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コラム

コラム:ランボルギーニ売却問題、試されるVW電動化の本気度

[ロンドン 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ自動車大手・フォルクスワーゲン(VW)に、傘下のスポーツカーブランド「ランボルギーニ」の買収話が突然持ちかけられた。これはVWが打ち出した電動化戦略の「本気度」を証明する絶好の機会になる。

5月27日、ドイツ自動車大手・フォルクスワーゲン(VW)に、傘下のスポーツカーブランド「ランボルギーニ」の買収話が突然持ちかけられた。写真はVWのロゴ。ブリュッセルで2020年7月撮影(2021年 ロイター/Francois Lenoir)

今のところディース最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨トレーダーやアラブの青年首長らが愛する派手なブランド、ランボルギーニをグループにとどめたい考えを示唆している。しかし、耳をつんざくようなエンジン音を響かせ、ガソリンをガブ飲みするこのスポーツカーブランドを手放すのは、VWがクリーンエネルギー車の雄になるという目標に専念するための賢い方法と言える。  

ランボルギーニ買収を提案したのは、ロンドンに拠点を置くセントリカス・アセット・マネジメントと、スイス投資会社のクアンタム・グループだ。クアンタムの創業パートナーは、VW会長時代にランボルギーニを取得したフェルディナント・ピエヒ氏の息子とつながりがある。

そのクアンタムとセントリカスは75億ユーロでランボルギーニを買いたいと持ちかけ、買収によってランボルギーニはクリーンエネルギーと技術革新の両面で「最先端企業」になれると主張している。

もっともランボルギーニはガソリンエンジンのごう音を特徴とし、一部車種は燃費が1ガロン当たり10マイルにも届かない。それを環境面で持続可能な自動車の見本に転換するというのは、現実離れした話にも聞こえる。

買収提案のタイミングも奇妙だ。ディース氏は昨年ランボルギーニについて、高級二輪車ブランドのドゥカディとともにグループ内に残すと明言している。

さらに提示額は「出し惜しみ」のように見える。ランボルギーニは財務諸表を開示していないものの、UBSの推計に基づけば75億ユーロという金額は営業利益のおよそ21倍で、同じスポーツカーブランドであるイタリアのフェラーリが営業利益の33倍と評価されている点からすると、企業価値が相当割り引かれている。

それでもVWは、ランボルギーニをグループから切り離すべき十分な理由がある。2019年のランボルギーニの販売台数は9000台弱で、グループ全体に占める比率は極めて小さい。ランボルギーニの推計年間売上高も、このブランドが属するアウディ部門のパンデミック前の売上高全体の4%未満に過ぎない。

一方、ランボルギーニを売却すれば、VWが1998年の取得時に支払ったとされる1億ドル前後に対してかなりのリターンを得られる。見栄えのする資産を手放す上で、市場に緩和マネーがあふれている「ポストコロナ」の今以上に好都合な時期があるとも想像しがたい。

最後に一番大事な問題がある。ランボルギーニは24年までに15億ドルを投じてハイブリッドのスーパーカーを投入する計画だが、これはディース氏が掲げる最優先目標からの「寄り道」であり、しかも高くつく。その目標とは、電気自動車(EV)業界で先頭を走る米テスラのマスクCEOを出し抜き、テスラや他のライバルを超えるEV販売台数を実現することだ。

ディース氏は、4年以内に完全バッテリー型EVの年間販売を最大300万台に拡大する方針を示している。これは大まかにみて昨年実績の13倍に相当する。ディース氏個人としては自宅の車庫にランボルギーニの「V12アヴェンテイダー」を置きたくなるかもしれないが、電動化移行の約束を実際の行動で固め、ランボルギーニを切り離すのは、今が最高のタイミングだ。

●背景となるニュース

*スイス投資会社のクアンタム・グループは、フォルクスワーゲン(VW)傘下のスポーツカーブランド「ランボルギーニ」を買収する提案について、買収によりランボルギーニは技術革新、クリーンエネルギーの両面で「最先端企業」になれると主張した。

*VWは25日、クアンタムが英投資会社セントリカス・アセット・マネジメントと連合して75億ユーロでランボルギーニ買収を持ちかけたとの英自動車誌の報道を受け、ランボルギーニを売却しない意向を表明した。

*ただ、ロイターの26日の報道によると、クアンタムは買収によって「全ての株主に魅力的価値を提供し、VWグループ全体にとっても重要な戦略的メリットになるのは明らかだ」と説明している。

*クアンタム創業パートナーのリー・スターク氏は、VWのピエヒ元会長の息子とともにピエヒ・オートモービルを設立している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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