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コラム:議会証言で深まるトランプ政権「ロシア疑惑」の闇
2017年5月11日 / 01:52 / 6ヶ月後

コラム:議会証言で深まるトランプ政権「ロシア疑惑」の闇

[9日 ロイター] - サリー・イエーツ前米司法長官代行が8日に行ったような、ロシア政府が米国に及ぼす影響についての証言を、米議会が最後に聞いたのは、70年前のことだ。

 5月9日、イエーツ前米司法長官代行が8日に行ったような、ロシア政府が米国に及ぼす影響についての証言を、米議会が最後に聞いたのは、70年前のことだ。写真は米議会で8日証言するイエーツ氏(2017年 ロイター/Jim Bourg)

1947年3月、当時の連邦捜査局(FBI)長官エドガー・フーバー氏は議会で証言し、モスクワが米政府の屋台骨に入り込み、トルーマン大統領(当時)がその脅威を深刻に受け止めていないと非難した。

FBIは秘密裡に、国務省と核兵器開発プロジェクトにスパイが入り込んでいたという、極めて重大な案件の捜査を進めていた。フーバー長官は公の場で、政府転覆を目論む勢力の「徹底的な訴追」を約束し、議会に対して「アメリカを脅かす力の公表」を要請した。

今回のイエーツ証言から判断する限り、司法省とFBIは1月、ホワイトハウスの大統領執務室内に、ロシアの利益のために行動しかねない人物がいると結論づけた。トランプ政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったマイケル・フリン氏だ。

フリン氏の度重なるうそや秘密主義、不明瞭な資産状況は、アメリカの脅威であるとの判断だ。「国家安全保障問題担当の大統領補佐官は、ロシアから脅迫されかねなかった」と、イエーツ氏は証言した。

これがどれほど米国の法の番人を警戒させ、FBIを恐れさせるか、表現するのは難しい。イエーツ自身も1月にトランプ大統領から解任されるまで、一時期「法の番人」のトップを務めた。マフィアとの関連が疑われる人物を、自分の上司が雇った事態を想像してみるといい。

さらに悪いことに(もっと悪い事態があり得るとすればだが)、トランプ大統領の就任式の前後に、フリン氏は彼の上司に対して駐米ロシア大使との接触内容についてうそをついた。上司側は、その悪質性を知らなかったか、気に留めなかった。

特に、米国の対ロ制裁が解除される可能性についてロシアと協議していないとのフリン氏のうそを、ペンス副大統領は公の場で繰り返した。司法省とFBIは、正反対の事実を示す確かな証拠を押さえていた。

ワシントンにあるロシア大使館の通信は、フーバー氏の時代からずっと米情報機関によって傍受されている。フリン氏の発言は録音されていた。したがってロシア側は、フリン氏が指令系統の上から下までうそをつき通していることを把握していた。これが、ロシア語で「コンプロマット」と呼ばれる「弱みとなる情報」で、敵対国の情報機関が相手を絞り上げる時に利用するものだ。

イエーツ氏の公聴会では、エイミー・クロブチャー上院議員が単刀直入に尋ねた。「もし国家安全保障を担当する政府高官が他国の高官との会話を録音されたとして、公の場では副大統領に全く別の内容を話していたと分かったら、それは恐喝の材料になりますか」

「もちろんです」と、イエーツ氏は答えた。

イエーツ氏は1月26日以降、ドナルド・マクガン大統領法律顧問と緊急に協議を重ねた。2度目の直接協議で、マクガン氏はこう尋ねた。「政府高官が別の政府高官にうそをついたとして、なぜ司法省に関係があるのか」

この問いは、トランプ政権につきまとう可能性がある。国家安全保障と情報機関、そして政府の機密保持の力そのものが、すべて相互信頼の上に成り立っているからだ。

イエーツ氏はマクガン氏に対して、まずフリン氏が「副大統領らにうそをついたのが問題だ」と指摘し、その結果「アメリカ国民が欺かれた」と説明。その上で、「うそが繰り返されるたびに内容は詳細になっていき、付け入られる余地が大きくなる。言うまでもないことだが、ロシアに付け入られる国家安全保障の大統領補佐官は望ましくない」と述べた。

さらに悪いことに、フリン氏がその3日前にFBIの事情聴取を受けていたことをイエーツ氏はマクガン氏に告げた。それはロシア側との「秘密外交」と、ロシア政府の宣伝機関でもあるニュース専門局RTからの未公開の支払いについての聴取とみられている。

「彼はどうだったか」とマクガン氏は問いかけたが、イエーツ氏は答えなかった。マクガン氏に納得した様子はなかった。イエーツ氏は公聴会で、「様々なレベルでフリン氏が問題を抱えていることを、マクガン氏に伝えようとした」と述べた。イエーツ氏が証言した通り、FBIの聴取にうそを述べれば、最大5年の懲役刑に処せられる。

公聴会ではあまり話題にならなかったが、驚くべきは、こうした一連の出来事の後、フリン氏が2週間もホワイトハウスで表面上も問題なく勤務していたことだ。米紙ワシントン・ポストが2月、ロシア外交官とのやり取りや、同氏の大胆なうそを報じて初めて、フリン氏は辞任に追い込まれた。

これよりもひどいのは、この週のトランプ大統領発言ぐらいだろう。「フリン氏は素晴らしい男だ。彼はメディアから本当に、本当に不当な扱いを受けていると思う。多くの場合、私が呼ぶところのフェイク(虚偽)メディアだ。彼がこんなにひどい扱いを受けたことは、非常に悲しい」

イエーツ氏の公聴会は、ワシントンで確実に始まる「調査の夏」の前触れだ。昨年、われわれの自由な国家の礎が攻撃を受けた。ロシア政府が、アメリカの民主主義を揺さぶろうとしたのだ。そして、彼らはその目標を達成した。アメリカ人はそれを支援し、ほう助したのだろうか。彼らの最高司令官は、それを黙認したのか──。答えを見つけるには、FBIとメディア、そして議会に頼らねばならない。

*筆者はピュリツァー賞を受賞した著述家。著書に “Legacy of Ashes: The History of the CIA”(「CIA秘録─その誕生から今日まで」)など。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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