車ブランド、ランボルギーニなどの売却が阻まれてきた経緯がある。しかしディースCEOがこうした案を示唆し、投資家を潜在的な事業価値に注目させるのは自由だ。たとえ同氏が実行には移さないとしても。

●背景となるニュース

*VWは16日、コスト削減によって数年中に利益率を上昇させられるとの自信を示した。数日前には野心的なEV事業拡大計画を示したばかり。

*ディースCEOは発表文で「危機に見舞われた2020年にわれわれの業績が良好だったことは事業変革の加速に勢いをつけるだろう」と述べた。同社は今年、EVの納車台数を2倍以上の100万台にする見通しを示した。昨年は電池車の販売が3倍以上に増えた。

*VWは15日、欧州で6つのEV向け電池工場を建設し、世界中でEV充電インフラを拡大する計画を発表した。

*VWは21年以降の数年間で営業利益率7―8%を目指すと発表した。今年については、5―6.5%の目標レンジの上限に達するとの見通しを確認した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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