November 6, 2018 / 7:49 AM / 6 days ago

コラム:トランプ外交政策、米中間選挙でどう変わるか

[5日 ロイター] - 世界がどのように米国の政治的言論を消化するかを、筆者は目の当たりにしてきた。まだ若手のスピーチライターだった頃は、海外では誤解を招きかねない賞賛の表現を上司に削除されて困惑した。

11月5日、世界がどのように米国の政治的言論を消化するかを、筆者は目の当たりにしてきた。写真はインディアナ州フォートウェインで選挙集会に参加するトランプ氏(2018年 ロイター/Carlos Barria)

だが国務省で職を得たときに、それが正しかったことが分かった。 海外の外交官は、われわれが発信するニュースをなめるように点検している。アイオワ州ダビュークで聴衆に受ける一節でも、ドバイではやめておいた方がいいこともあるのだ。

米国の選挙は常に世界の注目の的だが、6日行われる中間選挙ほど人々の目をテレビに釘付けにすることはあまりないだろう。

トランプ大統領就任から2年を経た今回の選挙では、「民主党の波」が起きて、少なくとも米議会の上下院のどちらか一方を同党が奪還するだろう、と一般的には考えられている。米国政界が再構成され、それに伴って地政学的なバランスも再度変わる可能性が高い。

海外でそれは、どのように波及していくのだろうか。答えは、予想を上回るものと下回るものの両方がある。

まず、背景を確認しておこう。トランプ大統領の低支持率は共和党の重石となってきた。とはいえトランプ氏が、中間選挙で「落第」の審判を受ける初の米大統領になるわけでは、まったくない。

実際のところ、米国政治においては、ウォーターゲート事件とニクソン大統領辞任に対する風当たりで共和党が49議席を失った1974年の中間選挙以来、定期的に有権者の不満が、選挙での大波となって押し寄せてきた。

1982年には当時のレーガン大統領に対する民主党の不満が、1994年には同じくクリントン大統領に対する共和党の反発が、そして2010年には草の根保守派運動「ティーパーティー(茶会)」系共和党員のオバマ大統領に対する反感が大波となって出現した。

それでも、レーガン、クリントン、オバマ歴代大統領はいずれも、その後の大統領選で再選を果たしている。

今回は「津波」が下院の共和党支配を突き崩す可能性があるが、上院選は依然、共和党が優勢だ。選挙後も、トランプ大統領には上院というバックネットが存在し続けるため、建て直しを図る時間もある。

しかし、もしトランプ大統領が下院を失えば、世界はワシントンの政治再編をまったく異なる見方で分析するだろう。

オバマ前大統領は、2010年の中間選挙で敗北した直後、アジアに向かった。世界の舞台に立ったオバマ氏の姿は、米国の人々にあることを思い出させた。それは、1994年の中間選後に、クリントン大統領がわざわざ言及したことでもある。それは、米国の大統領は、常に重要だ、ということだ。

新たな政治構図の中で、トランプ大統領はどう動くのだろうか。

トランプ氏には、2つの国際的試練が待ち構えている。

まず11日に、ロシアのプーチン大統領とパリで会談するが、7月にフィンランドのヘルシンキで行われた初会談のような失態は避けなければならない。プーチン氏を賞賛する一方で、米大統領選に対するロシア介入について米情報機関の報告を否定する発言をしたことにより、トランプ大統領は当時各方面から批判を浴びた。

中間選挙後にトランプ氏に求められているものは複雑だ。再びロシアについて「的外れ」だと判断され、重要さを増す一方の共和党支持基盤をこれ以上遠ざけることは許されない。同時に、ロシアへの歩み寄りが成果を挙げていると示す必要もある。

プーチン大統領が、救いの手を差し伸べる可能性もあるかもしれない。シリアやウクライナ、イランを巡るプーチン氏からのいかなる提案についても、それが本物か策略かを見定めるよう、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の肩にはプレッシャーがかかるだろう。

また、ブエノスアイレスで30日予定される20カ国・地域(G20)首脳会議において、トランプ大統領はさらに大きな試練に直面する。それは、中国の習近平国家主席との会談だ。

もし中間選挙で共和党が大きく議席を減らす事態に陥るならば、トランプ大統領は、共和党支持者に痛みをもたらしてきた貿易戦争を緩和するよう圧力を受けるだろう。

しかし、その場合、忍耐強い統制の効いた独裁体制を敷く中国政府は、トランプ大統領が決定的に弱体化したとみなす可能性がある。そんな大統領が開始した貿易戦争の解決を、中国は急ぐだろうか。

中国の方がより外の世界から隔離されているため、「抵抗経済」として機能できる。だが、関税を相互に凍結して交渉を再開することは、両国の相互利益にかなうだろう。

トランプ大統領はまた、北朝鮮問題で中国にさらなる協力を要請する可能性があるが、もし自身の政権が反中的な言動を強めるなら、協力を得るのは難しいだろう。ペンス副大統領が先月4日の演説で行った中国に対する強硬発言は、対中政策を硬化する前触れなのだろうか、それともトランプ大統領は戦略的な協力を進めるのだろうか。

弱体化したトランプ氏は、こうした疑問に答えなければならない。

共和党が力を失えば、トランプ氏の北朝鮮外交戦略も試されることになる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、トランプ大統領が外交では「勝利」により貪欲になると見て取るかもしれない。

トランプ大統領は引き続き、「恋に落ちた」と以前表現した独裁者との個人的な関係を、北朝鮮政策の土台にし続けるのだろうか。それとも、これまで自ら不満を表明することが多かった他の同盟国からの協力を求めるようになるのだろうか。

もちろん、国内と海外の両面で、こうした計算はすべて激化する政治的駆け引きからの影響を受ける。中間選挙の翌日から、民主党では2020年の大統領選で勝てる候補を選ぶ「暗黙の予備選」が始まる。

民主党は2年後の大統領選で、トランプ外交政策に代わる選択肢を明確に示す一方で、グローバル化に取り残されたと感じているトランプ支持者のうち、説得可能な有権者に対して呼びかける努力も続けなければならない。つまり、難しいダンスを踊らなければならないのは、トランプ大統領だけではないのだ。

米国では有権者が外交政策で投票することはあまりなく、医療保険や雇用、移民などの問題などが、世界における米国の地位よりはるかに大きな注目を集めている。それでもその結果次第で、トランプ氏が次の2年間、有権者や世界の指導者に向けてどう振舞うかが決まる。

トランプ大統領は外交面において、一層図に乗るのか、それとも弱気になるのか。その答えは、7日には見え始めるだろう。

*筆者は米カーネギー国際平和基金シニアフェロー。2013年から2015年まで米国務省首席補佐官を務めた。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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