January 3, 2020 / 11:22 PM / 6 months ago

コラム:消費者が「サブスク」に踊ってはいけない理由

[ロンドン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 今や「サブスクリプション(サブスク)」サービスと呼ばれる定額で商品や各種サービスを利用できる仕組みがもてはやされているが、決して申し込んではいけない。少なくとも「サブスクリプション経済」という考えに踊らされるのは禁物だ。単に動画ストリーミング配信会社が一定額を支払ってくれる利用者を追い求めているだけでない。ワイン販売から料理の宅配、さらにはスウェーデンの家具大手イケアまでもが顧客に取り込みたがっている。だが利用者は結局、多大な出費をするだけに終わりかねない。

 12月23日、今や「サブスクリプション(サブスク)」サービスと呼ばれる定額で商品や各種サービスを利用できる仕組みがもてはやされているが、決して申し込んではいけない。写真は米カリフォルニア州クパチーノで、アップルのサブスクリプションサービスを説明するティム・クックCEO。9月10日撮影(2020年 ロイター/Stephen Lam)

動画配信はサブスクの最激戦地だ。「ディズニープラス」は11月のサービス開始から24時間以内に約1000万人が契約した。「スター・ウォーズ」などの名作映画が目当てだった。アップル(AAPL.O)も既に独自のサービスを展開し、HBOが近く参戦する。各社はいずれも、この分野の先駆的存在であり、現在世界中で1億5800万人もの利用者を抱えるネットフリックス(NFLX.O)を標的にしている。

サブスクのビジネスモデルは爆発的に広まった。かみそりから食事キット、ペットフード、衣料品まで全てが利用できる。ペロトン・インタラクティブ(PTON.O)の契約者は、バーチャルのスピンバイク教室に参加するために毎月39ドルを支払っている。オンライン銀行レボルトの顧客は月13ポンドで、光り輝くメタルカードが手に入る。自動車メーカーやスーパーマーケットも、サブスクの実験を進めているところだ。

企業側の論理は分かりやすい。一時的な売り上げよりも定額を受け取る方が先の収入が見通せる。これは支出計画を立てる上で追い風となり、株主からは「ごほうび」をもらえる。実際、数多くのソフトウエアをクラウドベースで提供するセールスフォース・ドット・コム(CRM.N)の足元の時価総額はおよそ1400億ドルと、来年1月までの年度に見込まれる売上高の7倍強に達している。

もっとも新規参入組は、先行企業の成功をなかなか再現できないのではないか。顧客獲得のコストは高く、つなぎ留めも難しい。マッキンゼーが昨年まとめた調査よると、電子商取引分野におけるサブスク利用者の半数は半年以内に解約している。実物商品の配送は、ソフトウエアほど規模の経済のメリットを享受できない。一方ネットフリックスとそのライバル勢は恐らく、莫大な投資を回収できるほど利用者に課金していない。ディズニープラスの利用料金はたった月7ドルだ。値上げが避けられない局面になれば、利用者は嫌でも契約を続けるかどうか選ばざるを得なくなるだろう。

だから最も優れたサブスクサービスは、追加的な「お得感」があるものになるかもしれない。アマゾン(AMZN.O)を例に挙げれば、米国の全世帯の半分余りが月13ドルを払って、配送時間が短くなったり、映画や音楽のコンテンツを利用できる「プライム会員」になっている、とUBSのアナリストはみている。しかし本当に得をしているのは実はアマゾンで、利用者は同社で多くの買い物をしてくれる。同じようなメリットを引き出すことができる企業だけが、サブスクサービスの頂点に引き続き君臨する。残りの企業は、そこにたどり着けないと判明するだろう。

●背景となるニュース

*ウォルト・ディズニーは11月13日、新動画配信サービス「ディズニープラス」開始初日に1000万人の契約を獲得したと発表した。

*ディズニープラスの利用料金は月7ドル。約500本の映画と7500本のテレビ番組を視聴できる。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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